幸福からくる世界

林 業

文字の大きさ
上 下
2 / 44
ある大陸のある国にて

2

しおりを挟む
リースティーン、アルブレッド。
朧気な記憶の中で最後に一緒に暮らしていた孤児。
今はやってないが当時は孤児や施設の子を引取って成人するまで育てていた。
その時の最大で三人まで。
それでも能力はあるのに教養を得られない子などに援助するためそうしていた。

後純粋に子供が可愛かったというのもあった。

リースティーンはルーンティルの後継者の一人
として引き取ったのだが本人が医者になりたいと言うので後継者育ては断念。
元々ルーンティル本人が後継者育成にあまり、乗り気ではなかったというのもある。
後継者育成というのはあくまでも引き取るための対外的理由である。

「リーン。来たぞ」
サジタリスがルーンティルを抱き上げながら部屋に入る。
「先生。師父の日々の歩行訓練の邪魔しないでくださいって言ってるでしょうが」
「だって」
「甘やかすな」
睨みつけるリースティーンに、サジタリスはルーンティルを渋々下ろす。
「ごめんね。リーン君。僕が遅いからサジの予定に支障が」
「師父。いいんですよ。過保護気味な先生が悪いんですからね」
小さい頃はサジタリスの戦闘訓練から逃げ回っていたというのに。
転がされては師父と泣きついていた小さなあの子。
大人になったなぁと暖かく見守る。
「先生の部屋。本当に物置でいいんですか?いや。物はのけましたけど。日当たりがいい病室とか。今日は空いてますよ」
「うん。今日納品する道具はあまり日が当たらないほうがいいんだよ」
「そうですか」
じゃあ、と案内する。
「今日お仕事、大丈夫なの?」
「患者が来ませんからね。いいことですよ」
「経営は」
ボソリとサジタリスが告げて、ルーンティルがお腹を叩いて黙らせる。
「資金援助するから何時でも言ってね。腕がいいのは知ってるからね」
「ありがとうございます」
苦笑しながら、部屋へと案内する。
「三日ほど出てくるから後頼むな」
「はいはい。お気をつけて」
「礼の土産何がいい?」
サジタリスに聞かれ、いつも通り答える。
「じゃあ、珍しい毒草、薬草か、食材で」
いつもどおり適当に答えれば、わかったと頷く。
いつもどおり適当にその辺の露天で買うか、よくわかっていないので花などを積んでくるだろう。
花はそのままルーンティルに渡せば喜んでくれる。

一応預かるときのルーンティルの生活費は多めに貰っている。
ルーンティルはまだ筋力低下など様々な後遺症があるのと、その希少な技術のため思惑ある人間に狙われている。
そのためサジタリスが出かける際は預かっている。
他の兄妹のところでもいいが医者として色々と検査をすると言う名目もある。
ただ、街中に彼の世話になった子供、現在は大人がいて、手助けをしれくれるので負担はそこまでない。

ルーンティルにとってはリースティーンは末っ子でまだまだ可愛い盛りらしい。
いや、長子ですら可愛いと会話していたのを知っている。
そろそろ結婚は?
とか、お小遣いは。
とか、色々と言ってくる。
(俺、二十代後半なんだけどな)
そこまで裕福ではないので金銭的な援助は助かっている。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:196,758pt お気に入り:12,157

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:116,540pt お気に入り:2,761

捨てられ子供は愛される

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:201

愛する人に裏切られたようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:22,918pt お気に入り:633

処理中です...