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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~本編~
すれ違う二人の気持ち
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翌朝。一人で支度を整えて、部屋の扉を開けます。廊下にはアラン。椅子に座って寝ているようです。
「アラン……? おはよう」
「……ああ、もう出かける時間か。行こう」
椅子の上で伸びをするアランの横には、彼の物らしき荷物が積んでありました。
「もしかして、ここで寝てたの?」
「レオがコレットの部屋を見張れって言うからさ。大丈夫、ヴォルタース達が鉱山に出発してから少し寝たから」
アランにも御礼を言って、駅に向かいます。汽車の特別室にはもうレオ様が到着して座っていました。昨日のような怒った表情ではないけれど、少し疲れが見える青白い顔です。
「レオ様、昨日は申し訳ありませんでした」
「いや、もういいよ。俺ちょっと寝るから、ゆっくりしてて」
そう言ってレオ様は壁にもたれて寝てしまいました。私の気持ちを伝えたかったけど、レオ様が起きてからにしよう。ちゃんと謝って、その後で、レオ様のことが好きだと言おう。
しかしレオ様は昨日全く寝ていなかったのか王都に到着するまでの間ほとんど寝ていたし、時々アランと話し込んだりしていたので、きちんと二人でお話することはできませんでした。
「レオ、コレット。もうすぐ到着だから起きろ!」
アランが私たちの特別室を開けて声をかけます。レオ様も目を覚まして、髪の毛を整え始めました。
「コレット、嫌かもしれないけど俺と手を繋いで汽車を降りて。なるべく目立つように、迎えも寄越してる」
「レオ様! 手を繋ぐのがイヤだなんて、私そんな事思っていません!」
分かった分かったとレオ様は笑い、停車した汽車から二人で降ります。レオ様は以前みたいなキラキラモード。背筋を伸ばして優しい視線、お迎えに来た方に笑顔で手を振ります。
こき使われるのがあんなに嫌だったのに、キラキラモードのレオ様に物足りなさと寂しさを感じます。やっぱりまだ怒っているのかな。手は繋いでいるけれど、心はどこか遠くにある気がします。
駅から外に出ると、仰々しいばかりに馬車や従者たちのお迎えです。アランと二人で旅行に行ったという根も葉もない噂が広まらないように、わざと派手にしているのですね。
私の気持ちを伝えるのは馬車の中しかないと思ったのに、馬車にはアランも一緒です。ええい、恥ずかしがっていては何も進まない! アランの目の前だけれど、言うわよ私!
「レオ様!!」
レオ様とアランが驚いて飛び跳ねます。
「コレット、驚くからやめてくれよ。なんだ?」
「昨日は、わざわざ遠くまで迎えにきてくれてありがとうございました。レオ様が来てくれなかったら、私どうなっていたか分かりません。それと、ネックレスの事……軽率なことをして本当に申し訳ありません」
レオ様はしばらく考えこんで、何も言葉を発しません。アランは所在なさげにしているけれど、走っている馬車から降りるわけにもいかず、端に寄って外を見ています。
「ああ、いや、ネックレスを人に渡すのは確かに困る。でもそれ以外は……一晩頭を冷やして、俺も悪かったと思ってる」
「え? レオ様が悪いところなんて特に何も……。大体私がずっと、あいまいな態度を取っていたことが悪かったんです。私本当は……」
「いやちょっと待って!!!! 俺のこと見えてる?!」
アランが馬車の中で立ち上がって大声で叫びます。もう! いいところだったのに!
「アラン……? おはよう」
「……ああ、もう出かける時間か。行こう」
椅子の上で伸びをするアランの横には、彼の物らしき荷物が積んでありました。
「もしかして、ここで寝てたの?」
「レオがコレットの部屋を見張れって言うからさ。大丈夫、ヴォルタース達が鉱山に出発してから少し寝たから」
アランにも御礼を言って、駅に向かいます。汽車の特別室にはもうレオ様が到着して座っていました。昨日のような怒った表情ではないけれど、少し疲れが見える青白い顔です。
「レオ様、昨日は申し訳ありませんでした」
「いや、もういいよ。俺ちょっと寝るから、ゆっくりしてて」
そう言ってレオ様は壁にもたれて寝てしまいました。私の気持ちを伝えたかったけど、レオ様が起きてからにしよう。ちゃんと謝って、その後で、レオ様のことが好きだと言おう。
しかしレオ様は昨日全く寝ていなかったのか王都に到着するまでの間ほとんど寝ていたし、時々アランと話し込んだりしていたので、きちんと二人でお話することはできませんでした。
「レオ、コレット。もうすぐ到着だから起きろ!」
アランが私たちの特別室を開けて声をかけます。レオ様も目を覚まして、髪の毛を整え始めました。
「コレット、嫌かもしれないけど俺と手を繋いで汽車を降りて。なるべく目立つように、迎えも寄越してる」
「レオ様! 手を繋ぐのがイヤだなんて、私そんな事思っていません!」
分かった分かったとレオ様は笑い、停車した汽車から二人で降ります。レオ様は以前みたいなキラキラモード。背筋を伸ばして優しい視線、お迎えに来た方に笑顔で手を振ります。
こき使われるのがあんなに嫌だったのに、キラキラモードのレオ様に物足りなさと寂しさを感じます。やっぱりまだ怒っているのかな。手は繋いでいるけれど、心はどこか遠くにある気がします。
駅から外に出ると、仰々しいばかりに馬車や従者たちのお迎えです。アランと二人で旅行に行ったという根も葉もない噂が広まらないように、わざと派手にしているのですね。
私の気持ちを伝えるのは馬車の中しかないと思ったのに、馬車にはアランも一緒です。ええい、恥ずかしがっていては何も進まない! アランの目の前だけれど、言うわよ私!
「レオ様!!」
レオ様とアランが驚いて飛び跳ねます。
「コレット、驚くからやめてくれよ。なんだ?」
「昨日は、わざわざ遠くまで迎えにきてくれてありがとうございました。レオ様が来てくれなかったら、私どうなっていたか分かりません。それと、ネックレスの事……軽率なことをして本当に申し訳ありません」
レオ様はしばらく考えこんで、何も言葉を発しません。アランは所在なさげにしているけれど、走っている馬車から降りるわけにもいかず、端に寄って外を見ています。
「ああ、いや、ネックレスを人に渡すのは確かに困る。でもそれ以外は……一晩頭を冷やして、俺も悪かったと思ってる」
「え? レオ様が悪いところなんて特に何も……。大体私がずっと、あいまいな態度を取っていたことが悪かったんです。私本当は……」
「いやちょっと待って!!!! 俺のこと見えてる?!」
アランが馬車の中で立ち上がって大声で叫びます。もう! いいところだったのに!
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