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サインした書類には……
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今現在、サヴェージの父親、前公爵は元気に領地で過ごしている。年に何度か王都に出てきては孫二人をでろでろに甘やかす祖父をやっている。
が、サラの事は認めていない。エリスの事はサヴェージの妻ではあるが公爵家の嫁ではない、と遇している。ポールとヴィクトリアが幼いころはエリスの事は乳母のようなものだと思っていた。
前公爵、サヴェージの父、サイラスが家にやってきた。王宮からの手紙を携えて。
「サヴェージが握りつぶすといけないという事で宰相から預かった」
リチャードはヴィクトリアに手紙を渡す。
「開けてもよろしいのですか?」
サイラスは頷く。父親の眉あたりがひくついてるなーとかお祖父様とお父様はよく似てらっしゃると二人とよく似た顔でヴィクトリアは考えながら手紙を開封する。
そこには「第一回選抜試験」と書いてあった。読んでいくと兄のいく大学までの王立学園とヴィクトリアの行く半花嫁学校と化した王立第二学園の生徒で同じ試験を行い、成績順でどちらの学園に行くかが決まる、という取り組みだった。ヴィクトリアの学年から行われ以降はサマーパーティの後の2か月の休みの後の試験でどちらに行くか決まる、という事らしい。
兄が口を開く。
「我が学園の一部の生徒が学園に入ったことで先が保証された、と勉強をしなくなるという事態があって。それが問題になってこういうシステムが考え出されたんだ。どちらも王立ではあるし王の名のもとにある程度無理は聞いてもらえるしね」
父親とよく似た一癖ある笑顔でポールは言った。
「ちなみに立案者は第4王子と第5王子だよ。僕じゃないからね」
とそらぞらしい笑顔でポールは答えた。
「サヴェージも昔と違って頭が固くなったの」
前公爵はからかい気味だ。こういう席にはサラもエリスも同席しないのが常であった。のだが、笑いあう血族の中にサラが乱入してきた。
「おじい様、私が第六王子の婚約者となったの。お祝いくださーい」
エリスがサラを追いかけてばたばたと走って入ってくる。
「エリス殿、これはどういうことだ?」
「前公爵様」
エリスの声にサラの声がかぶさる。
「お祖父様、我が公爵家からあたしが王族になるんです。ヴィクトリア姉様より上なんですよ」
底にサイラスの大声がかぶる。
「ばっかもーん、おぬしは公爵家の一員じゃない。お主はただの家の名もない『サラ』だ。うちの一員ではない。それともなにか、儂の知らぬ内にサヴェージの阿呆が籍に入れたとかいうのか?儂の印もなしにか?」
サヴェージは首を横に振っている。
「でもお父様はお父様って呼んでいいって言ったわ。お父様のお父様だからおじい様でしょ?」
サラは恐ろしい位けろっとしている。
「サラっ」
エリスの声にサラは肩を竦める。
「どっちにしても、第六王子の婚約者は私よね?ここにいる誰より私がえらくなるの。私を大事にしても損にならないと思うわ」
ああ、やはり知らないのかとヴィクトリアは思った。が、教えるほど親切ではないわ、私はとヴィクトリアは考えていた。このやりあいを横目に普通に紅茶を楽しんでいる。そしてサイラスははんっと鼻で笑った。
「エリスさん、あなたはヴィクトリアとポールには十分よくしてくれている。今回の件以外はな。だが、この礼儀も知らぬ娘はなんだ。正妃様からも注意がいったはずだぞ?あの森番をまだ雇っているのか?」
「使用人の雇用は私の管轄です」
サヴェージが口を挟む。
「森番の件は今日対処しました。領地内やこの敷地内には接近禁止、鞭打ちを年齢の数、という事で午前中で放逐してます」
「え?エドを追い出したの?!」
サラの声が大きい。ポールは聞いていたがヴィクトリアは何の事なのか、と思っている。
「エドと一緒になるなら今から追いかければいい。別に止めはしない」
サヴェージが冷たい声でいう。
