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6章 ライゼン・獣人連合編
260話 家族?
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時は帝国暦九百八十六年、九月の初頭。
人と魔族の全面衝突が、その身の不利を覚った魔王によって張られた大結界によって一時中断したのは実に九百八十八年も昔の話。
しかしその大結界は十一年後に消失する──不都合な真実を知る一握りの連中を除き、世界は概ね平和に流れている。
それは、こんな絶海の孤島にあっても──。
ピョールルルーーーー。
頭上を優雅に飛ぶ水鳥たちの鳴き声が周囲に響き渡る──。
今年ももう九月、季節は秋を迎えはしたものの、南大陸に位置する我が家はまだまだ日差しも強く、暑い毎日は夏の終わりを微塵も感じさせない。
こんな日は、いっそ裸で海に飛び込んでしまえば心も身体も気持ちよかろう。
──まあ今は無理なんだが……。
「──シン、引いとるぞ?」
「これはまだエサが暴れてるだけ……糸が8の字に動いてんだろ」
背後から聞こえる退屈そうな声を適当に流しながら、俺は手元の釣竿を強く握ってアタリを待つ。そう──釣りは忍耐だ。
──シュン!
そんな俺を尻目に、先ほどまで頭上にいた鳥達が海面に向かって次々と飛び込み、その嘴に魚を咥えては反転上昇を繰り返す。
どうやら、海中で暴れているヤツから逃げるために海面までやってきた魚達を狙って、水鳥たちは俺の周りに集まっているらしい。
「……あんまり自分達だけ景気のいい事してると、後ろのヤツに食われるぞ?」
「食う訳が無かろう──あんな身の少なそうなモン」
「デカけりゃ食うのかよ……っと、どうやらお目当てのデカブツのお出ましだ!」
グゥン──!
釣竿が大きくしなり、さっきまで8の字を描いていた鎖も、俺の身体を引きずり込もうとビィンと真っ直ぐ伸びて海中へと沈んでゆく。
俺を海中へ引きずりこもうと言うのか、大海原にポツンと浮かぶカップルボートサイズの小舟の上で踏ん張る俺を、獲物がグイグイと引っ張ってきた。
──グラリ
「おい、今揺れたぞ。しっかり制御せんか」
「……分かってるよ!」
水龍ヴァルナ──水を司る精霊王にして俺の不肖の師匠──が、”水流操作”の制御が緩んだのを目ざとく見つけ、叱責する。ウッセーな、こっちだって頑張ってんだよ!
現在俺は二つの作業を行っている。大まかに言えば、小舟の周囲数メートルの海水を魔法で制御し、凪の状態を作りつつ海水の粘度を操作する事で、海中へ引きずり込もうとする相手から小舟を守る。そして、そんな繊細な作業をしながら大物相手に釣りを行うという変態ぶりだ。
「ったく、訳の分からん修行をさせやがって……」
「何じゃ、一から言うてやらねば理解できぬほど阿呆になったか、なっさけないのう?」
チッ、ああ言えばこう言う……ええ、ええ分かってますよ! 魔力消費の激しい”領域”および”探知網”に頼らない、周辺空間の観測からの展開予測によって俺の直観力を鍛える修行の一環なんだろ?
ったく、大物狙いに来てるのに、わざわざ小舟まで用意しやがって。
グゥゥン──!!
……フン、甘ぇよ。
俺は鎖越しに伝わる相手の呼吸に合わせて釣竿を操ると、ゆっくりゆっくり、リールと言う名のウインチを巻き上げる。その間も、魔法で海面の粘度を制御しながら舟をピクリとも揺らさないよう、慎重に慎重を重ねてだ。
「釣りに出て、何でこんなしんどい思いを……」
「ああ、なんじゃったか……おお、思い出した──「キツくない訓練があるなら俺も知りたい」、はて、誰の言葉じゃったかのう?」
「ちっ……」
この地獄耳、どこで聞いてやがった。
ニヤニヤ笑うヴァルナは無視して俺はリールを巻き続ける。そして、獲物が海面にその影を映し出すほどに浮上してきたのを確認すると、
「ど……っせい!! ホラ、仕留めるのは任せたぞ!」
「任せとけい──ほれ」
パチン──!
ヴァルナが一度、指を大きく鳴らすと、
「ギュッ──!」
海面に姿を現した獲物──グレートオーシャンクラブは、くぐもった悲鳴を上げ、
ズバシャーーーン!!
