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3章
56話:レストランへ
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雑貨屋を出た後はご飯を食べようと、お店を探して歩いていた。立花は俺と腕を組んで歩いているのだが、胸をあててくるので俺の胸はドキドキである。
「ふふっ、周平ったらドキドキしてるでしょう?」
「それはそうだ、立花みたいに記憶が完全じゃないからさ」
「どうも腹立たしいことに、私と夫婦をしていた記憶がけっこう欠落してるみたいね。私との夜は覚えてる?」
「一応したこととかの記憶は部分部分ではあるが覚えているよ」
「そう、ならやるときは上手くやってくれるわね」
立花さん、そんなこと言われたら想像が膨らんじまうよ。そんな想像をしていると俺の息子はみるみる膨らんでいく。
あ、ヤバいわ。
「想像して大きくなっているわ」
「恥ずかしい……」
「何を恥ずかしがっているのかしら?それと大きくなってもらわないと困るとこだし」
いくら強くても性欲には抗えんな……
立花からするとこれは夫婦のお出かけだが俺からすると恋人とのデートって感じなんだよな。この温度差もなんというかもどかしい。
「私は別に今は温度差があっても大丈夫よ。むしろからかいがいがあって楽しいし」
エスパーかよ!
立花は俺の顔を見てニヤニヤしてくる。見透かされてますなこれは。
「負けました……」
「フフッ、それでどこで食べる?」
そうだ、お店を探しているんだったな。おっといかんいかん。変な方向に想像が行ってしまったな。
「ここいかにも高そうだけど行ってみる?」
少し先に大きな建物がある。大きな建物と言っても、この世界の建築物と地球の建築物を足して割ったような、西洋風の塔だ。街で一番高い建物には高級レストランがあると、九兵衛さんが言っていたっけな。
「九兵衛さんが言っていたお店ね。行きましょうか」
「オーケー」
俺達はお店へと向かい入った。
「これはまた中も豪華やな」
「そうね、それで一番高級なのは一番上の階ね」
どうやら魔力で動くエレベータのようなもので行くみたいだ。
「お客様ご予約の方ですか?」
エレベータのようなものに乗ろうとしたら係員に引き留められた。
「違います」
「それですと上の階にはいくことができませんが……」
昼の時間は少しずれているはずだが……
「何時間待ちかしら?」
「そうですね一週間待ちです」
はっ!?
一週間は少しキツいな……
だが立花は引き下がらず、むしろムキになってヒートする。
「その予約をすっ飛ばす方法は?」
「立花さんそれはいくら何でも……」
「周平はちょっと黙ってて」
「あっ、はい」
ヒートしてる立花は止めない方が無難です。というか楽です。
「あなた方にその資格があるとは思いませんが、ここは冒険者ギルドの総長が作ったお店なので、冒険者のランクが高ければ優先して入れます。特に白金なら予約を飛ばして入れます。お金では動きません」
ランク?まてよ、それなら俺達は余裕じゃ……立花はそれを聞いた瞬間ニヤッとした。
「なら大丈夫ね、行きましょう周平」
「そうだな~立花の勝ち」
「ふふっ、こんなんで私が負けるわけないでしょう」
「ははっ、だな」
というか今のに勝ち負けとかないんだが……とは口が裂けてももちろん言わない。ただ係員の態度と門前払いに気に入らなくて、勝手にヒートして無理やりでもそれをねじ込んだので、立花からしたらこれは勝ちなのだ。
「ちょっと言っている意味が……」
係員は困惑しているがそれ以上は口を開かせる気はなかった。俺達は九兵衛さんと同等のブラックランクのカードを見せつけた。勝利を確定させる、ここである意味最強のリバースカードだ。
「嘘……総長と一緒……」
係員は唖然としてしまった。人は見かけによらないということを少しは学んだかな。俺達は係員を無視して、エレベータのようなものに乗り最上階へと向かった。
「これ作ったのって……」
「直樹でしょうね。こんなの彼のアイデアがないと無理だわ」
