戦場の拾い手

 戦争は終わった。
 けれど、死はまだ終わっていない。

 焦げた鉄と腐肉の臭いが残る廃墟の中を、一人の男が歩いていた。
 名はレオン。かつて剣を握り、人を殺した兵士。
 いま彼の手にあるのは、武器ではなく、死者たちが遺した“想い”の欠片だった。

 拾う。拾い続ける。
 それは罪を数え直すための行為。
 奪う者ではなく、返す者として生きるために。

 ある日、レオンは瓦礫の下から一つの銀の指輪を見つける。
 そこに刻まれていたのは、敵国の名。
 本来なら、拾うことすら許されぬ遺品。
 だが、彼はそれを胸に抱き、滅びた国の果てへと歩き出す。

 失われた戦場を越え、憎しみに沈む村に辿り着いたとき、
 彼はひとりの女と出会う。
 それは、死者が最後に望んだ“帰る場所”だった。

 奪われた命。赦されぬ罪。
 けれど、たった一つの指輪が、
 戦場に残された“祈り”を結び直していく。

 ――これは、奪われた世界の中で、
 あるべきものを、あるべき場所へと帰そうとした男の物語。
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