そのまま仰け反る様にひっくり返ると、海面を甲羅で激しく一度叩き、その後ピクリとも動かなくなる──。
「……つまらんのう」
Aランクモンスターを指先一つでダウンさせたヴァルナは、本当につまらなそうに呟く。
そして、その表情が本当につまらなそうで、俺も思わず呟いてしまう。
「頂点ゆえ、か──」
張り合う相手がいないと言うのはどんな気分なのだろう? 仮に同格のイグニスと戦ったとして、今の肉体は仮初めの物にすぎない、本格的に戦うのであればそれはただ、己の魔素──精霊としての存在を削り合うだけの消耗戦なのだろう……そんな戦闘では、何かを感じる事など無いだろう。
ヴァルナもイグニスも、さぞや世界に退屈している事だろう。だからだろうか、この世界におけるイレギュラーの俺に構うのも、俺の頼みを聞いてくれるのも──。
「──何をチンタラしとる、今日のノルマはあと五匹じゃぞ?」
……コイツにそんなセンチメンタルを期待した俺がバカだったか。
「五匹って……またエサ釣りから始めるのかよ?」
「あん? エサならそこのを回復してやれば良かろう」
「……ホントに鬼だな」
グレートオーシャンクラブのハサミに挟まれ、所々直角に折れ曲がってぐったりとしているエサ──シーサーペントを魔法で回復させてやると、元気になったソイツは囚われの状態から逃れようと、急いで海中に没す。
スマンな、あと五匹釣り終えたら楽にしてやるからさ。
────────────。
その後、何事も無く合計六匹のカニを捕まえた俺とヴァルナは、転移魔法で家に戻る──。
「ヤレヤレ、結構時間がかかったのう──おーい、いま戻ったぞ」
俺が小舟を砂浜に接岸させている間にヴァルナは軽やかに跳躍、音も無く砂浜に着地すると、砂浜を見下ろせる位置に建つ俺の家に向かって大声で呼びかけた。
──ガタン!
オープンテラスに置かれたデッキチェアは音を上げながら大きく揺れ、小さな影がバネのように跳ね起きると、テラスから砂浜まで高低差五メートルを飛び降り、砂浜をパサパサと音を立てながら近付いてくる。
──その数、二つ。
「「まぁま!」」
「………………………………」
うん、お前達、まずはそのおぞましい呼び方を改める所から始めようか……。
みてくれだけなら文句無しの美女をママ呼ばわりした、見た目2~3歳くらいの幼児達は、ヴァルナの目の前まで近寄るとその場でピョンピョンと小さくジャンプする。それはまるで、だっこをおねだりするかのようだ。
「やれやれ、甘えん坊じゃのう……ほれ」
困ったように言いながらもヴァルナはチビ達を優しく抱き上げ、あやす様に小さく揺らす。
チビ達も嬉しいのか、キャイキャイと甲高い声をあげながら満面の笑みを浮かべる様は、本当に母子にも見えてくるから不思議だ。
ただ、それよりもなによりも、ヴァルナが俺には決して見せない慈母の様な微笑みを浮かべるのを見ると、胸が締め付けられてしまう。
それは羨ましいからでも、ましてや妬ましいからでも無い。ただ、俺にとってその笑顔を見るのは何よりも辛い──。
「──なんじゃシン、ボーっと見惚れおってからに。お前もだっこしてやろうか?」
「ふ・ざ・け・ん・な! 考え事をしてただけだ」
「ほうかほうか……ならさっさと荷を引き上げんか!」
ゲシッ!!
がふっ──!!
……うん、判ってた筈だ、アイツはああいうヤツだと。
顔面の右半分に砂を塗しながら俺は、小舟に括りつけたグレートオーシャンクラブ六体とシーサーペント一体を陸揚げする。
「「あー、ごはんー♪」」
とたんにガキンチョ二人はヴァルナの腕の中からすり抜けると、俺に駆け寄り纏わりつく。
そうかそうか、おまえ等は食い気第一主義かね。
「ヤレヤレ、文字通りエサで釣るとは狡っからいヤツよのう」
「……回りくどい拗ね方するんじゃねえよ」
なんで俺が、日頃は仕事ばかりで子育てに参加しないくせに、たまに会社帰りにお土産を買ってきて子供の気を引こうとする、そんなお父様方みたいな真似をせにゃならんのか。
「「ごはんー」」
「……セリアにアトラ、ご飯の前にいう言葉があるだろう、俺にも、アレに対しても」
俺は、太腿にしがみついてゴハンを連呼する、日の光を浴びて鮮やかに輝くトルコ青の髪を生やした小さな男女コンビに向かって、諭す様に話す。
「「! まぁま、おかえりー」」
「うむ」
ハッと目を丸くしたチビ達が顔だけ振り返って元気良く声を掛けると、それを聞いたヴァルナは力強く頷く──だからママじゃねえんだよ!