「ですよね~」
この世界にこんな地球チックなものをつくれるのは天才藤島直樹しかいないな。九兵衛さんが作らせたなら間違いない。
「あの時も私達十三人で自由に空を飛ぶ乗り物も作ろうとしていたわよね?たしか戦空挺だったっけ?」
「そうそう、結局構想段階で戦争の激化で作れなかったやつな」
「私達はこの力で脳も含めて強化されているし私には王の書、あなたには完全記憶があるけど、彼の頭脳には到底届かないあたり、私達が神じゃないことを証明していると思わない?」
「確かにな、俺達もかなり頭は回る方だと思うけどあれはまじで異常だよな」
あいつ二十柱にいれたほうがいいんじゃねなんて思ったのはよく覚えている。
「そうね、でも九兵衛さん曰くそれでも彼は二十柱の器ではないってのがまた不思議よね」
「まぁ二十しか席がないのと、大半埋まってるからな。そもそもあいつが補佐タイプってのがあるのかも」
二十柱は補佐をするのではなく、される側の存在。素質と運の両方を兼ね備えた者がなる事ができる。それを考えれば当然なのかもしれない。
「ただあいつなら昔図書館が言ってた次元エレベータを完成させることができるかもしれないけどな」
それができれば行き来が自由にすることも不可能ではない。現時点では勇者召喚以外では違う世界からこっちの世界に行くことは出来ないはずだからな。
「たしか図書館はそれに断念していたわよね?」
「ああ、なんでも移動させるエネルギー源の自動確保と、耐久面に難ありだったんだよ。でもたしか直樹に話したら、脳内でそれをクリアできる構想ができたと言っていたな」
「あら、直樹ったら頭脳派の図書館も超えちゃうんなんて」
マジで天才だわ。でも少し抜けてるとこもあるから馬鹿と天才は紙一重とは言ったものだ。
「ただ飛ばすときに体が残らないってさ。二十柱クラスならそれに耐えられるだろうけど、それでも難ありでそこはクリアできてなかったな」
そこまでクリアしたら全部色々解決しちゃうんだけどそこまで世の中は甘くない。
エレベータで上まで着くと、そこはいかにも高級ですと言わんばかりのレストランだ。十階にそびえ立つその場所は、選ばれた者のみが足を踏み入れることができる。そんな場所にも思えた。鉄板料理大和と書かれたそのお店はいかにも九兵衛さんらしい名前である。
「お客様ご予約の方ですか?」
「いや、こういう者だ」
俺と立花はドヤ顔でブラックランクのカードを店員に見せる。見せられた店員は一瞬困惑したがすぐに冷静になる。このカード見せればギルド施設は全てフリーという事だろう。
「二十分ほどお待ちくださいませ。」
そう言われ二十分弱座って待つと再び店員がこちらに来て席まで案内される。地球でいうとこの鉄板料理屋と同じような構造で、造られており、地球に戻ってきたんじゃないかと思うぐらいだ。
「ここは六本木の鉄板料理やかな?」
「ふふっ、同感ね」
さてメニューが気になるとこだが……
するとどうやら支配人と思われる人が挨拶に来た。上品な服装で身だしなみバッチリのダンディなおじ様だ。
「どうもいらっしゃいませ、神山様に神明様」
「俺達を知っているのか?」
「もちろんです、ではここで自己紹介させていただきます。私はアザムール・モレイラと申します。ランクは白金で総長の腹心の一人でございます」
「九兵衛さんの腹心の一人ね。それでここの支配人も任されているわけね」
「左様でございます。先ほどブラックランクの二人がここに登ってくると聞いたものでしてね。噂のお二人にお越しいただき恐悦至極にございます」
深々と頭を下げる。同じ腹心でもザルカヴァと違い随分とまともな人だな。丁寧過ぎて逆にこっちが恐縮してしまうな。
「そんなかしこまらんでくれよ。有名人でもないんだし」
「何をおっしゃられているのですか?境界騎士団と言えば、冒険者ギルドの成り立ちにおいても重要ですし、そこの主力であった神山様や神明様は九兵衛さん同様、天上の方なのです」
うん……あの獣人娘はこの人の爪の垢を煎じて飲ませたほうがいい。しかしギルドの成り立ちで、なんで騎士団が関係あるんだ?
