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第2章事前対策
ライザの父は無能力者=ある意味チート能力2
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(まぁどちらにしろ、婚約者にするのは、皇太子は論外となると、残りはルイス様しか選択肢はない訳なんだけど…)
チラリと、隣にいる美麗な少年に視線を向ける。羨ましいくらいに陶器のようなきめ細やかな白い肌で透明感がある。
こんな男の子が一目惚れ?確かにライザは美しい。だけど、こう言う男の子は何人かとのお付き合いを経て成長するのよ。
此処で決めてしまうのは彼が勿体ない気もするわ。彼は公爵家当主であり、自分の身の振り方は自分で決められる。
確かに貴族なのだから、複数の妾を追々娶れるかもだけど、まだ純朴な少年なのだ。男の子も純愛を夢見るお年頃な筈だ。
(彼の場合、あの悪夢の日を経験してるから、ただ純朴では居られなかった訳なんだけど…だからこそ。
私では幸せに出来なそうと言うか。
そう言う辛い目にあった子ほど、平凡で性格の良い女の子を…
……いや、そもそもこの人私を破滅に追いやる子だった。
お、恐ろしい子!うっかり無害で美しい顔に惑わされてしまったわ。)※勝手に惑わされた。
そしてよく見ると。左目下にある泣き黒子を発見した。
ある神話の話では、片方の目の下に泣き黒子がある男は女性を惑わせるとか。この人も本来そう言う類の人になる予定だ。 悪役令息として成長したら何人も駒として誑し込む。
(ていうか、悪役令息にしない為にも、悪役令嬢に関わらせない方が良いのかな?)
ライザが色々考え込んで顳顬に人差し指を当てていると、ルイスが話しかけてきた。
「もしかして、皇太子とわたしで迷っているのか?」
「いや。迷いはしてないわ。
でも貴方に残念なお知らせなんだけど、私、愛よりお金の女よ?」
「…そんなライザに、話があって此処に来たんだ。」
「話?」
「ライザがわたしを選んでくれたら、わたしの婚約者である君の居る領土にも精霊の恩恵が受けられるようになる。」
「何ですって。」
精霊の恩恵があるのと無いのとでは、大地の恵が受ける自然の恩恵が大幅に違う。しかも、神聖な生き物だけに精霊はその姿を見るだけで運気が上がると言われている。だからこそ、商売をする人も農作物を育てる人も皆、アウステル公爵領へ移り住むのだ。
その恩恵を、私の領土でも…。
(本当に?)
チラッとルイスを見ると、にこっと笑みで返された。
「わたしとの婚約、大分前向きになれたか?」
「……!」
(だ、だめ。この美麗な顔とうまい話に騙されてはいけないわ。話がうますぎるわ。
こんなイケメンな男の子が、こんな破格の条件提示してまでわざわざ口説きにくるのがおかしいのよ。…そう、へんだわ。この人は最近家族を亡くしたばかりのはず。こんな事をしている余裕は無いはずなのよ。
…そうだ、そもそもそこが違和感だった。)
そこまで考えると、ライザは先日の、背筋をゾクリとさせた笑顔を思い出してかたまった。
(…何か、企まれてる…とか?)
