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第3章学園入学
真実は何か2
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「あの時ー・わたしを助けてくれたのは、間違い無くライザです」
それまで、無視をしていたルイスが初めて反応したことが余程嬉しかったのか、第2王子は饒舌に語り出した。
「…ふふっ。アウステル公爵を見ていると、あの物語が思い浮かぶなぁ。
海で溺れた王子が、王子に惚れていた人魚に助けられた。けれどその後、人魚とは別の美しい女性が助けれくれたのだと勘違いしたまま、王子はその美しい女性と結婚してしまって、人魚は泡になって死んでしまうってやつ」
ーーそれは、前世の絵本で読んだ童話〝人魚姫〟の話だと言うことが、この場で、私だけはすぐに分かった。
第2王子は面白そうに私の反応を見ている。その視線の中には、優越感が浮かんでいて、背筋がゾクリと凍りつきそうなほど、身の毛がよだつ思いだった。
ルイスと話をしているようで、その実私と第2王子にしか分からない秘め事を囁かれている様な、何とも薄気味悪い気持ち。実に不快だった。
「……」
何を考えているのか、再び黙り込んでしまったルイスに、なおも畳み掛けてくる。
「僕はね、どうしてもその人魚を応援したくなるんだ。可哀想だよね、王子が人魚を愛してくれたらその人魚は生きることも出来たはずなんだよ。だからさ「他人が人の恋路に口を挟むものでは無いわ」
第2王子を遮ったのは、ベルンだった。
「その人魚が王子を好きになって助けたのは人魚の都合でしょ。
王子が誰を好きになるのも自由じゃない。
そもそも、真実が分かったらその王子は人魚を好きになったのかしら?
私なら命の恩人でも好みで無かったら、好きにならないわよ。…ーつまりね、その王子は元々、伴侶となった女性が好みだっただけの話。
あれよ、結婚式とか周りに伴侶を紹介するとき馴れ初めをロマンチックに語りたい人いるじゃ無い。
その王子は命の恩人~…とか、勝手に運命の相手と理由をつけたいだけ。
元々、人魚の入り込む隙間なんか無かったのよ」
「…あのさ、兄上はちょっと黙っててくれないかな。今僕、アウステル公爵と話してるんだけどなぁ」
「あらあら嫌だ。この子ったら。
ルイス様は貴方と会話する価値も無いと思って無視されているのがわからないの?だから夢見がちで優しいお姉様が貴方の話し相手をしてあげてるのよ?
やぁねぇ、いつの間にこんな恩知らずに育ったのかしら」
…ベルンは恐らく、貴族特有の女性達が繰り広げる、口論に参戦していたら向かう所敵なしだっただろう。
涼しく慈悲深い眼差しをしてる割に、口から次々と飛び出す言葉は思いの外鋭い切れ味をしている。ライザは社交界に居る女傑達と渡り合うベルンを思い浮かべて、ブルリと身震いをしていた。
ーーそう、この時ライザは油断していた。視界の片隅で揺らめくものが視界に入るまで。
コトンー…と、音を立てて灯立が目の前に置かれたその瞬間ーー
突如現れた勢いのついた炎を前にして、ライザは全身の血の気が引いてゆき、声にならない悲鳴を上げて立ち上がった。
「ーーぁあ良かった。やっぱり君はまだ君のままだったんだね」
両手を交差させ、ガクガクと震えだす身体を抑え込むライザを見て、第2王子は喜びを含めた笑みを浮かべた。
ティーポットに入っていた紅茶を火にかけて鎮火したルイスは、直ぐにライザの側に来て、震えている両肩に手を置き、その顔を覗き込んだ。
「ライザ、深呼吸をして」
そう言われてライザは気がついた。自分が今、呼吸を止めていることを。
ブルブルと、震えながらも、涙の滲んでよく見えなくなった視界の中で、ルイスの綺麗な顔がぼやりと見える。
「大丈夫。
怖いものは何も無いよ。何があってもわたしが君を守る」
そう言って、ライザを包む温もりに、反射的に身体の緊張がほぐれて、震えが落ち着いてきた。ライザはその数秒後にやっと「すぅ…」と息を吸い込むと、目尻に溜まっていた雫が頬を滑り落ちる。
どのくらい、息を止めていたのかは自覚は無かったが、脳はやっと入ってきた空気に安堵したのか、身体の力が抜けてゆく。
身を預ける様に気絶したライザを、ルイスが支える為に、力を込めて抱きしめた。
「これで、わかったろう?
