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第3章学園入学
悪役令嬢と悪役令息2
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「──・だから、ライザはあの時、わたしを助けたんだよね?」
「…どうして」
「碩学の大樹が、ライザの記憶を全て見せてくれた。ごめんね、勝手に記憶を見てしまって…」
私の記憶を…見た?えっ、どこまで?何で?何を見たの?
さっきルイスが口にしたことは、前世の私が知るもの。
後は、同じく転生したウルク殿下だが、お茶会での様子を見た所ルイスとウルク殿下は特に親しい訳でも無く、口を聞いた事も無かっただろうことは分かる。
なら、ルイスは前世の記憶を見たと言うことなんだろう。全て。
「…怒った?」
そう言って不安気に私の顔を覗き込んでくる。
「いや…怒ったと言うか、驚いて。いつそんな…あっ」
─────・そう言えば、ルイスが高熱を出した時、その原因は魔力の枯渇だった。
熱が下がって目覚めた時、ルイスの様子がおかしかった。
私の肩によりかかり、『ごめん』って呟やいてたあれはー…
『〝勝手に記憶を見て〟ごめん』と言うことだったのだ。
人の記憶を、しかも2人分の記憶を短時間にまとめて見るなど、とんでも無く大変な思いをしただろう。
「何で、そんな無茶なことを…っ。高熱で済んだなら良かったけど…寿命は、縮めてないよね??身体は?何ともない??」
私が慌てふためくと、ルイスはふふっ。と嬉しそうに笑って「そんな事しないよ」と返答が来たけれど、本当だろうか。
前世の記憶がある前提で記憶を見た訳では無いだろう。
1人分の記憶なら、ルイスの魔力を持ってすれば何の対価も無く覗くことは可能だったかもしれない。
だけど、2人分となるとー…
オロオロとしながら、ルイスを心配して見上げていると、彼はフワりと笑った。
「好きだよ、ライザ。
わたしは君のことをこの世で1番愛している」
───────・私の見て来たもの全てを知ってなお、そう言ってのけたルイスの綺麗笑みは、部屋に入ってくる木漏れ日を背後にして、こちらが圧倒されるほどに、美しかった。
思わず、息を呑んで固まったライザは、数秒後になりやっと我に返った。
「…ぃや。だ、だから、私の記憶見てたなら知ってるでしょ?ルイスにやったことは全部自分の為なの。だから、ルイスが私に恩義を感じる必要はこれっぽっちもない」
「そんなことはとっくに知ってるよ。ライザの記憶を見る前から知ってた」
「…っ!私がルイスに望んでいるのは…」
「うん、大丈夫だよ。
君の望みは全て叶えると言ったじゃないか。
一度でもわたしがライザの期待を裏切ったことある?」
期待を裏切られたことなどー…ない。
ルイスは文句のつけようも無く、完璧に。
いや、私の想定以上に彼は立派な公爵となった。
「君が望むなら、正しい道だけを歩もう。
君が望むなら、光の下が似合う様な、清廉潔白で、高潔な公爵にもなろう。
君が望むなら、清らかな恋をして、幸せな家庭を築くよ」
驚きと混乱…ー
そして、さらりと愛を紡ぐ彼の表情が、普段よりも一層、あまりにも美しく見えて、開いた口が塞がらなかった。
ルイスの顔が、ゆっくりと近寄ってきた。頬に添えられた手で、自然とライザの顔を上に向かせた。
唇が触れそうになるほど近くで、ルイスはポツリと囁いた。
「あの時から、互いに惹かれていた君とね」
────・血塗れの中に横たわり、私と同じものを背負うことになったルイス。ひたすらに美しい悪の卵ー…あの時、強く魅了されていた。その他全てことが、恐怖など、どうでも良くなるくらいに。
渇望して探していた、唯一私の感情を共有出来うる存在。
「ライザは頑なに認め無かったけど。
君がわたしに向けてくれたもの…あれは全部愛だよ」
そう紡いだあとに、重ねられた唇。その時ー…何の否定も思い浮かばなかった。僅かに震えていた私を宥めるように、肩に回されていた手が背中をさする。
驚きと混乱…ーそして、強引な様で、労わりを感じさせる優しい導き。魅惑的で甘美な囁きに、この時ー・抗える理由も、術も。見当たらなかった。
「…どうして」
「碩学の大樹が、ライザの記憶を全て見せてくれた。ごめんね、勝手に記憶を見てしまって…」
私の記憶を…見た?えっ、どこまで?何で?何を見たの?
