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第3章~新たなる試練~
第19話(フレイン視点)
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「失礼するよ」
暖簾をかき分け、バーカウンターに座っていたウルフに声をかける。
「いい気分で飲んでいるところ、ちょっといいかな? きみに聞きたいことがあるんだ」
「ぐほっ、フレイン……! しかもミューまで……!」
「はーい、ぼくもいまーす!」
余程驚いたのか、ウルフは飲んでいたグラスワインを噴き出してしまった。
「オレに何の用だよ?」
「いや、弟がどこ行ったか教えて欲しいなと。今頃一人で見回りしてるだろうし?」
「それは嫌味か? サボってるのはオレだけじゃねぇよ。他の三人もだ。オレだけに言うんじゃねぇ」
「サボりを説教するつもりはないよ。私は弟の居場所が知りたいだけだ。どこ行ったか、知ってるよね?」
「知らないね。森を突っ切るルートを提案はしたが、どう巡回するかは本人の勝手だからな」
「森を……?」
フレインは怪訝な顔で店の外を見た。
戦士たちが生活している市街地の隣には、深い森や山が広がっている。上位ランカーはそこで狩りをしたりトレーニングをしたりするわけだが、その分危険が多いのが実状だ。山で大イノシシに襲われたのは記憶に新しいだろう(もっともあれは、ランゴバルトがわざとおびき寄せたのだが)。
「森かー。入ってすぐなら道もハッキリしてるけど、ちょっと横道逸れると崖とかあって危ないよね。一人で入る場所じゃないよねー」
ミューの言う通りだ。普通は最低でも二人以上で行く場所である。森に一人で入るなどとんでもない。
――本当にあの子は……。
真面目なのか無鉄砲なのか、それとも森の危険性を知らないのか。どちらにせよ、放っておくわけにはいかない。
暖簾をかき分け、バーカウンターに座っていたウルフに声をかける。
「いい気分で飲んでいるところ、ちょっといいかな? きみに聞きたいことがあるんだ」
「ぐほっ、フレイン……! しかもミューまで……!」
「はーい、ぼくもいまーす!」
余程驚いたのか、ウルフは飲んでいたグラスワインを噴き出してしまった。
「オレに何の用だよ?」
「いや、弟がどこ行ったか教えて欲しいなと。今頃一人で見回りしてるだろうし?」
「それは嫌味か? サボってるのはオレだけじゃねぇよ。他の三人もだ。オレだけに言うんじゃねぇ」
「サボりを説教するつもりはないよ。私は弟の居場所が知りたいだけだ。どこ行ったか、知ってるよね?」
「知らないね。森を突っ切るルートを提案はしたが、どう巡回するかは本人の勝手だからな」
「森を……?」
フレインは怪訝な顔で店の外を見た。
戦士たちが生活している市街地の隣には、深い森や山が広がっている。上位ランカーはそこで狩りをしたりトレーニングをしたりするわけだが、その分危険が多いのが実状だ。山で大イノシシに襲われたのは記憶に新しいだろう(もっともあれは、ランゴバルトがわざとおびき寄せたのだが)。
「森かー。入ってすぐなら道もハッキリしてるけど、ちょっと横道逸れると崖とかあって危ないよね。一人で入る場所じゃないよねー」
ミューの言う通りだ。普通は最低でも二人以上で行く場所である。森に一人で入るなどとんでもない。
――本当にあの子は……。
真面目なのか無鉄砲なのか、それとも森の危険性を知らないのか。どちらにせよ、放っておくわけにはいかない。
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