兄上。そしてアウステル公爵。
少し勢いのある火を近くに置いただけで、この状態になってしまうライザ・クライスが、炎の中で焼かれてしまいそうな人間を助け出せるかな?」
あははっと爽やかに笑っている第2王子を無視して、ルイスは気を失ったライザを横抱きにしてベルンへ声をかけた。
「…皇太子殿下、婚約者であるライザがこの状態でございます。わたし達はお暇させて頂いても宜しいですか?」
「…ぇえ。
勿論よ。ライザには愚弟が迷惑をかけてごめんなさいと伝えておいてくれるかしら?」
皇太子の許可を得てこの場から去ろうとしているルイスの背中に、第2王子は残念そうに声を上げる。
「現実から逃げるのかな?
事件からずっと心の支えにしていた人物が、偽物だとわかって憤っているの?
仕方ないよ。だってアウステル公爵はあの時、意識が朦朧としていたのだから。
幻影を見てもなんら恥じることは無い。
聞けば、強いショックを受けて、脱出直前まで気を失っていたそうじゃないか」
ルイスが足を止めて振り返っえると、第2王子の期待を込めた瞳が、イキイキとしている。
「ーー…よく、分かりました」
ポツリとそう呟いたルイスに、第2王子はほっと胸を撫で下ろした。
「ぁあ、良かった。
僕の言葉を信じてくれるんだね。嬉しいよ。君が本当に望む運命の相手まで見つけてきてあげたんだから、感謝してくれても良いよ。
僕達はきっと今からでも仲良くなれる。
何故ならそれも本当の運命だからね」
それまで、無視をしていたルイスが初めて反応したことが余程嬉しかったのか、第2王子は饒舌に語り出した。
「…ふふっ。アウステル公爵を見ていると、あの物語が思い浮かぶなぁ。
海で溺れた王子が、王子に惚れていた人魚に助けられた。けれどその後、人魚とは別の美しい女性が助けれくれたのだと勘違いしたまま、王子はその美しい女性と結婚してしまって、人魚は泡になって死んでしまうってやつ」
ーーそれは、前世の絵本で読んだ童話〝人魚姫〟の話だと言うことが、この場で、私だけはすぐに分かった。
第2王子は面白そうに私の反応を見ている。その視線の中には、優越感が浮かんでいて、背筋がゾクリと凍りつきそうなほど、身の毛がよだつ思いだった。
ルイスと話をしているようで、その実私と第2王子にしか分からない秘め事を囁かれている様な、何とも薄気味悪い気持ち。実に不快だった。
「……」
何を考えているのか、再び黙り込んでしまったルイスに、なおも畳み掛けてくる。
「僕はね、どうしてもその人魚を応援したくなるんだ。可哀想だよね、王子が人魚を愛してくれたらその人魚は生きることも出来たはずなんだよ。だからさ「他人が人の恋路に口を挟むものでは無いわ」
第2王子を遮ったのは、ベルンだった。
「その人魚が王子を好きになって助けたのは人魚の都合でしょ。
王子が誰を好きになるのも自由じゃない。
そもそも、真実が分かったらその王子は人魚を好きになったのかしら?
