王妃の手習い

晩餐の夜3

驚きに固まるオフィーリアを置いて、アンドリューと侍従の攻防は続いているらしかった。

「下がっ「なりません。」

もう一度人払いを告げようとしたアンドリューに、皆まで言わせず侍従が言葉を被せる。

不敬！！
オフィーリアは眼前の出来事に驚愕するばかりであった。　

へこたれないアンドリューは、
「君も？」と、後ろの護衛に問い掛けた。

護衛に静かに頷かれて、では君は？と隣の侍女に問い掛ける。

「君は？」「君は？」と、結局全員に却下を食らって、それでもへこたれないアンドリューは強い子だとオフィーリアは思った。


「わかったよ。」

何が分かったのか、アンドリューは落ち着いた声色で語る。

「君たち、これから起こる事は生涯口外しないと誓えるかな？」

室内に一瞬で緊張が走ったのが、以前ヘンドリックに"鈍い"と言われたオフィーリアにもよくわかった。


殿下！これから何をなさろうとしているの？

まさか、わ、私を処そうとしているの？！

混乱しているのはオフィーリアだけではないらしく、誰一人、身動きひとつしない。

「これから君達の目の前で起こる事は、生涯、一言も、誰にも、漏らしてはならない。今ここで誓うんだ。」

部下の一人一人を見やりながら、アンドリューは誓いを強要した。

そうして、
「オフィーリア。君に話したい事がある。」　

鮮やかな笑みを向けた。