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5章 イズナバール迷宮編
252話 同類
「シュナさん、ゲンマさんのサポートを」
「はい!」
シンは、シュナがゲンマの傷を治しているのを確認すると自分もポーションで骨折を治し、魔力回復薬を飲んでマントの効果を発動、ヴリトラの眼前に並ぶ。
(ゲンマの超人剤が切れるまで2分ちょい、それで仕留められれば苦労は無いんだが)
内心の不安を隠しながらヴリトラに向かって余裕の笑みを浮かべるジンは、
「そんじゃ、そろそろ終わらせようか?」
『どこまでも舐めおってえええ!!』
──ブゥン!!
唸りを上げてシンに迫るヴリトラの腕はしかし、
バシイ!
シンの狼牙棒のフルスイングと相殺される。
『ぐう!!』
「あぐっ……」
円錐状の無数の突起で前腕を打ち据えられたヴリトラは苦痛の声を、そして全力を出した反動で両手両腕の骨が砕けたシンは苦悶の表情を上げながらそれでも睨みあう。
力比べは互角か──否、
今の一撃でシンは両腕が破壊されたのに対し、ヴリトラは弾き返されただけ、しかも、
──ヴォン!!
ヴリトラの腕は2本ある、反対側から唸りをあげながら迫る爪は怪しく光る──
ドスッ!!
頭上からルフトの魔弓から放たれる鉄杭がその掌の比較的薄い鱗を突き破る。
さらに足元では
「っりゃああ!! ──イテテテテ」
その脛をゲンマの持つ轟雷牙が浅く斬りつける。
『く……有象無象があ!!』
激昂するヴリトラは頭上にブレスを、足元は尻尾を、それぞれ2人に向けて放つが、ブレスはリオンに相殺され、狙いもつけずに振るう尻尾はかわされてしまう。
「うおおおお──っとと」
「なに逃げてんのよゲンマ! さっきみたいに斬りなさいよ!!」
「無茶言うんじゃねえ! こっちも腕が折れたり滅茶苦茶なんだぞ!?」
「そんなのアタシが治してあげるわよ!!」
足元で言い合う2人を睨みつけるヴリトラは、
『……有象無象の分際で我を斬る? 何度もそう上手くいくと思うなあああ!!』
──ヴォン!!
ヴリトラはそう吠えると、再度ゲンマに向かって尻尾を振るう!
「ああああ!? ええいクソ、カウンターストライク!! ──って、え?」
──ズバシュ!!
ゲンマの轟雷牙は1度目の時よりもすんなりとヴリトラの尻尾を斬り飛ばす。
『ぐぬうううううう!? キサマ、よくもおおお!!』
ヴリトラは更に怒りの雄たけびを上げ、今度は左足を上げてゲンマを踏みつけようとする、しかし、
──ザシュ!!
これもゲンマによって返され、腿の付け根から無くなった左足は出血を強いられる。
左足を失いバランスを崩したヴリトラは重くなった両翼を何とか羽ばたかせ、飛び上がることは出来ないもののその場で姿勢を整える程度のホバリングは可能だった。
『…………』
「あれ……もしかして、このままいける?」
斬撃の反動が来るも、骨が折れるまでには至らないゲンマはその顔に自信を漲らせてヴリトラの顔を見上げる。
それを見たヴリトラはまたも激昂、残った右足でゲンマを蹴り飛ばそうと大きく振りかぶる。
『虫けらがあああ!! シンドゥラ、こやつを排除した後はキサマの番だ!!』
「なんだ──?」
シンはあまりにも短絡的なヴリトラの行動に疑問を持つが、それが何なのか分からない──だから反応が遅れた。
「おおおおりゃああああ!!」
──ザンッ!!
『ぐうううおおおおおおお!!』
ヴリトラの右足は左同様に腿から斬り飛ばされ、その痛みとバランスを崩してヴリトラはその場に前のめりに倒れこむ。
そして同時に、
「ああああああああああ!!」
さすがに3度目は耐え切れなかったのか、両腕の骨が砕けたゲンマが絶叫をあげる。
「今さら折れた……? ──まさかヴリトラ!?」
痛みに蹲るゲンマを見ていたシンが振り返って見たものは、
──バサアッ!!