私なら命の恩人でも好みで無かったら、好きにならないわよ。…ーつまりね、その王子は元々、伴侶となった女性が好みだっただけの話。
あれよ、結婚式とか周りに伴侶を紹介するとき馴れ初めをロマンチックに語りたい人いるじゃ無い。
その王子は命の恩人~…とか、勝手に運命の相手と理由をつけたいだけ。
元々、人魚の入り込む隙間なんか無かったのよ」
「…あのさ、兄上はちょっと黙っててくれないかな。今僕、アウステル公爵と話してるんだけどなぁ」
「あらあら嫌だ。この子ったら。
ルイス様は貴方と会話する価値も無いと思って無視されているのがわからないの?だから夢見がちで優しいお姉様が貴方の話し相手をしてあげてるのよ?
やぁねぇ、いつの間にこんな恩知らずに育ったのかしら」
…ベルンは恐らく、貴族特有の女性達が繰り広げる、口論に参戦していたら向かう所敵なしだっただろう。
涼しく慈悲深い眼差しをしてる割に、口から次々と飛び出す言葉は思いの外鋭い切れ味をしている。ライザは社交界に居る女傑達と渡り合うベルンを思い浮かべて、ブルリと身震いをしていた。
ーーそう、この時ライザは油断していた。視界の片隅で揺らめくものが視界に入るまで。
コトンー…と、音を立てて灯立が目の前に置かれたその瞬間ーー
突如現れた勢いのついた炎を前にして、ライザは全身の血の気が引いてゆき、声にならない悲鳴を上げて立ち上がった。
「ーーぁあ良かった。やっぱり君はまだ君のままだったんだね」
両手を交差させ、ガクガクと震えだす身体を抑え込むライザを見て、第2王子は喜びを含めた笑みを浮かべた。
ティーポットに入っていた紅茶を火にかけて鎮火したルイスは、直ぐにライザの側に来て、震えている両肩に手を置き、その顔を覗き込んだ。
「ライザ、深呼吸をして」
そう言われてライザは気がついた。自分が今、呼吸を止めていることを。
ブルブルと、震えながらも、涙の滲んでよく見えなくなった視界の中で、ルイスの綺麗な顔がぼやりと見える。
「大丈夫。
怖いものは何も無いよ。何があってもわたしが君を守る」
そう言って、ライザを包む温もりに、反射的に身体の緊張がほぐれて、震えが落ち着いてきた。ライザはその数秒後にやっと「すぅ…」と息を吸い込むと、目尻に溜まっていた雫が頬を滑り落ちる。
どのくらい、息を止めていたのかは自覚は無かったが、脳はやっと入ってきた空気に安堵したのか、身体の力が抜けてゆく。
身を預ける様に気絶したライザを、ルイスが支える為に、力を込めて抱きしめた。
「これで、わかったろう?
兄上。そしてアウステル公爵。
少し勢いのある火を近くに置いただけで、この状態になってしまうライザ・クライスが、炎の中で焼かれてしまいそうな人間を助け出せるかな?」
あははっと爽やかに笑っている第2王子を無視して、ルイスは気を失ったライザを横抱きにしてベルンへ声をかけた。
「…皇太子殿下、婚約者であるライザがこの状態でございます。わたし達はお暇させて頂いても宜しいですか?」
「…ぇえ。
勿論よ。ライザには愚弟が迷惑をかけてごめんなさいと伝えておいてくれるかしら?」
皇太子の許可を得てこの場から去ろうとしているルイスの背中に、第2王子は残念そうに声を上げる。
「現実から逃げるのかな?
事件からずっと心の支えにしていた人物が、偽物だとわかって憤っているの?
仕方ないよ。だってアウステル公爵はあの時、意識が朦朧としていたのだから。
幻影を見てもなんら恥じることは無い。
聞けば、強いショックを受けて、脱出直前まで気を失っていたそうじゃないか」
ルイスが足を止めて振り返っえると、第2王子の期待を込めた瞳が、イキイキとしている。
「ーー…よく、分かりました」
ポツリとそう呟いたルイスに、第2王子はほっと胸を撫で下ろした。
「ぁあ、良かった。
僕の言葉を信じてくれるんだね。嬉しいよ。君が本当に望む運命の相手まで見つけてきてあげたんだから、感謝してくれても良いよ。
僕達はきっと今からでも仲良くなれる。
何故ならそれも本当の運命だからね」
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