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13. 途切れずに滴って★
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「ね、ねえ? なんで!? いきなりお風呂なんて」
シリルは私を寝室付属の浴室に引っ張ってきた。
なんのつもり……!?
「今日は、汚れたから」
「え? あなた、どこか汚れているようには見えない……」
連れ込まれた浴室の、壁に押し付けられる。
「僕のことじゃないよ……」
じゃあ私? 私こそ、汚れるようなことはなかったけど!?
目を丸くしていたら、シリルは着衣を脱ぎ捨てて、脱衣籠に投げてしまった。
どうしよう……恥ずかしい。
私が服を着ていて、裸のシリルに迫られている状況が。
私たち、子づくりで閨事をしているわよ。
でも、ここは明るくて。シリルの完璧な美を誇る身体がぜんぶ……丸見え。
男の人なのにきめ細かい肌。
きっと鍛えているのね、しなやかについて逞しいラインを描いた筋肉、腹部の向こう、腰にそってくっきり入った陰影に、さらに下の金色の……そこはとても直視できない。
「……恥ずかしいの? いまさらだよ、いつもこの体で君を抱いてるんだけど?」
「あ……、や」
「もっと直接的に言おうか。この体で君の奥を犯して子づくりしてる」
どうしちゃったの!? 紳士的なシリルが、こんなことを言うなんて!?
戦慄かせた唇の端っこにシリルの唇が触れ、シュル、と私の首元からリボンの滑る音がした。
「お風呂なら、一人で入るから……」
「汚れちゃったから、僕が洗うよ」
「そこまでしてもらうほど汚れてない」
「いいや、汚れたよ」
シリルは、頑固に私が汚れたと言って、服を解いていく。
唇からのぞいた舌が、私の肌を這って熱を高める。
「ぁ……あ、ああ!?」
舌の付け根に近いざらつきで、胸の先端を嬲られた。
それだけじゃない。服と下着の間を縫ってシリルの手が、敏感な芯を摘む。
特に抗えない快感を生むそこを、離さず扱く。
「……っふぁ! あっ! ぁ!」
視界がゆらゆらするわ。
きっと目尻に涙が溜まっている。
恥骨のあたりから突き抜ける快感が、私を苛む。
シリルの手によって緩んだ着衣が、つい、くねらせた腰の動きでスルリと下へ落ちた。
裸になった私の、輪郭をぜんぶ写し取るように、シリルは触れる。
その間も、口で首筋から胸を舐め、利き手で快楽の芯を摘むことを忘れない。
「まって……まって」
「……間を置くの?」
ピタリと、シリルの手が止まる。
「それなら、やめる?」
え? 頼んだとおりに待ってくれたけど……、やめる……の?
予想外に放ったらかされて、熱を宿した身体が疼く。
「今日の子づくりはなし。自由になる日が、一日遠くなるよ?」
囁くシリルの声は、焦れったい。
私は……? やめてほしくない?
「あれ?」
私の腰はわずか、揺れていた。まるでねだっているみたい。
シリルが低く笑う。
「するの?」
脚の間ではなく、際どい太ももを彼の手が円を描くように撫でる。
くれない……、私が、答えないと。
「す、る……自由の、ため……だから」
「……自由のためだけ? 他には?」
「ほか……? そんなの、ない、わ」
……シたら、離婚が叶う日が近づくから。
この手に身体を委ねたくなっても、それだけ。
シリルが、抑えるようにため息を吐く。
「そう……」
「ああっ!」
伸びたシリルの中指が、私の核心を掬い上げ、くりくりと嬲る。
やっぱりシリルの指遣いは甘い、……気持ちいい。
近づく限界のなか、太ももに硬いものが当たった。
(シリルの──)
彼も、こんなに興奮しているんだ。
中に入って、すぐにでも熱い飛沫を放ちそうなほど、昂っている。
押し付けながら、私をいじり、シリルはシャワーのコックを捻った。
適温のお湯が、身体を打っていく。
肩を打つ湯の粒が、水晶の小片みたいに散った。
「さっぱりできるでしょ。ぜんぶ、綺麗にしてあげる。サンヴルタンと二人きりになんかなった場で、汚れたから」
「だから、汚れてなんか──んあっ!!」
言葉が快感で閉ざされる。
両方の太ももを抱えて、柔らかくほぐされたあわいを、シリルが一気に貫いたのだ。
もうなにも考えられない。
「ああ……ぁあ……」
シリルをとろけた中に押し込まれると、肌を打つ水滴も、流れ落ちる感覚もすべて官能の一部になる。
(ああ……これ、たまらないっ)
達しそうで、顎を上げてひくひくと打ち震える私に、シリルは腰遣いをゆるめた。
なんで、これじゃ……つらい。
「気持ちいい? どう?」
「……あ、あ」
「喘いでるだけじゃ、だめだよ。君の言葉で聞かせて」
「あ、今日……いじ、わる……」
「そう思う?」
イきたいのに、イかせてくれない。でも余韻が燻るように、止めきりもしない。
はくはくと、口を開け閉めしていたら、シリルがもっと、いやらしい腰の使い方で追い立ててくる。
「……っ、ひっく、今日の、あなたは、ひどい……」
「君だって、ひどいよ」
流れた生理的な涙を、シリルの舌が掬いとる。
「サンヴルタンと話していて『楽しい』という顔を、していた」
「だって……」
「好感を持っちゃった?」
「だって、陛下はあなたのことを聞かせてくれた」
「──っ!」
顔を離し、シリルは動きを止めた。
頬が、赤く染まっている。
「僕のことを聞けたのがうれしかった、だって?」
「うん」
目元に腕を当て、シリルはじっとする。
感慨に耐えるように唇を引き結んで。
再び私に触れる指先は、いつもの甘さを取り戻していた──
シリルは私を寝室付属の浴室に引っ張ってきた。
なんのつもり……!?