両足と尻尾を失い体を軽くしたヴリトラがハンドスプリングで飛び上がり、弱々しくも必死の羽ばたきで頭上のリオンに飛びついた姿だった。
『捕まえたぞ、臆病者共が!!』
ガブリ──
『うああああああ!!』
リオンは今度は肩口よりも深く、首の付け根を食いちぎられてバランスを崩すと、羽ばたきを止めたヴリトラの重量も重なり、地上に落下する。
「──ぐあっ!!」
リオンの背に乗っていたルフトもそのまま地上に投げ出されると、左肩から地面に激突して悲鳴を上げる。
ヴリトラの猛威は留まらず、
『我を見くびった報い、その身で味わうがよいわ、”天雷”!!』
「やべえっ、”門”!!」
──カッ!!
シンが転移門を発動させた直後、ヴリトラを中心に半径100メートルの範囲に一条の光が降り注ぐ。
天雷──ヴリトラの通常振るう無数の雷が束ねられた1本の雷の柱は、ヴリトラの身体ごと周囲をその電撃で焼き尽くす!!
そして、
シュウ……シュウ…………
焼けた地面からは蒸気が上がり、草は蒸発、土も所々ガラスのように変質する中、
『──なるほど、転移門ごときで逃げられるとは思わなんだが、そう使ったか、しかし』
シンの作った転移門はゲンマ、シュナ、ルフトの3人の頭上に展開されており、頭上から降ってくる雷を他所へと逃がす事で直撃を避けるようにしていた。
『足手まといを庇って自分は直撃とはな……愚かな事を』
「ハ……丁度肩がこってたんでね……おかげで少し軽くなったわ」
手足にはめた魔道鎧の防御結界で幾分か威力は減衰させたものの、直撃のあおりを受けて地面に這い蹲るシンの姿がそこにはあった──。
──────────────
──────────────
憎い──全てが。
身勝手な口上で我等を虐げた勇者が、その勇者に敗北した己が、暴走する勇者を監視する為だなどと己に嘘をついてまで命乞いをした自分が、勇者に対抗する為とはいえ仲間を喰らって力を奪った事が、結局再戦する事無く勝手に人間如きに誅された勇者が。
そして──勇者と同じ世界から来た魂を持つこの男が。
『惨めよな、そんな役にも立たぬ有象無象を庇って動けなくなるとは』
「別に……役立たずでもなけりゃあ有象無象でもねえさ……一緒に手前を討つ仲間だって言ってんだろ、ヴリトラ」
仲間、仲間と言うたか!
『なにが仲間か、この中の誰一人としてキサマに並び立とうとする者など居らぬではないか!!』
我に対して攻撃する手段を持たぬ小娘に、自らが傷付くのを恐れて剣を振るえない小僧、遠くから矢を射るしか出来ぬ臆病者に、魔竜の分際で己が攻撃が貴様を巻き込むことを危ぶんで遠巻きに見ておるだけの無能、どこに仲間がおるというのか!?
違うであろう!
キサマにとって仲間とは、キサマと同じ場所に立てる者とは、ただ勝つ事を見据える事の出来る者であるはずだ!!
勝つ為ならば手足を何度でも折ればよい、身体を苛む痛みなど、敗北の屈辱、命乞いの恥辱に苛まれる心の痛みに比べれなんと生ぬるい事か! そんな事すら耐えれぬ者がキサマの仲間なものか!
反撃を恐れて遠巻きに攻撃する者が、味方を巻き込むのを恐れて敵を仕留めにこれぬ者がキサマの仲間であるものか!
キサマと並び立てる者は、敵の喉笛に噛み付くためならば己の身体を切り刻ませて身軽になって飛べるような、そして、
『ぐむぅ……』
ブチブチブチブチ──!!
「ちっ……イヤな解決策を」
『フン、キサマも我の立場ならばやるであろうよ……ムゥン!!』
バキャン!!
重力結界などという煩わしい枷を取り除くためなら、その翼をもぐくらいの潔さの持ち主こそが、キサマと同じ目線に立てる者。
──ただ一人、我こそがキサマの唯一無二の同類よ。
だと言うのに、何故にキサマはそちら側に立っている、我と対立する!?
癒えることの無い傷を刻まれながら何故、我の側に来ぬ!!