「ねぇギルドの成り立ちと騎士団ってどう関係があるの?」
「それはですね、総長がこの街とギルドを作ったのは、そもそも来たるべき時に備えてなのです」
「どういうことだ?」
「境界騎士団とは、確かに歴史においては反逆の集団と言われてますが、差別意識の解放と、多種多様な種族の共存という思想を世界に大きく広めたのです。総長は冒険者ギルドを作るにおいて理念として、騎士団が掲げたこの思想を世に広めていくというのを理想として掲げました。だからあなた達は私達のパイオニアなのです!」
確かに偽神を倒し、世界を自由へと解放するってのは大っぴらに言ったし、当時差別を受けていた種族も味方につけて差別意識の解放も掲げてたな。俺達の終わってないあの戦争を完全に終わらせる為に、九兵衛さんは意思を引き継ぎずっと俺達を待っていてくれたんだな……スケベで女にだらしない人ではあるがや頼りがいのある人である事は間違いない。
「なるほどな、それで俺達が立ち上がったその時、この街は俺達の大本営となるわけか」
「ええ、高いランクの冒険者の大半はみな九兵衛さんを慕っていますし、冒険者の大半は自由を掲げていますからね」
「フフッ、なら期待に応えないとね」
「だな、それで周りにお客様がいないのが気になるとこだが……」
店に入りけっこう奥まで連れていかされたが、お客さんはほとんどいなかったな。入ろうとして予約一週間待ちとか言われたし、流石に客がいないなんて事はないだろう。
「あなたたちが来ると聞いたので他のお客様はみな帰っていただきましたよ」
「いいのかそれ?」
「当然です!あなた達と同格のお客様など九兵衛さまやほかの騎士団メンバーぐらいです!」
俺と立花はそれを聞いて苦笑する。まぁランクで予約を飛ばせるお店だし当然の対応か。
「ではシェフが来るので数分お待ちを」
アザムールも一旦下がる。さてここを任されるシェフとその料理も楽しみだ。
「ふふっ、周平ったらドキドキしてるでしょう?」
「それはそうだ、立花みたいに記憶が完全じゃないからさ」
「どうも腹立たしいことに、私と夫婦をしていた記憶がけっこう欠落してるみたいね。私との夜は覚えてる?」
「一応したこととかの記憶は部分部分ではあるが覚えているよ」
「そう、ならやるときは上手くやってくれるわね」
立花さん、そんなこと言われたら想像が膨らんじまうよ。そんな想像をしていると俺の息子はみるみる膨らんでいく。
あ、ヤバいわ。
「想像して大きくなっているわ」
「恥ずかしい……」
「何を恥ずかしがっているのかしら?それと大きくなってもらわないと困るとこだし」
いくら強くても性欲には抗えんな……
立花からするとこれは夫婦のお出かけだが俺からすると恋人とのデートって感じなんだよな。この温度差もなんというかもどかしい。
「私は別に今は温度差があっても大丈夫よ。むしろからかいがいがあって楽しいし」
エスパーかよ!
立花は俺の顔を見てニヤニヤしてくる。見透かされてますなこれは。
「負けました……」
「フフッ、それでどこで食べる?」
そうだ、お店を探しているんだったな。おっといかんいかん。変な方向に想像が行ってしまったな。
「ここいかにも高そうだけど行ってみる?」
少し先に大きな建物がある。大きな建物と言っても、この世界の建築物と地球の建築物を足して割ったような、西洋風の塔だ。街で一番高い建物には高級レストランがあると、九兵衛さんが言っていたっけな。
「九兵衛さんが言っていたお店ね。行きましょうか」
「オーケー」
俺達はお店へと向かい入った。
「これはまた中も豪華やな」
「そうね、それで一番高級なのは一番上の階ね」
どうやら魔力で動くエレベータのようなもので行くみたいだ。
「お客様ご予約の方ですか?」
エレベータのようなものに乗ろうとしたら係員に引き留められた。
「違います」
「それですと上の階にはいくことができませんが……」
昼の時間は少しずれているはずだが……
「何時間待ちかしら?」
「そうですね一週間待ちです」
はっ!?
