追想

拝啓。

僕があなたを思い出していたのは、
懐かしむ思いゆえではなかったようです。

あなたを忘れたくないという、
不忘とは名ばかりの弱さに
僕は固執していただけでした。

僕はそれを、追想と呼びます。

だけど本当は、そう呼ぶことで
自分を保っているだけなのかもしれません。

敬具。


※本作『追想』は短編集でありますが構成の都合上、
順に従って読んでいただくことを推奨しております。
予めご了承ください。
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