「何も。企んでないよ。」
「!?…こ、心を読めるの?」
「ライザは動揺すると顔に出易いんだな。」
ははっと笑い声を上げたルイスに、肩の力が少し抜けた。
(この間みたいな、たまに覗かせる笑顔は。…あんな風に家族を失ってしまったから…なんだろうな。怖がったら、流石に可哀想か。まだ悪役令息な行いをした訳じゃないのに。)
「ごめん…。」
「ううん。ライザってさ。話してる事が凄く大人だから…たまに追いつけないかもって思うんだ。
だけど、わたしを怖がってる時や動揺している時は、歳相応な姿を見せてくれるな。」
「……もしかして、ワザと…なの?先日の…。」
「ー・さぁ。ライザはどう思う?」
「私は、貴方が何を考えているのか分からなくて怖いわ。」
「わたしは君の本当の心に近寄り触れてみたいだけだ。そんなに怯える必要はない。」
彼はまだ12歳の子供だ。
その筈なんだけど、今私に向けている視線は対等に私と渡り合あえると思わせてしまう位に、考えが読めなくて。こちらから近寄りたくなる様な。
中身が大人の私でも惑わせてしまいそうになるくらいにそれは優美な笑顔だった。
チラリと、隣にいる美麗な少年に視線を向ける。羨ましいくらいに陶器のようなきめ細やかな白い肌で透明感がある。
こんな男の子が一目惚れ?確かにライザは美しい。だけど、こう言う男の子は何人かとのお付き合いを経て成長するのよ。
此処で決めてしまうのは彼が勿体ない気もするわ。彼は公爵家当主であり、自分の身の振り方は自分で決められる。
確かに貴族なのだから、複数の妾を追々娶れるかもだけど、まだ純朴な少年なのだ。男の子も純愛を夢見るお年頃な筈だ。
(彼の場合、あの悪夢の日を経験してるから、ただ純朴では居られなかった訳なんだけど…だからこそ。
私では幸せに出来なそうと言うか。
そう言う辛い目にあった子ほど、平凡で性格の良い女の子を…
……いや、そもそもこの人私を破滅に追いやる子だった。
お、恐ろしい子!うっかり無害で美しい顔に惑わされてしまったわ。)※勝手に惑わされた。
そしてよく見ると。左目下にある泣き黒子を発見した。
ある神話の話では、片方の目の下に泣き黒子がある男は女性を惑わせるとか。この人も本来そう言う類の人になる予定だ。 悪役令息として成長したら何人も駒として誑し込む。
(ていうか、悪役令息にしない為にも、悪役令嬢に関わらせない方が良いのかな?)
ライザが色々考え込んで顳顬に人差し指を当てていると、ルイスが話しかけてきた。
「もしかして、皇太子とわたしで迷っているのか?」
「いや。迷いはしてないわ。
でも貴方に残念なお知らせなんだけど、私、愛よりお金の女よ?」
「…そんなライザに、話があって此処に来たんだ。」
「話?」
「ライザがわたしを選んでくれたら、わたしの婚約者である君の居る領土にも精霊の恩恵が受けられるようになる。」
「何ですって。」
精霊の恩恵があるのと無いのとでは、大地の恵が受ける自然の恩恵が大幅に違う。しかも、神聖な生き物だけに精霊はその姿を見るだけで運気が上がると言われている。だからこそ、商売をする人も農作物を育てる人も皆、アウステル公爵領へ移り住むのだ。
その恩恵を、私の領土でも…。
(本当に?)
チラッとルイスを見ると、にこっと笑みで返された。
「わたしとの婚約、大分前向きになれたか?」
「……!」
(だ、だめ。この美麗な顔とうまい話に騙されてはいけないわ。話がうますぎるわ。
こんなイケメンな男の子が、こんな破格の条件提示してまでわざわざ口説きにくるのがおかしいのよ。…そう、へんだわ。この人は最近家族を亡くしたばかりのはず。こんな事をしている余裕は無いはずなのよ。
…そうだ、そもそもそこが違和感だった。)
そこまで考えると、ライザは先日の、背筋をゾクリとさせた笑顔を思い出してかたまった。
(…何か、企まれてる…とか?)
「何も。企んでないよ。」
「!?…こ、心を読めるの?」
「ライザは動揺すると顔に出易いんだな。」
ははっと笑い声を上げたルイスに、肩の力が少し抜けた。
(この間みたいな、たまに覗かせる笑顔は。…あんな風に家族を失ってしまったから…なんだろうな。怖がったら、流石に可哀想か。まだ悪役令息な行いをした訳じゃないのに。)
「ごめん…。」
「ううん。ライザってさ。話してる事が凄く大人だから…たまに追いつけないかもって思うんだ。
だけど、わたしを怖がってる時や動揺している時は、歳相応な姿を見せてくれるな。」
「……もしかして、ワザと…なの?先日の…。」
「ー・さぁ。ライザはどう思う?」
「私は、貴方が何を考えているのか分からなくて怖いわ。」
「わたしは君の本当の心に近寄り触れてみたいだけだ。そんなに怯える必要はない。」
彼はまだ12歳の子供だ。
その筈なんだけど、今私に向けている視線は対等に私と渡り合あえると思わせてしまう位に、考えが読めなくて。こちらから近寄りたくなる様な。
中身が大人の私でも惑わせてしまいそうになるくらいにそれは優美な笑顔だった。
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