さっきルイスが口にしたことは、前世の私が知るもの。
後は、同じく転生したウルク殿下だが、お茶会での様子を見た所ルイスとウルク殿下は特に親しい訳でも無く、口を聞いた事も無かっただろうことは分かる。
なら、ルイスは前世の記憶を見たと言うことなんだろう。全て。
「…怒った?」
そう言って不安気に私の顔を覗き込んでくる。
「いや…怒ったと言うか、驚いて。いつそんな…あっ」
─────・そう言えば、ルイスが高熱を出した時、その原因は魔力の枯渇だった。
熱が下がって目覚めた時、ルイスの様子がおかしかった。
私の肩によりかかり、『ごめん』って呟やいてたあれはー…
『〝勝手に記憶を見て〟ごめん』と言うことだったのだ。
人の記憶を、しかも2人分の記憶を短時間にまとめて見るなど、とんでも無く大変な思いをしただろう。
「何で、そんな無茶なことを…っ。高熱で済んだなら良かったけど…寿命は、縮めてないよね??身体は?何ともない??」
私が慌てふためくと、ルイスはふふっ。と嬉しそうに笑って「そんな事しないよ」と返答が来たけれど、本当だろうか。
前世の記憶がある前提で記憶を見た訳では無いだろう。
1人分の記憶なら、ルイスの魔力を持ってすれば何の対価も無く覗くことは可能だったかもしれない。
だけど、2人分となるとー…
オロオロとしながら、ルイスを心配して見上げていると、彼はフワりと笑った。
「好きだよ、ライザ。
わたしは君のことをこの世で1番愛している」
───────・私の見て来たもの全てを知ってなお、そう言ってのけたルイスの綺麗笑みは、部屋に入ってくる木漏れ日を背後にして、こちらが圧倒されるほどに、美しかった。
思わず、息を呑んで固まったライザは、数秒後になりやっと我に返った。
「…ぃや。だ、だから、私の記憶見てたなら知ってるでしょ?ルイスにやったことは全部自分の為なの。だから、ルイスが私に恩義を感じる必要はこれっぽっちもない」
「そんなことはとっくに知ってるよ。ライザの記憶を見る前から知ってた」
「…っ!私がルイスに望んでいるのは…」
「うん、大丈夫だよ。
君の望みは全て叶えると言ったじゃないか。
一度でもわたしがライザの期待を裏切ったことある?」
期待を裏切られたことなどー…ない。
ルイスは文句のつけようも無く、完璧に。
いや、私の想定以上に彼は立派な公爵となった。
「君が望むなら、正しい道だけを歩もう。
君が望むなら、光の下が似合う様な、清廉潔白で、高潔な公爵にもなろう。
君が望むなら、清らかな恋をして、幸せな家庭を築くよ」
驚きと混乱…ー
そして、さらりと愛を紡ぐ彼の表情が、普段よりも一層、あまりにも美しく見えて、開いた口が塞がらなかった。
ルイスの顔が、ゆっくりと近寄ってきた。頬に添えられた手で、自然とライザの顔を上に向かせた。
唇が触れそうになるほど近くで、ルイスはポツリと囁いた。
「あの時から、互いに惹かれていた君とね」
────・血塗れの中に横たわり、私と同じものを背負うことになったルイス。ひたすらに美しい悪の卵ー…あの時、強く魅了されていた。その他全てことが、恐怖など、どうでも良くなるくらいに。
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「ライザは頑なに認め無かったけど。
君がわたしに向けてくれたもの…あれは全部愛だよ」
そう紡いだあとに、重ねられた唇。その時ー…何の否定も思い浮かばなかった。僅かに震えていた私を宥めるように、肩に回されていた手が背中をさする。
驚きと混乱…ーそして、強引な様で、労わりを感じさせる優しい導き。魅惑的で甘美な囁きに、この時ー・抗える理由も、術も。見当たらなかった。
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