【R18】死にたがりエンドの傷物悪女は不治の病と夫に嘘吐く

シナリオ通りの暴行事件と婚約破棄の後。呪われた王子に嫁がされ、一年以内に自害する運命の悪役令嬢が、彼の子を生むまで生き延びようとするお話。(★回はRシーン有)

***

――どう藻掻いても、シナリオは変わらなかった。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生し、最悪の結末を回避するために頑張る……なんて努力に意味はなく、侯爵令嬢アデレードはシナリオ通りに辱められ、純潔を喪い、第二王子との婚約を解消させられた。

シナリオ内の悪役令嬢の最期は『いつのまにやら自害していた。』という雑なもので、この結末もまた不可避の模様……。

死にたい気持ちを抱えた彼女に、ある時、新たな縁談がやってくる。それは元婚約者の兄王子セドリックとのものだった。
彼は『呪われた王子』と言われており、これまでに彼と婚約した令嬢や聖女は皆、結婚の前に亡くなっている。

前世の知識からアデレードは、彼と結ばれたら一年以内に亡くなることを察しながらも、この縁談を承諾。
王命によって二人はすぐに籍を入れ、名実ともに夫婦となり、森の奥の離宮での生活を始めた。

セドリックは、アデレードを甘く、優しく愛した。
彼女は束の間の幸せに溺れ、ときおり『まだ死にたくない』『もっと生きたい』と感じるようになり――そんな時、

「子どもができた?」
「どうやら、初夜の時に……」

彼女の妊娠が発覚する。
(十月十日なら、まだ――)
それは、まるで奇跡のような時機で。

(ああ、この子を生むまでは、死ねないわ。どこにも書いてないなら、この子だけは、きっと)

出会いも、別れも、シナリオ通りに。
彼女は一年以内に自ら命を落とす。
それでも。

「あなたと、この子と出会えて――わたくしは、」

たった一文の結末を迎えるまで。
アデレードは、最後の時を全力で生き抜くのだ。


(――あなたの心を守るためなら、この嘘を貫いてみせる)

「余命一年と告げられたのです」

自害エンドの運命を背負う妻と、彼女に『不治の病』だと嘘をつかれた夫。転生悪役令嬢と呪われた王子。
すれ違いながらも想い合い、死に別れるふたりの、364日で終わる結婚生活。

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*朧星ここね名義作〈R18版〉
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