そして今度は、俺を見上げながら満面の笑顔を浮かべ──
「にぃに、おかえりー」
「にーちゃ、おかえりー」
「……はい、ただいま」
うん、そして俺はお前達の兄でもなければアレの長男でも無いんだ……。
耳の後ろに、短いながらも竜種の証である角を生やした二人の子供に向かって俺は、半ば諦めの混じった笑顔を向けて言葉を返す。
まったく、世の中は想定外にしか動かねえ……。
人と魔族の全面衝突が、その身の不利を覚った魔王によって張られた大結界によって一時中断したのは実に九百八十八年も昔の話。
しかしその大結界は十一年後に消失する──不都合な真実を知る一握りの連中を除き、世界は概ね平和に流れている。
それは、こんな絶海の孤島にあっても──。
ピョールルルーーーー。
頭上を優雅に飛ぶ水鳥たちの鳴き声が周囲に響き渡る──。
今年ももう九月、季節は秋を迎えはしたものの、南大陸に位置する我が家はまだまだ日差しも強く、暑い毎日は夏の終わりを微塵も感じさせない。
こんな日は、いっそ裸で海に飛び込んでしまえば心も身体も気持ちよかろう。
──まあ今は無理なんだが……。
「──シン、引いとるぞ?」
「これはまだエサが暴れてるだけ……糸が8の字に動いてんだろ」
背後から聞こえる退屈そうな声を適当に流しながら、俺は手元の釣竿を強く握ってアタリを待つ。そう──釣りは忍耐だ。
──シュン!
そんな俺を尻目に、先ほどまで頭上にいた鳥達が海面に向かって次々と飛び込み、その嘴に魚を咥えては反転上昇を繰り返す。
どうやら、海中で暴れているヤツから逃げるために海面までやってきた魚達を狙って、水鳥たちは俺の周りに集まっているらしい。
「……あんまり自分達だけ景気のいい事してると、後ろのヤツに食われるぞ?」
「食う訳が無かろう──あんな身の少なそうなモン」
「デカけりゃ食うのかよ……っと、どうやらお目当てのデカブツのお出ましだ!」
グゥン──!
釣竿が大きくしなり、さっきまで8の字を描いていた鎖も、俺の身体を引きずり込もうとビィンと真っ直ぐ伸びて海中へと沈んでゆく。
俺を海中へ引きずりこもうと言うのか、大海原にポツンと浮かぶカップルボートサイズの小舟の上で踏ん張る俺を、獲物がグイグイと引っ張ってきた。
──グラリ
「おい、今揺れたぞ。しっかり制御せんか」
「……分かってるよ!」
水龍ヴァルナ──水を司る精霊王にして俺の不肖の師匠──が、”水流操作”の制御が緩んだのを目ざとく見つけ、叱責する。ウッセーな、こっちだって頑張ってんだよ!
現在俺は二つの作業を行っている。大まかに言えば、小舟の周囲数メートルの海水を魔法で制御し、凪の状態を作りつつ海水の粘度を操作する事で、海中へ引きずり込もうとする相手から小舟を守る。そして、そんな繊細な作業をしながら大物相手に釣りを行うという変態ぶりだ。
「ったく、訳の分からん修行をさせやがって……」
「何じゃ、一から言うてやらねば理解できぬほど阿呆になったか、なっさけないのう?」
チッ、ああ言えばこう言う……ええ、ええ分かってますよ! 魔力消費の激しい”領域”および”探知網”に頼らない、周辺空間の観測からの展開予測によって俺の直観力を鍛える修行の一環なんだろ?
ったく、大物狙いに来てるのに、わざわざ小舟まで用意しやがって。
グゥゥン──!!
……フン、甘ぇよ。
俺は鎖越しに伝わる相手の呼吸に合わせて釣竿を操ると、ゆっくりゆっくり、リールと言う名のウインチを巻き上げる。その間も、魔法で海面の粘度を制御しながら舟をピクリとも揺らさないよう、慎重に慎重を重ねてだ。
「釣りに出て、何でこんなしんどい思いを……」
「ああ、なんじゃったか……おお、思い出した──「キツくない訓練があるなら俺も知りたい」、はて、誰の言葉じゃったかのう?」
「ちっ……」
この地獄耳、どこで聞いてやがった。
ニヤニヤ笑うヴァルナは無視して俺はリールを巻き続ける。そして、獲物が海面にその影を映し出すほどに浮上してきたのを確認すると、
「ど……っせい!! ホラ、仕留めるのは任せたぞ!」
「任せとけい──ほれ」
パチン──!
ヴァルナが一度、指を大きく鳴らすと、
「ギュッ──!」
海面に姿を現した獲物──グレートオーシャンクラブは、くぐもった悲鳴を上げ、
ズバシャーーーン!!
