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再会
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リアムが暫くカウンターからいなくなっていた為、カウンターの前には酒を注文する客達が押し寄せ、怒号や罵声が飛び交っているのがバックヤードにくぐもって聞こえてきた。
木箱に深く腰掛け直し、膝を立てて足を木箱の縁に掛けて座る。
「あーあ……」
何してんだろう、僕……
自分の想いだけで行動してしまった自分を、今更ながら反省する。もしあのまま男達に連れ去られていたら……想像するだけで身震いがした。
「王子、失格だな……」
小さく呟く。
リアムが怒るのも無理ないよね……
お店、終わるの何時なんだろう。一人で切り盛りしてるから、大変だよね。あんなに大勢の人で賑わってたし……
バックヤードは薄暗く、塵と埃と黴と酒の臭いを含んだ淀んだ空気に包まれていた。ジュリアンの座っている木箱も埃で白っぽくなっており、きっと立ち上がったら半ズボンのお尻の部分は真っ白く染まっていることだろう。
たくさんの酒樽やワインが並び、あちこちに酒の瓶が転がっていた。自分がまるで、別世界に迷い込んでしまったような気分になった。
早く来てよ、リアム……
不安な気持ちで躰を縮まらせ、祈るように指を絡ませて膝に置いた。
ポンッ
突然、軽く頭に手を置かれてジュリアンは顔を上げた。
「待たせたな」
「リアム……」
「客、帰らせるのに手間どっちまった」
その言葉に耳を澄ませると、先ほどまでの喧噪が嘘のように静まり返っていた。
「どう、して……」
「お前をこんなところに朝まで待たせるわけにいかねぇだろうが。それに、酔いつぶれて暴れる客やそこら辺でぶっ倒れたり、変なことおっぱじめる奴らもいるしな」
きっと今までのジュリアンなら想像もできない世界だったが、先ほど垣間みた店内を思い起こすとリアムの言うことが納得できた。
ここは、そういう世界なのだ。
「リアム、ごめんな……」
リアムに謝ろうとして口を開いたジュリアンの言葉を待たず、リアムは躰を屈めてジュリアンの両肩に手を置くと、唇を塞いだ。
「んっ!!ンンッ……」
息苦しいまでの激しい口づけに、ジュリアンの躰中の血液が一気に沸点に達するかのように急激に上がっていく。
「話は、後だ……」
余裕のないリアムの声が、ジュリアンの耳元で囁かれる。
木箱に深く腰掛け直し、膝を立てて足を木箱の縁に掛けて座る。
「あーあ……」
何してんだろう、僕……
自分の想いだけで行動してしまった自分を、今更ながら反省する。もしあのまま男達に連れ去られていたら……想像するだけで身震いがした。
「王子、失格だな……」
小さく呟く。
リアムが怒るのも無理ないよね……
お店、終わるの何時なんだろう。一人で切り盛りしてるから、大変だよね。あんなに大勢の人で賑わってたし……
バックヤードは薄暗く、塵と埃と黴と酒の臭いを含んだ淀んだ空気に包まれていた。ジュリアンの座っている木箱も埃で白っぽくなっており、きっと立ち上がったら半ズボンのお尻の部分は真っ白く染まっていることだろう。
たくさんの酒樽やワインが並び、あちこちに酒の瓶が転がっていた。自分がまるで、別世界に迷い込んでしまったような気分になった。
早く来てよ、リアム……
不安な気持ちで躰を縮まらせ、祈るように指を絡ませて膝に置いた。
ポンッ
突然、軽く頭に手を置かれてジュリアンは顔を上げた。
「待たせたな」
「リアム……」
「客、帰らせるのに手間どっちまった」
その言葉に耳を澄ませると、先ほどまでの喧噪が嘘のように静まり返っていた。
「どう、して……」
「お前をこんなところに朝まで待たせるわけにいかねぇだろうが。それに、酔いつぶれて暴れる客やそこら辺でぶっ倒れたり、変なことおっぱじめる奴らもいるしな」
きっと今までのジュリアンなら想像もできない世界だったが、先ほど垣間みた店内を思い起こすとリアムの言うことが納得できた。
ここは、そういう世界なのだ。
「リアム、ごめんな……」
リアムに謝ろうとして口を開いたジュリアンの言葉を待たず、リアムは躰を屈めてジュリアンの両肩に手を置くと、唇を塞いだ。
「んっ!!ンンッ……」
息苦しいまでの激しい口づけに、ジュリアンの躰中の血液が一気に沸点に達するかのように急激に上がっていく。
「話は、後だ……」
余裕のないリアムの声が、ジュリアンの耳元で囁かれる。
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