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第4章 アイシャの章
第2話 わたくしの夢
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わたくしは、幼いころから夢があった。
お母様のように素敵なお父様に愛されて幸福に過ごす夢。お姉様も愛人とはいえ寵愛されている。
わたくしも素敵な人と幸福になりたかった。でもまだわたくしは子どもで夢に夢をみている子どもだった。
デピュタントに出て、お母様譲りの美貌はわたくしの武器になった。柔らかな金の髪はわたくしの自慢だ。
公爵の同伴でお姉様も久しぶりに出会えた。
久しぶりに見るお姉様は清楚だが妖艶で花開いたように見えた。公爵がこんな妖艶な花を咲かせたのだろうか?
お姉様は幸福そうに見えたが、儚げに見えた。
わたくしはお姉様が不安になった。なんだか幻のように別の世界に生きているように見えた。
「お姉様が遠く見えるわ。なんだか不安だわ。」
わたくしは子どものように言った。
お姉様は笑って、切り返した。
「私はここにいるわ。心配しないで。そんなことより貴女はどうするの。婚約者の件ではお父様から聞いているわ。」
わたくしはどきりとなった。お父様め。お姉様にばらしたわね。ゆるさないんだから。
「まあ・・ほほほ。大丈夫ですわ。お姉様。お姉様が息災で何よりです。わたくしはわたくしでなんとかします。
これはわたくしの運命ですから。」
きりりとわたくしはお姉様を見た。こんなわたくしでも、自分の運命は自分で舵をとりたいのだ。
本当に気に染まぬ相手なら結婚はしないと誓っていた。
くくっとハリアン公爵は傍らでわたくしとお姉様の会話を聞いていた。
彼は歪んた笑みを浮かべながら、「運命ねえ。婚約者は見つかったのか?その様子だとまだのようだな。」
「どうだ。息子や弟の愛人になったら。お前もネリアと一緒で寂しくないぞ。」
わたくしは驚愕した。姉妹そろってハリアン公爵家の愛人となれと?
随分と見くびられたものだ。怒りを抑えてわたくしは柔らかに拒絶した。
「申し訳ありません。わたくしは凡庸なつまらない女です。男爵の妻が相応しい小さい女ですわ。
とてもお姉様のように殿方を喜ばせることはできません。ましてや偉大なハリアン公爵様の血縁者など恐れ多いですわ。」
わたくしはあえて自分を卑下して上手く逃げた。
もっともハリアン公爵はわたくしの意図を読み取っていただろう。
小賢しい女と目がわたくしに物語っていた。でもわたくしは怖かった。
お姉様は良くこんな方と付き合えたものよ。
少しの緊張とともに、わたくしは退却した。お父様とお母様のところへ避難した。
あれがハリアン公爵・・なんだが獰猛な獣の様だった。
子どもの私には太刀打ちできない相手だわ。
わたくしは上手に避けた。 ハリアン公爵もつまらぬ小娘よと興味を失ったように見えた。
わたくしは安堵した。
何かひやりと運命の鎌がわたくしの首にかかった気がしたのだ。
お母様のように素敵なお父様に愛されて幸福に過ごす夢。お姉様も愛人とはいえ寵愛されている。
わたくしも素敵な人と幸福になりたかった。でもまだわたくしは子どもで夢に夢をみている子どもだった。
デピュタントに出て、お母様譲りの美貌はわたくしの武器になった。柔らかな金の髪はわたくしの自慢だ。
公爵の同伴でお姉様も久しぶりに出会えた。
久しぶりに見るお姉様は清楚だが妖艶で花開いたように見えた。公爵がこんな妖艶な花を咲かせたのだろうか?
お姉様は幸福そうに見えたが、儚げに見えた。
わたくしはお姉様が不安になった。なんだか幻のように別の世界に生きているように見えた。
「お姉様が遠く見えるわ。なんだか不安だわ。」
わたくしは子どものように言った。
お姉様は笑って、切り返した。
「私はここにいるわ。心配しないで。そんなことより貴女はどうするの。婚約者の件ではお父様から聞いているわ。」
わたくしはどきりとなった。お父様め。お姉様にばらしたわね。ゆるさないんだから。
「まあ・・ほほほ。大丈夫ですわ。お姉様。お姉様が息災で何よりです。わたくしはわたくしでなんとかします。
これはわたくしの運命ですから。」
きりりとわたくしはお姉様を見た。こんなわたくしでも、自分の運命は自分で舵をとりたいのだ。
本当に気に染まぬ相手なら結婚はしないと誓っていた。
くくっとハリアン公爵は傍らでわたくしとお姉様の会話を聞いていた。
彼は歪んた笑みを浮かべながら、「運命ねえ。婚約者は見つかったのか?その様子だとまだのようだな。」
「どうだ。息子や弟の愛人になったら。お前もネリアと一緒で寂しくないぞ。」
わたくしは驚愕した。姉妹そろってハリアン公爵家の愛人となれと?
随分と見くびられたものだ。怒りを抑えてわたくしは柔らかに拒絶した。
「申し訳ありません。わたくしは凡庸なつまらない女です。男爵の妻が相応しい小さい女ですわ。
とてもお姉様のように殿方を喜ばせることはできません。ましてや偉大なハリアン公爵様の血縁者など恐れ多いですわ。」
わたくしはあえて自分を卑下して上手く逃げた。
もっともハリアン公爵はわたくしの意図を読み取っていただろう。
小賢しい女と目がわたくしに物語っていた。でもわたくしは怖かった。
お姉様は良くこんな方と付き合えたものよ。
少しの緊張とともに、わたくしは退却した。お父様とお母様のところへ避難した。
あれがハリアン公爵・・なんだが獰猛な獣の様だった。
子どもの私には太刀打ちできない相手だわ。
わたくしは上手に避けた。 ハリアン公爵もつまらぬ小娘よと興味を失ったように見えた。
わたくしは安堵した。
何かひやりと運命の鎌がわたくしの首にかかった気がしたのだ。
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