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マリーベル

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 「これからキャス様は私の庇護下に入ります。同じ公爵令嬢同士、私の派閥の補佐を務めていただきます」

朝、クラスの生徒が集まった時にマリーベル様がいきなり宣言した。女子生徒の悲鳴が聞こえる。

「以降、キャス様を侮り弁えない発言をするものは我がウエスト家、キャス様のミドルトン家を敵に回すと思いなさい」

側で見てると惚れ惚れするぐらい凛々しくて美しい方だわ、マリーベル様。て、ひと事扱いしたらまずいか。が、エイドリアンが先に動く。

「我が従姉妹、キャスリーンを傷つけるものはベアード家と敵対すると名乗りをあげておこう」



 昼休み、さっくりと王家の小部屋にお弁当と共に私はエイドリアンに拉致られる。もちろんマリーベル様も一緒だ。

マリーベル様は

『権力は使える場所で使いましょう。特に、『平等』を知らず親の威光を当たり前とする貴族クラス内で一番効果ある方法で』

とにこやかに微笑まれる。なんだろう…、殿下やエイドリアンといるよりもっとドキドキする。
 マリーベル様はいたずらっ子のように舌をぺろりと出す。

「ま、私の派閥は貴女と私しか居ないのだけどね」

「何故、私を構ってくださるのですか?」

「我が家は王妃様の実家扱いです。王妃様自体は隣国の公爵令嬢で、入婿の我が父の妹なのです」

マリーベル様は説明してくれる。

「王妃様からの緊急のお願いと、我が家の状況と」

マリーベル様は私を見つめる。

「貴女に嘘をついてもどうにもならないので。私は貴女個人をまだよく知らないけど殿下やエイドリアン様が色恋ではなく貴女を慕ってるので、悪い人ではないと思って」

「慕ってる?」

「ええ。貴女に友情を感じてる、て方が良いのかな?」

エイドリアンが言う。

「俺と殿下とキャスは幼馴染だからな。こいつの性格も性根もわかってるから」 

エイドリアンがお昼ご飯の入ったバスケットを開ける。まだ殿下は来ない。

「とりあえず食べておこう。キャスはほっとくとあんまりものを食べないからな」

マリーベル様はクスクス笑ってる。

「エイドリアン様、親鳥みたい」

「妹とキャスとジョージ殿下ともちろんジェリー殿下もな、みんなの面倒見るのに慣れてしまってたからな」

これは、マリーベル様とエイドリアン、気があっているのでは?!
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