『──傷つく事を躊躇い勝利を取りこぼすようなやつ等を、それでもまだ仲間と呼ぶか! そやつ等にはキサマが見ておる世界など見えておらぬわ!!』
「いつかは見るかもしれない……そもそも見る必要もねえよ」
『まだぬかすかあああ!!』
──カッ!!
「……ちっ、詠唱無しで使えるようになったか」
五体を完全に取り戻した我に向かってシンドゥラが忌々しげに毒づく。
よくも言いよるわ、これがキサマの使う魔法であるならば、今の我がかなり消耗しておるのも察しておろうに。
見え透いた芝居など、キサマを見続けていた我に通用などせぬわ。
──シュン!!
『うぬぅ──!?』
我との会話の際に薬を飲んだか、初手と変わらぬ速度で我に向かってあの棒切れを振るってきよる。
ゴッ!!
『ぬ、ぬうううう!!』
「がはっ!!」
その一撃が我の首筋を強打するが、ヤツは当然のように己の骨の砕く。
それでも折れた指で棒切れを離さず、しかし我の振るった腕に絡まり弾き飛ばされる。
く……有象無象は排除できたが、その代償に身体の動きがかなり悪うなっておる。今の状態ではヤツの攻撃を捌ききれず最終的には……確かに、仲間などとは認めぬが、それでも勝利の為の布石としては機能したか、腹の立つ。
だが我とてこのまま負けるわけには……む、なんだアレは?
我は視線の遥か先に5つの人影を見つける。
『シンドゥラめ、この期に及んで伏兵を忍ばせておいたか……そうはいかぬ』
策を弄する前に叩き潰してくれるわ!
バサッ──!!
………………………………。
………………………………。
────ズゥン!!
「ひゃあ!!」
『キサマらがシンドゥラの奥の手か?』
「へ……シンドゥラ?」
……ただの空回りか、くだらん。良く見ればどれも大した強さは感じられぬな。
『そうか──ならば死ね』
──ブン!
「うおおおおおお!?」
『────ぬ』
──ブン!
「うおおおおおお!!」
何だと? 我の爪を2度もかわした、この虫けらが?
────まさか。
──スゥ
「みんな右へ逃げろ、ブレスが来るっ!!」
────見つけたぞシンドゥラ、キサマに対抗する手段を。
「はい!」
シンは、シュナがゲンマの傷を治しているのを確認すると自分もポーションで骨折を治し、魔力回復薬を飲んでマントの効果を発動、ヴリトラの眼前に並ぶ。
(ゲンマの超人剤が切れるまで2分ちょい、それで仕留められれば苦労は無いんだが)
内心の不安を隠しながらヴリトラに向かって余裕の笑みを浮かべるジンは、
「そんじゃ、そろそろ終わらせようか?」
『どこまでも舐めおってえええ!!』
──ブゥン!!
唸りを上げてシンに迫るヴリトラの腕はしかし、
バシイ!
シンの狼牙棒のフルスイングと相殺される。
『ぐう!!』
「あぐっ……」
円錐状の無数の突起で前腕を打ち据えられたヴリトラは苦痛の声を、そして全力を出した反動で両手両腕の骨が砕けたシンは苦悶の表情を上げながらそれでも睨みあう。
力比べは互角か──否、
今の一撃でシンは両腕が破壊されたのに対し、ヴリトラは弾き返されただけ、しかも、
──ヴォン!!
ヴリトラの腕は2本ある、反対側から唸りをあげながら迫る爪は怪しく光る──
ドスッ!!
頭上からルフトの魔弓から放たれる鉄杭がその掌の比較的薄い鱗を突き破る。
さらに足元では
「っりゃああ!! ──イテテテテ」
その脛をゲンマの持つ轟雷牙が浅く斬りつける。
『く……有象無象があ!!』
激昂するヴリトラは頭上にブレスを、足元は尻尾を、それぞれ2人に向けて放つが、ブレスはリオンに相殺され、狙いもつけずに振るう尻尾はかわされてしまう。
「うおおおお──っとと」
「なに逃げてんのよゲンマ! さっきみたいに斬りなさいよ!!」
「無茶言うんじゃねえ! こっちも腕が折れたり滅茶苦茶なんだぞ!?」
「そんなのアタシが治してあげるわよ!!」
足元で言い合う2人を睨みつけるヴリトラは、
『……有象無象の分際で我を斬る? 何度もそう上手くいくと思うなあああ!!』
──ヴォン!!