「ただし、第六王子との婚約を破棄もしくは解消するというなら君はすぐに娼館に身柄を移される。そこで王家に対する賠償金を稼ぐまで働くことになる。今朝サインした書類に書いてあったぞ?」
が、サラの事は認めていない。エリスの事はサヴェージの妻ではあるが公爵家の嫁ではない、と遇している。ポールとヴィクトリアが幼いころはエリスの事は乳母のようなものだと思っていた。
前公爵、サヴェージの父、サイラスが家にやってきた。王宮からの手紙を携えて。
「サヴェージが握りつぶすといけないという事で宰相から預かった」
リチャードはヴィクトリアに手紙を渡す。
「開けてもよろしいのですか?」
サイラスは頷く。父親の眉あたりがひくついてるなーとかお祖父様とお父様はよく似てらっしゃると二人とよく似た顔でヴィクトリアは考えながら手紙を開封する。
そこには「第一回選抜試験」と書いてあった。読んでいくと兄のいく大学までの王立学園とヴィクトリアの行く半花嫁学校と化した王立第二学園の生徒で同じ試験を行い、成績順でどちらの学園に行くかが決まる、という取り組みだった。ヴィクトリアの学年から行われ以降はサマーパーティの後の2か月の休みの後の試験でどちらに行くか決まる、という事らしい。
兄が口を開く。
「我が学園の一部の生徒が学園に入ったことで先が保証された、と勉強をしなくなるという事態があって。それが問題になってこういうシステムが考え出されたんだ。どちらも王立ではあるし王の名のもとにある程度無理は聞いてもらえるしね」
父親とよく似た一癖ある笑顔でポールは言った。
「ちなみに立案者は第4王子と第5王子だよ。僕じゃないからね」
とそらぞらしい笑顔でポールは答えた。
「サヴェージも昔と違って頭が固くなったの」
前公爵はからかい気味だ。こういう席にはサラもエリスも同席しないのが常であった。のだが、笑いあう血族の中にサラが乱入してきた。
「おじい様、私が第六王子の婚約者となったの。お祝いくださーい」
エリスがサラを追いかけてばたばたと走って入ってくる。
「エリス殿、これはどういうことだ?」
「前公爵様」
エリスの声にサラの声がかぶさる。
「お祖父様、我が公爵家からあたしが王族になるんです。ヴィクトリア姉様より上なんですよ」
底にサイラスの大声がかぶる。
「ばっかもーん、おぬしは公爵家の一員じゃない。お主はただの家の名もない『サラ』だ。うちの一員ではない。それともなにか、儂の知らぬ内にサヴェージの阿呆が籍に入れたとかいうのか?儂の印もなしにか?」
サヴェージは首を横に振っている。
「でもお父様はお父様って呼んでいいって言ったわ。お父様のお父様だからおじい様でしょ?」
サラは恐ろしい位けろっとしている。
「サラっ」
エリスの声にサラは肩を竦める。
「どっちにしても、第六王子の婚約者は私よね?ここにいる誰より私がえらくなるの。私を大事にしても損にならないと思うわ」
ああ、やはり知らないのかとヴィクトリアは思った。が、教えるほど親切ではないわ、私はとヴィクトリアは考えていた。このやりあいを横目に普通に紅茶を楽しんでいる。そしてサイラスははんっと鼻で笑った。
「エリスさん、あなたはヴィクトリアとポールには十分よくしてくれている。今回の件以外はな。だが、この礼儀も知らぬ娘はなんだ。正妃様からも注意がいったはずだぞ?あの森番をまだ雇っているのか?」
「使用人の雇用は私の管轄です」
サヴェージが口を挟む。
「森番の件は今日対処しました。領地内やこの敷地内には接近禁止、鞭打ちを年齢の数、という事で午前中で放逐してます」
「え?エドを追い出したの?!」
サラの声が大きい。ポールは聞いていたがヴィクトリアは何の事なのか、と思っている。
「エドと一緒になるなら今から追いかければいい。別に止めはしない」
サヴェージが冷たい声でいう。
「ただし、第六王子との婚約を破棄もしくは解消するというなら君はすぐに娼館に身柄を移される。そこで王家に対する賠償金を稼ぐまで働くことになる。今朝サインした書類に書いてあったぞ?」
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