【R18•完結】「子どもさえできれば自由にしていいから」と言った夫が執着溺愛して離婚してくれません

紀ノこっぱ

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13. 途切れずに滴って★

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「ね、ねえ? なんで!? いきなりお風呂なんて」

 シリルは私を寝室付属の浴室に引っ張ってきた。
 なんのつもり……!?

「今日は、汚れたから」
「え? あなた、どこか汚れているようには見えない……」

 連れ込まれた浴室の、壁に押し付けられる。

「僕のことじゃないよ……」

 じゃあ私? 私こそ、汚れるようなことはなかったけど!?
 目を丸くしていたら、シリルは着衣を脱ぎ捨てて、脱衣籠に投げてしまった。

 どうしよう……恥ずかしい。
 私が服を着ていて、裸のシリルに迫られている状況が。
 私たち、子づくりで閨事をしているわよ。
 でも、ここは明るくて。シリルの完璧な美を誇る身体がぜんぶ……丸見え。

 男の人なのにきめ細かい肌。
 きっと鍛えているのね、しなやかについて逞しいラインを描いた筋肉、腹部の向こう、腰にそってくっきり入った陰影に、さらに下の金色の……そこはとても直視できない。

「……恥ずかしいの? いまさらだよ、いつもこの体で君を抱いてるんだけど?」
「あ……、や」
「もっと直接的に言おうか。この体で君の奥を犯して子づくりしてる」

 どうしちゃったの!? 紳士的なシリルが、こんなことを言うなんて!?

 戦慄かせた唇の端っこにシリルの唇が触れ、シュル、と私の首元からリボンの滑る音がした。

「お風呂なら、一人で入るから……」
「汚れちゃったから、僕が洗うよ」
「そこまでしてもらうほど汚れてない」
「いいや、汚れたよ」

 シリルは、頑固に私が汚れたと言って、服を解いていく。
 唇からのぞいた舌が、私の肌を這って熱を高める。

「ぁ……あ、ああ!?」

 舌の付け根に近いざらつきで、胸の先端を嬲られた。

 それだけじゃない。服と下着の間を縫ってシリルの手が、敏感な芯を摘む。
 特に抗えない快感を生むそこを、離さず扱く。

「……っふぁ! あっ! ぁ!」

 視界がゆらゆらするわ。
 きっと目尻に涙が溜まっている。
 恥骨のあたりから突き抜ける快感が、私を苛む。
 シリルの手によって緩んだ着衣が、つい、くねらせた腰の動きでスルリと下へ落ちた。
 裸になった私の、輪郭をぜんぶ写し取るように、シリルは触れる。
 その間も、口で首筋から胸を舐め、利き手で快楽の芯を摘むことを忘れない。

「まって……まって」
「……間を置くの?」

 ピタリと、シリルの手が止まる。

「それなら、やめる?」

 え? 頼んだとおりに待ってくれたけど……、やめる……の?
 予想外に放ったらかされて、熱を宿した身体が疼く。

「今日の子づくりはなし。自由になる日が、一日遠くなるよ?」

 囁くシリルの声は、焦れったい。
 私は……? やめてほしくない?

「あれ?」

 私の腰はわずか、揺れていた。まるでねだっているみたい。
 シリルが低く笑う。

「するの?」

 脚の間ではなく、際どい太ももを彼の手が円を描くように撫でる。
 くれない……、私が、答えないと。

「す、る……自由の、ため……だから」
「……自由のためだけ? 他には?」
「ほか……? そんなの、ない、わ」

 ……シたら、離婚が叶う日が近づくから。
 この手に身体を委ねたくなっても、それだけ。

 シリルが、抑えるようにため息を吐く。

「そう……」
「ああっ!」

 伸びたシリルの中指が、私の核心を掬い上げ、くりくりと嬲る。
 やっぱりシリルの指遣いは甘い、……気持ちいい。
 近づく限界のなか、太ももに硬いものが当たった。

(シリルの──)

 彼も、こんなに興奮しているんだ。
 中に入って、すぐにでも熱い飛沫を放ちそうなほど、昂っている。

 押し付けながら、私をいじり、シリルはシャワーのコックを捻った。
 適温のお湯が、身体を打っていく。
 肩を打つ湯の粒が、水晶の小片みたいに散った。

「さっぱりできるでしょ。ぜんぶ、綺麗にしてあげる。サンヴルタンと二人きりになんかなった場で、汚れたから」
「だから、汚れてなんか──んあっ!!」

 言葉が快感で閉ざされる。
 両方の太ももを抱えて、柔らかくほぐされたあわいを、シリルが一気に貫いたのだ。

 もうなにも考えられない。

「ああ……ぁあ……」

 シリルをとろけた中に押し込まれると、肌を打つ水滴も、流れ落ちる感覚もすべて官能の一部になる。

(ああ……これ、たまらないっ)

 達しそうで、顎を上げてひくひくと打ち震える私に、シリルは腰遣いをゆるめた。
 なんで、これじゃ……つらい。

「気持ちいい? どう?」
「……あ、あ」
「喘いでるだけじゃ、だめだよ。君の言葉で聞かせて」
「あ、今日……いじ、わる……」
「そう思う?」

 イきたいのに、イかせてくれない。でも余韻が燻るように、止めきりもしない。 
 はくはくと、口を開け閉めしていたら、シリルがもっと、いやらしい腰の使い方で追い立ててくる。

「……っ、ひっく、今日の、あなたは、ひどい……」
「君だって、ひどいよ」

 流れた生理的な涙を、シリルの舌が掬いとる。

「サンヴルタンと話していて『楽しい』という顔を、していた」
「だって……」
「好感を持っちゃった?」
「だって、陛下はあなたのことを聞かせてくれた」
「──っ!」

 顔を離し、シリルは動きを止めた。
 頬が、赤く染まっている。

「僕のことを聞けたのがうれしかった、だって?」
「うん」

 目元に腕を当て、シリルはじっとする。
 感慨に耐えるように唇を引き結んで。

 再び私に触れる指先は、いつもの甘さを取り戻していた──
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