一週間は少しキツいな……
だが立花は引き下がらず、むしろムキになってヒートする。
「その予約をすっ飛ばす方法は?」
「立花さんそれはいくら何でも……」
「周平はちょっと黙ってて」
「あっ、はい」
ヒートしてる立花は止めない方が無難です。というか楽です。
「あなた方にその資格があるとは思いませんが、ここは冒険者ギルドの総長が作ったお店なので、冒険者のランクが高ければ優先して入れます。特に白金なら予約を飛ばして入れます。お金では動きません」
ランク?まてよ、それなら俺達は余裕じゃ……立花はそれを聞いた瞬間ニヤッとした。
「なら大丈夫ね、行きましょう周平」
「そうだな~立花の勝ち」
「ふふっ、こんなんで私が負けるわけないでしょう」
「ははっ、だな」
というか今のに勝ち負けとかないんだが……とは口が裂けてももちろん言わない。ただ係員の態度と門前払いに気に入らなくて、勝手にヒートして無理やりでもそれをねじ込んだので、立花からしたらこれは勝ちなのだ。
「ちょっと言っている意味が……」
係員は困惑しているがそれ以上は口を開かせる気はなかった。俺達は九兵衛さんと同等のブラックランクのカードを見せつけた。勝利を確定させる、ここである意味最強のリバースカードだ。
「嘘……総長と一緒……」
係員は唖然としてしまった。人は見かけによらないということを少しは学んだかな。俺達は係員を無視して、エレベータのようなものに乗り最上階へと向かった。
「これ作ったのって……」
「直樹でしょうね。こんなの彼のアイデアがないと無理だわ」
「ですよね~」
この世界にこんな地球チックなものをつくれるのは天才藤島直樹しかいないな。九兵衛さんが作らせたなら間違いない。
「あの時も私達十三人で自由に空を飛ぶ乗り物も作ろうとしていたわよね?たしか戦空挺だったっけ?」
「そうそう、結局構想段階で戦争の激化で作れなかったやつな」
「私達はこの力で脳も含めて強化されているし私には王の書、あなたには完全記憶があるけど、彼の頭脳には到底届かないあたり、私達が神じゃないことを証明していると思わない?」
「確かにな、俺達もかなり頭は回る方だと思うけどあれはまじで異常だよな」
あいつ二十柱にいれたほうがいいんじゃねなんて思ったのはよく覚えている。
「そうね、でも九兵衛さん曰くそれでも彼は二十柱の器ではないってのがまた不思議よね」
「まぁ二十しか席がないのと、大半埋まってるからな。そもそもあいつが補佐タイプってのがあるのかも」
二十柱は補佐をするのではなく、される側の存在。素質と運の両方を兼ね備えた者がなる事ができる。それを考えれば当然なのかもしれない。
「ただあいつなら昔図書館が言ってた次元エレベータを完成させることができるかもしれないけどな」
それができれば行き来が自由にすることも不可能ではない。現時点では勇者召喚以外では違う世界からこっちの世界に行くことは出来ないはずだからな。
「たしか図書館はそれに断念していたわよね?」
「ああ、なんでも移動させるエネルギー源の自動確保と、耐久面に難ありだったんだよ。でもたしか直樹に話したら、脳内でそれをクリアできる構想ができたと言っていたな」
「あら、直樹ったら頭脳派の図書館も超えちゃうんなんて」
マジで天才だわ。でも少し抜けてるとこもあるから馬鹿と天才は紙一重とは言ったものだ。
「ただ飛ばすときに体が残らないってさ。二十柱クラスならそれに耐えられるだろうけど、それでも難ありでそこはクリアできてなかったな」
そこまでクリアしたら全部色々解決しちゃうんだけどそこまで世の中は甘くない。
エレベータで上まで着くと、そこはいかにも高級ですと言わんばかりのレストランだ。十階にそびえ立つその場所は、選ばれた者のみが足を踏み入れることができる。そんな場所にも思えた。鉄板料理大和と書かれたそのお店はいかにも九兵衛さんらしい名前である。
