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 騒ぎが収まると貴族議員たちが戻って来て議会の再会となった。

 私は彼からこのまま議会の間にいるように言われたので、片隅の椅子で議会の様子を見ることになった。



 議会では、すぐにランベラート皇王とエリザベートの地位の剥奪が行われた。

 もちろんランベラート皇王もエリザベートも今までの罪を問われて牢に入ることになった。

 エリザベートはまだ気を失っていて、急いで手当てを受ける事になったがその時も手と足は繋がれた状態で守護の宝輪はエリザベートの腕から外されて大切に保管されることになった。



 そして改めて議会でアルベルトが次の皇王に指名されて、ロベルトは公爵となることに決まった。

 まあアルベルト様に何かあれば今のところ王位第二位なわけだが…



 そんなわけでロベルトの婚約もモンテビオ国と再協議することとなった。

 すぐに事情を説明するために、モンテビオ国にはブランカスター公爵が出向くことになった。

 リシュリート公爵には改めて責任を問う事となったが、今まで取り図られていた優遇はまったくなくなり改めて税金なども徴収することでブランカスター側の議員たちも納得した。

 もちろん不当な扱いで爵位をはく奪された人は希望すれば元の爵位に戻れる優遇措置も取られることになった。

 闇隊は解体することとなり、王城に集められた魔女たちはひとり残らず帰されることにもなった。

 そんな大まかなことが決まると次回にということで議会は終了した。



 アルベルトは議員ひとりひとりと固い握手を交わして挨拶をした。

 そしてやっと最後の一人が義気の間を出て行くと私とアルベルト様だけになった。



 彼が私に近づいてきた。

 「シャルロット君は平気か?」

 「はい、疲れましたが何とか…アルベルト様こそ大丈夫ですか?」

 「ああ、疲れた。でも気持ちのいい疲れだ。何かを成し遂げたって言うか…全部君のおかげだ」

 「とんでもありません。私は何も…」

 彼に手を取られて頬がぽっと赤くなる。

 あの黒曜石のような瞳が煌めいてとても美しい。

 あ、あるべるとさま、カッコイイ。 

 私の脳髄はくらくらしそうになるほどうっとりとなる。



 「君が俺を焚きつけてくれなかったら俺は今も騎士隊長のままでいいと思っていた。君はいつも必死で人を助けようとする。そんな君を見ていて自分も考えさせられた。前にも言ったよなシャルロット。俺にはこの国を引き継いで国を正すことが出来るのにって…そしたら君は俺を好きになってくれるのか?」

 えっ?

 今なにかすごーく失礼な言葉を言われたような気がしますが…

 私が焚きつけたですって?

 どうしてそうなるんですか?私はただ自分に出来ることをするべきではないのですかって言いたかっただけで…

 私だってどれほど辛い目に遭ったか、どうせあなたばかりが世界中の不幸を背負ってるみたいに思ってたんでしょう?

 あなたなんか好きになるはず…ふん!

 「まるで私のせいみたいにおしゃるんですね。なりたくないならお止めになればいいじゃありませんか?あなたなんか嫌いです!」



 彼の言葉の意味が全く理解できなかった私。

 「噓だろ?俺は君が…」

 それ以上は聞こえなかった。

 男らしさの欠片もないわ。

 「とにかく疲れました。家に帰らせてください。では失礼します」

 「ああ、誰も君に来て欲しいなんて頼まなかったはずだが、まったく‥人の心配などお構いなしなんだな。どうぞ、さっさと帰って休んでくれ!誰かに遅らせる。そんな身体でもし倒れられても困る。誰かいないか?」



 ちょうどリンデン様が入って来た。

 「リンデンちょうどいい。シャルロットを屋敷まで送り届けてくれ。もちろんルミドブール家に」

 「いえ、ジェルディオン家にお願いします」

 「だめだ。ルミドブール家に送り届けて来れ!シャルロット君は私の恩人だ。今夜はどうしても、我が家でもてなしを受けて頂く!」

 まあ、紳士じゃないわ。その言い方。辛辣なとげとげしい言い方にまたカチンと来る。

 「まあ、そういう事なら今日は…でも夕食をごちそうになったら帰らせて頂きますので、失礼しますわ。アルベルト皇王殿下」

 私はドアをバタンと思いっきり閉めた。


 中から何かを叩く音がして一瞬ビクッとしたけど、そんなこと知りませんから。


 そしてリンデン様に送られてルミドブール家に戻ってきました。

 アビーが出迎えてくれて私はほっとした。

 すると何だか疲れが一度に来たみたいで、本当にベッドに横になって眠ってしまった。


 目が覚めると辺りはもう暗くなっていて、私は飛び起きた。

 アルベルト様がもてなすと言われたから支度をしなければと、きっとアビーたちは支度で忙しいだろう。

 私は自分一人で風呂に入ってコンステンサ帝国で頂いた淡いピンクのドレスを着て髪を結った。

 

 「シャルロット様、遅くなってすみません。お支度を手伝いましょう」アビーが来てくれた。

 「大丈夫よアビー。ありがとう。あなただって忙しいんですもの」

 「まあ、助かります。本当にお美しいです。さあ、夕食までにはもう少し時間がありますから、お茶をいかがですか?」

 「まあ、ありがとう。やっぱりアビーね」

 私はちょうど喉が渇いていてアビーが持って来たお茶をごくごくというくらいの勢いで飲んだ。



 それにしてもやけにペパーミントの香りが強いお茶だと思いながら…

 私はしばらくして舌が痺れ始めた。すぐに喉も麻痺したようになり声も出せずその場に倒れ込んだ。

 誰か…誰か…助けて…毒?まさかアビーが…

 それ以上は思考が回らなくなる。

 苦しくてもがきながらドアを開けて助けを呼ぼうとする。

 椅子が倒れて大きな音がした。

 誰か…気づいて…



 「シャルロット様、ランベラートとエリザベートを倒していただいたことには感謝しています。それにアルベルト様が皇王になる気にさせていただいたことにも、でもまさか結婚だなんて、とんでもありません」

 「アビー?何を、い、てるの?おね、が、…たす、け……」

 私の意識は遠のいて行った。



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