「今日は、汚れたから」
「え? あなた、どこか汚れているようには見えない……」
連れ込まれた浴室の、壁に押し付けられる。
「僕のことじゃないよ……」
じゃあ私? 私こそ、汚れるようなことはなかったけど!?
目を丸くしていたら、シリルは着衣を脱ぎ捨てて、脱衣籠に投げてしまった。
どうしよう……恥ずかしい。
私が服を着ていて、裸のシリルに迫られている状況が。
私たち、子づくりで閨事をしているわよ。
でも、ここは明るくて。シリルの完璧な美を誇る身体がぜんぶ……丸見え。
男の人なのにきめ細かい肌。
きっと鍛えているのね、しなやかについて逞しいラインを描いた筋肉、腹部の向こう、腰にそってくっきり入った陰影に、さらに下の金色の……そこはとても直視できない。
「……恥ずかしいの? いまさらだよ、いつもこの体で君を抱いてるんだけど?」
「あ……、や」
「もっと直接的に言おうか。この体で君の奥を犯して子づくりしてる」
どうしちゃったの!? 紳士的なシリルが、こんなことを言うなんて!?
戦慄かせた唇の端っこにシリルの唇が触れ、シュル、と私の首元からリボンの滑る音がした。
「お風呂なら、一人で入るから……」
「汚れちゃったから、僕が洗うよ」
「そこまでしてもらうほど汚れてない」
「いいや、汚れたよ」
シリルは、頑固に私が汚れたと言って、服を解いていく。
唇からのぞいた舌が、私の肌を這って熱を高める。
「ぁ……あ、ああ!?」
舌の付け根に近いざらつきで、胸の先端を嬲られた。
それだけじゃない。服と下着の間を縫ってシリルの手が、敏感な芯を摘む。
特に抗えない快感を生むそこを、離さず扱く。
「……っふぁ! あっ! ぁ!」
視界がゆらゆらするわ。
きっと目尻に涙が溜まっている。
恥骨のあたりから突き抜ける快感が、私を苛む。
シリルの手によって緩んだ着衣が、つい、くねらせた腰の動きでスルリと下へ落ちた。
裸になった私の、輪郭をぜんぶ写し取るように、シリルは触れる。
その間も、口で首筋から胸を舐め、利き手で快楽の芯を摘むことを忘れない。
「まって……まって」
「……間を置くの?」
ピタリと、シリルの手が止まる。
「それなら、やめる?」
え? 頼んだとおりに待ってくれたけど……、やめる……の?
予想外に放ったらかされて、熱を宿した身体が疼く。
「今日の子づくりはなし。自由になる日が、一日遠くなるよ?」
囁くシリルの声は、焦れったい。
私は……? やめてほしくない?
「あれ?」
私の腰はわずか、揺れていた。まるでねだっているみたい。
シリルが低く笑う。
「するの?」
脚の間ではなく、際どい太ももを彼の手が円を描くように撫でる。
くれない……、私が、答えないと。
「す、る……自由の、ため……だから」
「……自由のためだけ? 他には?」
「ほか……? そんなの、ない、わ」
……シたら、離婚が叶う日が近づくから。
この手に身体を委ねたくなっても、それだけ。
シリルが、抑えるようにため息を吐く。
「そう……」
「ああっ!」
伸びたシリルの中指が、私の核心を掬い上げ、くりくりと嬲る。
やっぱりシリルの指遣いは甘い、……気持ちいい。
近づく限界のなか、太ももに硬いものが当たった。
(シリルの──)
彼も、こんなに興奮しているんだ。
中に入って、すぐにでも熱い飛沫を放ちそうなほど、昂っている。
押し付けながら、私をいじり、シリルはシャワーのコックを捻った。
適温のお湯が、身体を打っていく。
肩を打つ湯の粒が、水晶の小片みたいに散った。
「さっぱりできるでしょ。ぜんぶ、綺麗にしてあげる。サンヴルタンと二人きりになんかなった場で、汚れたから」
「だから、汚れてなんか──んあっ!!」
言葉が快感で閉ざされる。
両方の太ももを抱えて、柔らかくほぐされたあわいを、シリルが一気に貫いたのだ。
もうなにも考えられない。
「ああ……ぁあ……」
シリルをとろけた中に押し込まれると、肌を打つ水滴も、流れ落ちる感覚もすべて官能の一部になる。
(ああ……これ、たまらないっ)
達しそうで、顎を上げてひくひくと打ち震える私に、シリルは腰遣いをゆるめた。
なんで、これじゃ……つらい。
「気持ちいい? どう?」
「……あ、あ」
「喘いでるだけじゃ、だめだよ。君の言葉で聞かせて」
「あ、今日……いじ、わる……」
「そう思う?」
イきたいのに、イかせてくれない。でも余韻が燻るように、止めきりもしない。
はくはくと、口を開け閉めしていたら、シリルがもっと、いやらしい腰の使い方で追い立ててくる。
「……っ、ひっく、今日の、あなたは、ひどい……」
「君だって、ひどいよ」
流れた生理的な涙を、シリルの舌が掬いとる。
「サンヴルタンと話していて『楽しい』という顔を、していた」
「だって……」
「好感を持っちゃった?」
「だって、陛下はあなたのことを聞かせてくれた」
「──っ!」
顔を離し、シリルは動きを止めた。
頬が、赤く染まっている。
「僕のことを聞けたのがうれしかった、だって?」
「うん」
目元に腕を当て、シリルはじっとする。
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再び私に触れる指先は、いつもの甘さを取り戻していた──
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