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第三章
23 マズい事態
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ティスリー国王ウィーツの側近は主の様子に青褪め、震えずにいられない。
(マズい、これはかなりマズい。
陛下がこれ程に心乱されたのは大昔――まだ10代の頃あの時は先王陛下が抑えて下さったから大事には至らなかったが今は陛下を抑えられる者は誰もいないのに、ステラ嬢が魅力的過ぎて陛下の負の情熱を燃え上がらせてしまった様だ。
こうなった陛下は、立場を無視し場も考えずステラ嬢に無体を働くやもしれぬ。
気に入った女性に対する異常なまでの執着は病気という他ない‥‥マズすぎる)
国王の狂った目はステラを上から下まで舐めまわす様にゆっくりと動いていたが、無表情を保ち続けるステラの顔で動きを止め、凝視する。
完璧なる美貌の、
完全なる無表情。
王はステラの美しさに改めて打たれる。
(ふふふ、体ばかり見てしまったが、これ程に美しい顔は奇跡としか言えぬ。
しかもこの我に抵抗してみせるとは‥‥
勇気があるというより、無知なのだろう。
調べさせたところ、勉強は出来てもそれ以外‥‥
生きる為の知恵を学べる環境にいなかった様だ。
とは言え不敬は不敬。
罰はベッドで受けるがいい。
処女には想像もつかない辱めと快楽を存分に与えてやろう。
初夜の期間の1週間、どんなに泣き喚こうと許しはせぬ‥‥)
今でも妃達を震え上がらせ、過去には何人もの妃を死に至らしめた嗜虐性で顔を不気味に染め、王は口を開く。
「確かにの、外国人に王命は適用できぬな。
ならば一人の男としてそなたに愛を乞おう」
「お断りいたします」
「ふっふふ‥‥
まだ言うか。
男と女の最も単純にして正しい、自然な有り様を教えてやらねばならぬ様だな」
言い終わると同時に王の体がカッと光り、その頭上に青黒い煙の様なものがムクムクと立ち昇って行く。
大ホールの高い天井に届く程に立ち昇ったソレは龍の姿となり、ギラギラした目でステラを凝視する。
「‥‥一体、何をするつもりですか!?」
天井の位置からステラを凝視し口からは青黒い煙を吐いている禍々しい青黒い龍を見上げながらステラが王に問う。
青黒い龍は魔力の強い者にしか見えない為、大ホールにいる人達にはその姿はハッキリとは見えない。
だが、王から煙の様なものが立ち昇っているのは見えていて、皆恐怖に顔を引きつらせ固まっている。
「男は欲しい女を力尽くで奪い、征服する!
女は男の力の前に観念し、屈服し、所有される!
それが男と女の正しいカタチだ、ステラ嬢!」
「‥‥そして『飽きられたら大人しく捨てられる』ですか?
どの世界の下等生物のお話でしょうか?」
「調教し甲斐のあるじゃじゃ馬だな!
今この場で、大勢の見ている前で教えてやろうぞ!
我の魔力でそなたの魔力を凌辱してやる!」
青黒い龍は王の魔力そのものである。
その龍は限界まで膨れ上がり禍々しい稲光を纏い始め、クワっと大きく開けた口からは、滾る魔力がマグマの様に渦巻いているのが見える。
「魔力で魔力を凌辱する!?
一体何を‥‥!?」
あまりのおぞましさにステラは言葉を失う。
王がニヤリと笑うと。
青黒い龍の手がビュッとステラ目掛けて伸びて来る!
(マズい、これはかなりマズい。
陛下がこれ程に心乱されたのは大昔――まだ10代の頃あの時は先王陛下が抑えて下さったから大事には至らなかったが今は陛下を抑えられる者は誰もいないのに、ステラ嬢が魅力的過ぎて陛下の負の情熱を燃え上がらせてしまった様だ。
こうなった陛下は、立場を無視し場も考えずステラ嬢に無体を働くやもしれぬ。
気に入った女性に対する異常なまでの執着は病気という他ない‥‥マズすぎる)
国王の狂った目はステラを上から下まで舐めまわす様にゆっくりと動いていたが、無表情を保ち続けるステラの顔で動きを止め、凝視する。
完璧なる美貌の、
完全なる無表情。
王はステラの美しさに改めて打たれる。
(ふふふ、体ばかり見てしまったが、これ程に美しい顔は奇跡としか言えぬ。
しかもこの我に抵抗してみせるとは‥‥
勇気があるというより、無知なのだろう。
調べさせたところ、勉強は出来てもそれ以外‥‥
生きる為の知恵を学べる環境にいなかった様だ。
とは言え不敬は不敬。
罰はベッドで受けるがいい。
処女には想像もつかない辱めと快楽を存分に与えてやろう。
初夜の期間の1週間、どんなに泣き喚こうと許しはせぬ‥‥)
今でも妃達を震え上がらせ、過去には何人もの妃を死に至らしめた嗜虐性で顔を不気味に染め、王は口を開く。
「確かにの、外国人に王命は適用できぬな。
ならば一人の男としてそなたに愛を乞おう」
「お断りいたします」
「ふっふふ‥‥
まだ言うか。
男と女の最も単純にして正しい、自然な有り様を教えてやらねばならぬ様だな」
言い終わると同時に王の体がカッと光り、その頭上に青黒い煙の様なものがムクムクと立ち昇って行く。
大ホールの高い天井に届く程に立ち昇ったソレは龍の姿となり、ギラギラした目でステラを凝視する。
「‥‥一体、何をするつもりですか!?」
天井の位置からステラを凝視し口からは青黒い煙を吐いている禍々しい青黒い龍を見上げながらステラが王に問う。
青黒い龍は魔力の強い者にしか見えない為、大ホールにいる人達にはその姿はハッキリとは見えない。
だが、王から煙の様なものが立ち昇っているのは見えていて、皆恐怖に顔を引きつらせ固まっている。
「男は欲しい女を力尽くで奪い、征服する!
女は男の力の前に観念し、屈服し、所有される!
それが男と女の正しいカタチだ、ステラ嬢!」
「‥‥そして『飽きられたら大人しく捨てられる』ですか?
どの世界の下等生物のお話でしょうか?」
「調教し甲斐のあるじゃじゃ馬だな!
今この場で、大勢の見ている前で教えてやろうぞ!
我の魔力でそなたの魔力を凌辱してやる!」
青黒い龍は王の魔力そのものである。
その龍は限界まで膨れ上がり禍々しい稲光を纏い始め、クワっと大きく開けた口からは、滾る魔力がマグマの様に渦巻いているのが見える。
「魔力で魔力を凌辱する!?
一体何を‥‥!?」
あまりのおぞましさにステラは言葉を失う。
王がニヤリと笑うと。
青黒い龍の手がビュッとステラ目掛けて伸びて来る!
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