そのまま仰け反る様にひっくり返ると、海面を甲羅で激しく一度叩き、その後ピクリとも動かなくなる──。
「……つまらんのう」
Aランクモンスターを指先一つでダウンさせたヴァルナは、本当につまらなそうに呟く。
そして、その表情が本当につまらなそうで、俺も思わず呟いてしまう。
「頂点ゆえ、か──」
張り合う相手がいないと言うのはどんな気分なのだろう? 仮に同格のイグニスと戦ったとして、今の肉体は仮初めの物にすぎない、本格的に戦うのであればそれはただ、己の魔素──精霊としての存在を削り合うだけの消耗戦なのだろう……そんな戦闘では、何かを感じる事など無いだろう。
ヴァルナもイグニスも、さぞや世界に退屈している事だろう。だからだろうか、この世界におけるイレギュラーの俺に構うのも、俺の頼みを聞いてくれるのも──。
「──何をチンタラしとる、今日のノルマはあと五匹じゃぞ?」
……コイツにそんなセンチメンタルを期待した俺がバカだったか。
「五匹って……またエサ釣りから始めるのかよ?」
「あん? エサならそこのを回復してやれば良かろう」
「……ホントに鬼だな」
グレートオーシャンクラブのハサミに挟まれ、所々直角に折れ曲がってぐったりとしているエサ──シーサーペントを魔法で回復させてやると、元気になったソイツは囚われの状態から逃れようと、急いで海中に没す。
スマンな、あと五匹釣り終えたら楽にしてやるからさ。
────────────。
その後、何事も無く合計六匹のカニを捕まえた俺とヴァルナは、転移魔法で家に戻る──。
「ヤレヤレ、結構時間がかかったのう──おーい、いま戻ったぞ」
俺が小舟を砂浜に接岸させている間にヴァルナは軽やかに跳躍、音も無く砂浜に着地すると、砂浜を見下ろせる位置に建つ俺の家に向かって大声で呼びかけた。
──ガタン!
オープンテラスに置かれたデッキチェアは音を上げながら大きく揺れ、小さな影がバネのように跳ね起きると、テラスから砂浜まで高低差五メートルを飛び降り、砂浜をパサパサと音を立てながら近付いてくる。
──その数、二つ。
「「まぁま!」」
「………………………………」
うん、お前達、まずはそのおぞましい呼び方を改める所から始めようか……。
みてくれだけなら文句無しの美女をママ呼ばわりした、見た目2~3歳くらいの幼児達は、ヴァルナの目の前まで近寄るとその場でピョンピョンと小さくジャンプする。それはまるで、だっこをおねだりするかのようだ。
「やれやれ、甘えん坊じゃのう……ほれ」
困ったように言いながらもヴァルナはチビ達を優しく抱き上げ、あやす様に小さく揺らす。
チビ達も嬉しいのか、キャイキャイと甲高い声をあげながら満面の笑みを浮かべる様は、本当に母子にも見えてくるから不思議だ。
ただ、それよりもなによりも、ヴァルナが俺には決して見せない慈母の様な微笑みを浮かべるのを見ると、胸が締め付けられてしまう。
それは羨ましいからでも、ましてや妬ましいからでも無い。ただ、俺にとってその笑顔を見るのは何よりも辛い──。
「──なんじゃシン、ボーっと見惚れおってからに。お前もだっこしてやろうか?」
「ふ・ざ・け・ん・な! 考え事をしてただけだ」
「ほうかほうか……ならさっさと荷を引き上げんか!」
ゲシッ!!
がふっ──!!
……うん、判ってた筈だ、アイツはああいうヤツだと。
顔面の右半分に砂を塗しながら俺は、小舟に括りつけたグレートオーシャンクラブ六体とシーサーペント一体を陸揚げする。
「「あー、ごはんー♪」」
とたんにガキンチョ二人はヴァルナの腕の中からすり抜けると、俺に駆け寄り纏わりつく。
そうかそうか、おまえ等は食い気第一主義かね。
「ヤレヤレ、文字通りエサで釣るとは狡っからいヤツよのう」
「……回りくどい拗ね方するんじゃねえよ」
なんで俺が、日頃は仕事ばかりで子育てに参加しないくせに、たまに会社帰りにお土産を買ってきて子供の気を引こうとする、そんなお父様方みたいな真似をせにゃならんのか。
「「ごはんー」」
「……セリアにアトラ、ご飯の前にいう言葉があるだろう、俺にも、アレに対しても」
俺は、太腿にしがみついてゴハンを連呼する、日の光を浴びて鮮やかに輝くトルコ青の髪を生やした小さな男女コンビに向かって、諭す様に話す。
「「! まぁま、おかえりー」」
「うむ」
ハッと目を丸くしたチビ達が顔だけ振り返って元気良く声を掛けると、それを聞いたヴァルナは力強く頷く──だからママじゃねえんだよ!
そして今度は、俺を見上げながら満面の笑顔を浮かべ──
「にぃに、おかえりー」
「にーちゃ、おかえりー」
「……はい、ただいま」
うん、そして俺はお前達の兄でもなければアレの長男でも無いんだ……。
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