ヴリトラはそう吠えると、再度ゲンマに向かって尻尾を振るう!
「ああああ!? ええいクソ、カウンターストライク!! ──って、え?」
──ズバシュ!!
ゲンマの轟雷牙は1度目の時よりもすんなりとヴリトラの尻尾を斬り飛ばす。
『ぐぬうううううう!? キサマ、よくもおおお!!』
ヴリトラは更に怒りの雄たけびを上げ、今度は左足を上げてゲンマを踏みつけようとする、しかし、
──ザシュ!!
これもゲンマによって返され、腿の付け根から無くなった左足は出血を強いられる。
左足を失いバランスを崩したヴリトラは重くなった両翼を何とか羽ばたかせ、飛び上がることは出来ないもののその場で姿勢を整える程度のホバリングは可能だった。
『…………』
「あれ……もしかして、このままいける?」
斬撃の反動が来るも、骨が折れるまでには至らないゲンマはその顔に自信を漲らせてヴリトラの顔を見上げる。
それを見たヴリトラはまたも激昂、残った右足でゲンマを蹴り飛ばそうと大きく振りかぶる。
『虫けらがあああ!! シンドゥラ、こやつを排除した後はキサマの番だ!!』
「なんだ──?」
シンはあまりにも短絡的なヴリトラの行動に疑問を持つが、それが何なのか分からない──だから反応が遅れた。
「おおおおりゃああああ!!」
──ザンッ!!
『ぐうううおおおおおおお!!』
ヴリトラの右足は左同様に腿から斬り飛ばされ、その痛みとバランスを崩してヴリトラはその場に前のめりに倒れこむ。
そして同時に、
「ああああああああああ!!」
さすがに3度目は耐え切れなかったのか、両腕の骨が砕けたゲンマが絶叫をあげる。
「今さら折れた……? ──まさかヴリトラ!?」
痛みに蹲るゲンマを見ていたシンが振り返って見たものは、
──バサアッ!!
両足と尻尾を失い体を軽くしたヴリトラがハンドスプリングで飛び上がり、弱々しくも必死の羽ばたきで頭上のリオンに飛びついた姿だった。
『捕まえたぞ、臆病者共が!!』
ガブリ──
『うああああああ!!』
リオンは今度は肩口よりも深く、首の付け根を食いちぎられてバランスを崩すと、羽ばたきを止めたヴリトラの重量も重なり、地上に落下する。
「──ぐあっ!!」
リオンの背に乗っていたルフトもそのまま地上に投げ出されると、左肩から地面に激突して悲鳴を上げる。
ヴリトラの猛威は留まらず、
『我を見くびった報い、その身で味わうがよいわ、”天雷”!!』
「やべえっ、”門”!!」
──カッ!!
シンが転移門を発動させた直後、ヴリトラを中心に半径100メートルの範囲に一条の光が降り注ぐ。
天雷──ヴリトラの通常振るう無数の雷が束ねられた1本の雷の柱は、ヴリトラの身体ごと周囲をその電撃で焼き尽くす!!
そして、
シュウ……シュウ…………
焼けた地面からは蒸気が上がり、草は蒸発、土も所々ガラスのように変質する中、
『──なるほど、転移門ごときで逃げられるとは思わなんだが、そう使ったか、しかし』
シンの作った転移門はゲンマ、シュナ、ルフトの3人の頭上に展開されており、頭上から降ってくる雷を他所へと逃がす事で直撃を避けるようにしていた。
『足手まといを庇って自分は直撃とはな……愚かな事を』
「ハ……丁度肩がこってたんでね……おかげで少し軽くなったわ」
手足にはめた魔道鎧の防御結界で幾分か威力は減衰させたものの、直撃のあおりを受けて地面に這い蹲るシンの姿がそこにはあった──。
──────────────
──────────────
憎い──全てが。
身勝手な口上で我等を虐げた勇者が、その勇者に敗北した己が、暴走する勇者を監視する為だなどと己に嘘をついてまで命乞いをした自分が、勇者に対抗する為とはいえ仲間を喰らって力を奪った事が、結局再戦する事無く勝手に人間如きに誅された勇者が。
そして──勇者と同じ世界から来た魂を持つこの男が。
『惨めよな、そんな役にも立たぬ有象無象を庇って動けなくなるとは』
「別に……役立たずでもなけりゃあ有象無象でもねえさ……一緒に手前を討つ仲間だって言ってんだろ、ヴリトラ」
仲間、仲間と言うたか!
