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192話 日曜の現人神の探して3
しおりを挟む俺は地面に降り立ち、残党を確認する。
周りにいた軍隊は貪欲に俺を追いかけたことがあだとなり、殆ど全員死んだみたいだ。
たまたま端に居て威力が無くなってきた頃に攻撃を食らった人は肌の表面が塵になりかけたりしており、酷い有様だった。
せめてもの救いだ。
俺は魔力を吸収してその瞬間に殺した。
スキルが切れることによって生じるスキルによって軽減されない耐えきれぬ痛みに晒されることなく全員を殺していく。
これほどの軍隊を殺したという事は、もうあと地下には一般人しかいないはずだ。
せっかく魔力を補給出来るかと思っていたが、それが出来なかった以上、一般人の魔力だけでも吸収しておきたい。
空気中にある体外魔力は確かに多いが、それよりも人間が溜め込んでいる体外魔力を吸収した方が効率がいい。
地下に言ってしまえば現人神が襲撃してくる可能性も高まるが、この際もう仕方がない。
俺は地上の真ん中にあった神殿のような建物から地下へと降りた。
何とか魔力を吸収しようと思い町の人を探すが、誰も居ない。
ならば家に居るのだろうと思い家の中に入ってみるが、そこに拡がっていたのは異様な光景だった。
…………全員が首を吊って死んでしたのだ。
現人神のやつらは本当に外道だ。
多分これも奴らが指示してやらせた事だろう。
つまり、奴らは俺が魔力を吸収出来ることを知っている。
これは少々厄介なことになった。
相手が俺の情報を知らなければ俺は攻撃をするふりでもして何とか触れれば勝ち確定だ。
だが、俺の情報を知っているのなら、徹底的に遠距離から攻撃して俺に指一本も触れさせないように出来る。
しかも、俺は魔力も少ないという状態だ。
勝ち筋が見えない。
どうにか策を考えなくてはと思っていると、近くにあった謎の道具から音声が流れ始めた。
「僕は土曜の現人神だよ。君は日曜の現人神が言っていた悪夢とやらで間違いないね?」
「え? 悪夢? …………多分そうかな?」
日曜の現人神の野郎俺の事を悪夢って呼んでるのか。
2つ名みたいなのは教会のみんなには全員着いているのに、俺には着いていないのには少しコンプレックスを抱えていたので、ちょっぴり嬉しい。
まぁ、完全にいい二つ名では無いんだけどな。
俺が少しニヤニヤしていると、謎の道具はまた話し始める
「ちょ、そんな事してないで早く逃げるぞ! こいつにここまでこられたらどうすんだよ!? ワンチャン殺されるぞ!? まぁ、俺たちのコンビなら負けることは無いとは思うが…………それでも心配なものは心配なんだよ! お前が居なくなるって考えるだけでもう俺は…………。」
「ふふ、大丈夫だよ、少しだけ話を聞きたかっただけなんだ。出来れば穏便に解決したいからね。」
「か、かっけぇ、やっぱり俺の目には狂いは無かったんだ、こいつは俺の運命の人だ! 愛してる!」
「あぁ、僕も愛してるよ!」
「…………。」
謎の道具からはそれから2人がイチャつく声がずっと聞こえていた。
ってか、こいつらどっちも男だったのか。
てっきり男女だと思っていた。
そして、金曜の現人神は女性で、土曜の現人神が男性。
そして、金曜の現人神が土曜の現人神に惚れて結婚…………みたいなのを勝手に想像していただけあって驚いている。
土曜の現人神はどちらかと言えば子供っぽい感じだし、金曜の現人神はまんま不良みたいだ。
…………まぁ、そんな事はどうでもいいんだ、今はこいつらだ。
俺は謎の道具に話しかける。
「おーい、それで、なんの用だったんだ?」
「…………ちっ、なんかこいつ言ってるぞ?」
「あぁ、今なら許すからどこかへ行ってくれないかい? 僕は聞いての通り忙しいんだ。」
「…………。」
いやいや、俺と戦うためにこの街の人たち全員殺したんじゃないのか?
なのにイチャつくのが忙しくて戦わないのか?
「なぁ、じゃあ一応聞くけど、なんで街の奴らは殺したんだ?」
「あぁ、どうせ世界は君に滅ぼされちゃいそうだし、生かしていてもしょうがないかなって。僕達は地中のものすごい深くに居るから、君が死んで地上が安全になるまで待とうかなって思ってるんだよね。それで万が一にも君が僕達のところに来てしまったらいけないから出来るだけ力を抑制しようとしてるんだよ。」
…………現人神は本当にろくな奴が居ないな。
日曜の現人神も街の人たちを置いて逃げてしまったしな。
…………そう考えれば月曜の現人神はまだマシだったのかもな。
まぁ、それでも憎むべき対象に変わりは無い。
謎の道具はまだ喋り続けた。
「まぁ、君が来れる程度の所には僕は居ないから、探すだけ無駄だと思うよ。それだったらほかの所に行った方がいいんじゃないかな? お仲間さんも捕まったままみたいたいだしね?」
本当に腹は立つが、もうこいつらは諦めよう。
いつか俺が世界を滅ぼして教会のみんなだけの世界になったらこの世界は捨ててどこか他の世界に移動する方法を考えよう。
そしてこの世界は地中の奥深まで全てを破壊し尽くそう。
俺はそう思いながらその場を去った。
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