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19話 助けに向かう その2

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「こいつらが侵入者か?」


「カイン、油断しないで」


「分かっている」




 私達3人は宮殿から少し離れた場所に居た侵入者と遭遇していた。黒づくめの衣装を身に纏った男たちの数は3人……残りの2人は? どうやらオボンヌ宮殿に向かっているようだけど、結界に注視している状況ではない。二人とも、私には目で追うのが精一杯の動きで相手を翻弄している。


 侵入者の3人は既に兵士と騎士の何名を地に伏せていた。命があるかどうかはわからないけれど、死亡している人もいるかと思う。回復に回りたいところだけど、とても今は出来ないわね。



「ふんっ!」


「はああああっ!」


「ぐあぁぁぁぁぁ……!!」


 カインさんとライズさんは素早い動きで翻弄しながら、一気に3人の侵入者を射抜いた。この暗闇の中での長期戦は不利と判断したのかもしれない。


「大丈夫ですか?」

「ええ、あなたのバリアのおかげで、防御を気にせずに攻撃が出来たわ」

「そうだな、そのおかげですぐに倒すことが出来た」


「殺したんですか?」


 暗闇に倒れている3人を見ながら私は聞いた。微かに動いている者も居るので、死んではいないのかな?


「殺してはいない。脳震盪などで、しばらく動くことすら無理だろうがな」


 そう言いながら、カインさんは持っていた拘束具のようなもので、侵入者3人を縛りつけた。その作業が終わった後、私に向き直る。


「残りは2人か……場所はわかるか? ミシディア」

「はい、カインさん。残りの2人は既にオボンヌ宮殿に向かったようです」


「不味いな……オボンヌ宮殿に向かったのであれば、早急に俺たちも向かった方がいい」

「そうね、兵士や騎士だってやられる連中なんだし……」


 オボンヌ宮殿にはさらに多くの騎士団の人や聖女だって居るはず。彼らであれば、2人の侵入者くらいはなんとか対処できるはずだけれど。でもなんでだろう……? 根拠はないけど、嫌な予感が拭えなかった。


「じゃあ、すぐに向かいましょう!」


 倒れている兵士や騎士の容態は気になるけれど、彼らの介抱をしている時間はない。すぐにでもオボンヌ宮殿へ……と、思った矢先だった。


「ちょ、ちょっと……どういうことよ?」


「見つけたぞ侵入者め! 国王陛下の命を狙っているのか? 生きて帰れると思うなよ!」


 私達を侵入者だと勘違いした騎士たちによって、包囲されてしまった……嘘でしょ、これじゃあ間に合わない!


「やれやれ……さらに不味いことになったな。オボンヌ宮殿の者達は先走りが好きなのか?」


 カインさんもため息をついているけれど、現状は笑いごとでは済まされなかった……。


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