『なにが仲間か、この中の誰一人としてキサマに並び立とうとする者など居らぬではないか!!』
我に対して攻撃する手段を持たぬ小娘に、自らが傷付くのを恐れて剣を振るえない小僧、遠くから矢を射るしか出来ぬ臆病者に、魔竜の分際で己が攻撃が貴様を巻き込むことを危ぶんで遠巻きに見ておるだけの無能、どこに仲間がおるというのか!?
違うであろう!
キサマにとって仲間とは、キサマと同じ場所に立てる者とは、ただ勝つ事を見据える事の出来る者であるはずだ!!
勝つ為ならば手足を何度でも折ればよい、身体を苛む痛みなど、敗北の屈辱、命乞いの恥辱に苛まれる心の痛みに比べれなんと生ぬるい事か! そんな事すら耐えれぬ者がキサマの仲間なものか!
反撃を恐れて遠巻きに攻撃する者が、味方を巻き込むのを恐れて敵を仕留めにこれぬ者がキサマの仲間であるものか!
キサマと並び立てる者は、敵の喉笛に噛み付くためならば己の身体を切り刻ませて身軽になって飛べるような、そして、
『ぐむぅ……』
ブチブチブチブチ──!!
「ちっ……イヤな解決策を」
『フン、キサマも我の立場ならばやるであろうよ……ムゥン!!』
バキャン!!
重力結界などという煩わしい枷を取り除くためなら、その翼をもぐくらいの潔さの持ち主こそが、キサマと同じ目線に立てる者。
──ただ一人、我こそがキサマの唯一無二の同類よ。
だと言うのに、何故にキサマはそちら側に立っている、我と対立する!?
癒えることの無い傷を刻まれながら何故、我の側に来ぬ!!
『──傷つく事を躊躇い勝利を取りこぼすようなやつ等を、それでもまだ仲間と呼ぶか! そやつ等にはキサマが見ておる世界など見えておらぬわ!!』
「いつかは見るかもしれない……そもそも見る必要もねえよ」
『まだぬかすかあああ!!』
──カッ!!
「……ちっ、詠唱無しで使えるようになったか」
五体を完全に取り戻した我に向かってシンドゥラが忌々しげに毒づく。
よくも言いよるわ、これがキサマの使う魔法であるならば、今の我がかなり消耗しておるのも察しておろうに。
見え透いた芝居など、キサマを見続けていた我に通用などせぬわ。
──シュン!!
『うぬぅ──!?』
我との会話の際に薬を飲んだか、初手と変わらぬ速度で我に向かってあの棒切れを振るってきよる。
ゴッ!!
『ぬ、ぬうううう!!』
「がはっ!!」
その一撃が我の首筋を強打するが、ヤツは当然のように己の骨の砕く。
それでも折れた指で棒切れを離さず、しかし我の振るった腕に絡まり弾き飛ばされる。
く……有象無象は排除できたが、その代償に身体の動きがかなり悪うなっておる。今の状態ではヤツの攻撃を捌ききれず最終的には……確かに、仲間などとは認めぬが、それでも勝利の為の布石としては機能したか、腹の立つ。
だが我とてこのまま負けるわけには……む、なんだアレは?
我は視線の遥か先に5つの人影を見つける。
『シンドゥラめ、この期に及んで伏兵を忍ばせておいたか……そうはいかぬ』
策を弄する前に叩き潰してくれるわ!
バサッ──!!
………………………………。
………………………………。
────ズゥン!!
「ひゃあ!!」
『キサマらがシンドゥラの奥の手か?』
「へ……シンドゥラ?」
……ただの空回りか、くだらん。良く見ればどれも大した強さは感じられぬな。
『そうか──ならば死ね』
──ブン!
「うおおおおおお!?」
『────ぬ』
──ブン!
「うおおおおおお!!」
何だと? 我の爪を2度もかわした、この虫けらが?
────まさか。
──スゥ
「みんな右へ逃げろ、ブレスが来るっ!!」
────見つけたぞシンドゥラ、キサマに対抗する手段を。
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