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第一章
四年後
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◇
「リル」
庭でチョコと魔法対決をしていたリルがサイの元に駆け寄る。
「なんですか」
サイがリルの姿をまじまじと見つめた。
「もう十五歳か」
「はい」
リルがサイに拾われてから四年が経過した。十五という数字は、出会った当初リル自身が十一歳と伝えたからだ。適当なので、もしかしたら今十四歳かもしれないし十六歳かもしれない。
「しかしまあ、立派になったもんだ」
リルはこの四年間で大いに成長した。見た目はもちろん、特筆すべきは魔法についてだ。
渡された基本書は一週間であっという間にマスター。それからはサイが直接教えたが、一度教えればすぐに実行でき、今では独自の魔法を編み出している。
ちなみに、この四年で人に会うことは一度もなかった。不思議に思って山を調べたところ、どうにも山の中腹辺りから頂上まで結界が張られているようだった。リルが来た時には無かったので、少なくとも、この四年以内に作られたものだということが分かる。
どういう意図があって結界を張っているのか聞いていないため知らないが、幸か不幸かこれのおかげで屋敷の人間にリルの居場所がバレることはなかった。もしかしたら、早々に諦めてリルは存在しなかったことにされているかもしれない。それはそれで良しとする。
「チョコも立派になったねえ」
「えへへ」
「半分呆れているけどね」
リルの横にいるチョコは以前よりさらに大きくなり、背中には羽が生えている。これは毛の中に収納できる優れものだ。
つまり空を飛ぶことができるのだが、通常ウォルフは飛べない。リルが魔法学を応用し、チョコを進化させたのだ。もちろん、チョコの同意を得てだが。
長年一緒にいたため、頭の良いチョコはすっかりリルの言うことが分かるようになった。頷きや鳴き方で意思疎通も可能である。
「もう私を越えたんじゃないか」
「そんなことないです」
これは、謙遜というより、リルに一切の興味が無いことを示していた。
リルは魔法士として天才的だが、向上心がまるで無い。師匠を越えたいと思ったこともない。サイはあれこれ試してみたものの、リルの心が上を向くことはなかった。
そこで強硬手段に出た。
「王宮魔法士にならないかい」
「嫌です」
リルは食い気味に拒否をした。予想通りの返答にサイががっくり肩を落とす。
「私はこれからも好きな時に寝る生活をしたいので」
「これこれ」
チョコに乗り、サイの元から逃げる。サイは壁に掛けていた剣を手に取り、それに飛び乗るとリルを追いかけた。
「リル、話を聞きなさい!」
「嫌です」
困ったことになった。非常に困ったことになった。
この四年、問題も起きず、のんびりまったりスローライフを送ってきた。もちろん魔法の勉強はあったが、あとは本当に自由にさせてくれたので、チョコと遊んで寝転んで惰眠を貪る日々だった。それなのに、ここにきて王宮魔法士だなんて。
「ぜっったい嫌だ。朝から夜まで働くなんて気狂いのすることだよ」
四年間、人間に会わなかった。遊び相手はチョコや山にいる魔物だった。生活は自給自足で、野菜の種類が少ないことがやや不満だったが、それが人里に下りる理由にはならない。とにかくリルはスローライフを守るべく、サイから逃げまくった。
「うわ、もう追いついてきた。さすが師匠」
しかし、大人しく捕まるつもりは全くない。リルが右手めで大きく縁を描く。
「空間移動」
空中に靄が現れ、チョコごとそこへ突っ込む。リルたちの姿は跡形もなく消えた。
「くそッ空間魔法なんていつの間に覚えたんだ」
サイが悔しそうに呟く。
「リル」
庭でチョコと魔法対決をしていたリルがサイの元に駆け寄る。
「なんですか」
サイがリルの姿をまじまじと見つめた。
「もう十五歳か」
「はい」
リルがサイに拾われてから四年が経過した。十五という数字は、出会った当初リル自身が十一歳と伝えたからだ。適当なので、もしかしたら今十四歳かもしれないし十六歳かもしれない。
「しかしまあ、立派になったもんだ」
リルはこの四年間で大いに成長した。見た目はもちろん、特筆すべきは魔法についてだ。
渡された基本書は一週間であっという間にマスター。それからはサイが直接教えたが、一度教えればすぐに実行でき、今では独自の魔法を編み出している。
ちなみに、この四年で人に会うことは一度もなかった。不思議に思って山を調べたところ、どうにも山の中腹辺りから頂上まで結界が張られているようだった。リルが来た時には無かったので、少なくとも、この四年以内に作られたものだということが分かる。
どういう意図があって結界を張っているのか聞いていないため知らないが、幸か不幸かこれのおかげで屋敷の人間にリルの居場所がバレることはなかった。もしかしたら、早々に諦めてリルは存在しなかったことにされているかもしれない。それはそれで良しとする。
「チョコも立派になったねえ」
「えへへ」
「半分呆れているけどね」
リルの横にいるチョコは以前よりさらに大きくなり、背中には羽が生えている。これは毛の中に収納できる優れものだ。
つまり空を飛ぶことができるのだが、通常ウォルフは飛べない。リルが魔法学を応用し、チョコを進化させたのだ。もちろん、チョコの同意を得てだが。
長年一緒にいたため、頭の良いチョコはすっかりリルの言うことが分かるようになった。頷きや鳴き方で意思疎通も可能である。
「もう私を越えたんじゃないか」
「そんなことないです」
これは、謙遜というより、リルに一切の興味が無いことを示していた。
リルは魔法士として天才的だが、向上心がまるで無い。師匠を越えたいと思ったこともない。サイはあれこれ試してみたものの、リルの心が上を向くことはなかった。
そこで強硬手段に出た。
「王宮魔法士にならないかい」
「嫌です」
リルは食い気味に拒否をした。予想通りの返答にサイががっくり肩を落とす。
「私はこれからも好きな時に寝る生活をしたいので」
「これこれ」
チョコに乗り、サイの元から逃げる。サイは壁に掛けていた剣を手に取り、それに飛び乗るとリルを追いかけた。
「リル、話を聞きなさい!」
「嫌です」
困ったことになった。非常に困ったことになった。
この四年、問題も起きず、のんびりまったりスローライフを送ってきた。もちろん魔法の勉強はあったが、あとは本当に自由にさせてくれたので、チョコと遊んで寝転んで惰眠を貪る日々だった。それなのに、ここにきて王宮魔法士だなんて。
「ぜっったい嫌だ。朝から夜まで働くなんて気狂いのすることだよ」
四年間、人間に会わなかった。遊び相手はチョコや山にいる魔物だった。生活は自給自足で、野菜の種類が少ないことがやや不満だったが、それが人里に下りる理由にはならない。とにかくリルはスローライフを守るべく、サイから逃げまくった。
「うわ、もう追いついてきた。さすが師匠」
しかし、大人しく捕まるつもりは全くない。リルが右手めで大きく縁を描く。
「空間移動」
空中に靄が現れ、チョコごとそこへ突っ込む。リルたちの姿は跡形もなく消えた。
「くそッ空間魔法なんていつの間に覚えたんだ」
サイが悔しそうに呟く。
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