「お客様ご予約の方ですか?」
「いや、こういう者だ」
俺と立花はドヤ顔でブラックランクのカードを店員に見せる。見せられた店員は一瞬困惑したがすぐに冷静になる。このカード見せればギルド施設は全てフリーという事だろう。
「二十分ほどお待ちくださいませ。」
そう言われ二十分弱座って待つと再び店員がこちらに来て席まで案内される。地球でいうとこの鉄板料理屋と同じような構造で、造られており、地球に戻ってきたんじゃないかと思うぐらいだ。
「ここは六本木の鉄板料理やかな?」
「ふふっ、同感ね」
さてメニューが気になるとこだが……
するとどうやら支配人と思われる人が挨拶に来た。上品な服装で身だしなみバッチリのダンディなおじ様だ。
「どうもいらっしゃいませ、神山様に神明様」
「俺達を知っているのか?」
「もちろんです、ではここで自己紹介させていただきます。私はアザムール・モレイラと申します。ランクは白金で総長の腹心の一人でございます」
「九兵衛さんの腹心の一人ね。それでここの支配人も任されているわけね」
「左様でございます。先ほどブラックランクの二人がここに登ってくると聞いたものでしてね。噂のお二人にお越しいただき恐悦至極にございます」
深々と頭を下げる。同じ腹心でもザルカヴァと違い随分とまともな人だな。丁寧過ぎて逆にこっちが恐縮してしまうな。
「そんなかしこまらんでくれよ。有名人でもないんだし」
「何をおっしゃられているのですか?境界騎士団と言えば、冒険者ギルドの成り立ちにおいても重要ですし、そこの主力であった神山様や神明様は九兵衛さん同様、天上の方なのです」
うん……あの獣人娘はこの人の爪の垢を煎じて飲ませたほうがいい。しかしギルドの成り立ちで、なんで騎士団が関係あるんだ?
「ねぇギルドの成り立ちと騎士団ってどう関係があるの?」
「それはですね、総長がこの街とギルドを作ったのは、そもそも来たるべき時に備えてなのです」
「どういうことだ?」
「境界騎士団とは、確かに歴史においては反逆の集団と言われてますが、差別意識の解放と、多種多様な種族の共存という思想を世界に大きく広めたのです。総長は冒険者ギルドを作るにおいて理念として、騎士団が掲げたこの思想を世に広めていくというのを理想として掲げました。だからあなた達は私達のパイオニアなのです!」
確かに偽神を倒し、世界を自由へと解放するってのは大っぴらに言ったし、当時差別を受けていた種族も味方につけて差別意識の解放も掲げてたな。俺達の終わってないあの戦争を完全に終わらせる為に、九兵衛さんは意思を引き継ぎずっと俺達を待っていてくれたんだな……スケベで女にだらしない人ではあるがや頼りがいのある人である事は間違いない。
「なるほどな、それで俺達が立ち上がったその時、この街は俺達の大本営となるわけか」
「ええ、高いランクの冒険者の大半はみな九兵衛さんを慕っていますし、冒険者の大半は自由を掲げていますからね」
「フフッ、なら期待に応えないとね」
「だな、それで周りにお客様がいないのが気になるとこだが……」
店に入りけっこう奥まで連れていかされたが、お客さんはほとんどいなかったな。入ろうとして予約一週間待ちとか言われたし、流石に客がいないなんて事はないだろう。
「あなたたちが来ると聞いたので他のお客様はみな帰っていただきましたよ」
「いいのかそれ?」
「当然です!あなた達と同格のお客様など九兵衛さまやほかの騎士団メンバーぐらいです!」
俺と立花はそれを聞いて苦笑する。まぁランクで予約を飛ばせるお店だし当然の対応か。
「ではシェフが来るので数分お待ちを」
アザムールも一旦下がる。さてここを任されるシェフとその料理も楽しみだ。
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