宮古の桜
北国、南部に生まれた俺は、まあ田舎者だ。家柄がいいのでちゃっかり家老なんてやっちゃあいるが、俺はそんなたいしたもんじゃない。俺はただ、妻とずっとこの盛岡で、生きていたかっただけなのだ。それが俺のすべての望み、だった…。 幕末、南部藩に若くして家老になった男がいた。楢山佐渡…時代に翻弄され、それでも運命に抗い願うのは…妻と見た桜を、ふたたび見たいと願うその思い…だった…
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