娼館産まれの人形でも、皇子に娶られる夢を見たい。

 魔法により、人形に意志を持たせられるようになって既に数年。セクシャルドールとして娼館で働いていた人形、カシュラは、いつも窓から外の世界を眺めていた。

 カシュラは主人との契約により、勝手に娼館の外に出れば命を失う。ゆえにカシュラの唯一の楽しみは、同僚と慰め合ったり、娼館を訪れる冒険者たちから、数多の冒険譚に耳を傾けることだけ。

 ――しかし、隣国セントヴルムとの外交会談当日。なんとセントヴルムからの代表人、セファール・セヴルム皇子が、なんの気まぐれかカシュラを呼び寄せ、夜伽を命じた。

 「ただの皇族の遊び」。カシュラはそう確信しながら、最初で最後の外の世界を目に焼き付ける。そして一度きりのつもりで皇子を愛した……の、だが。なぜかセヴルム皇子は、翌日、翌々日と続けてカシュラを買い続け……?


(Nolaの方でも、紫藤光之助名義であげてたりします)
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