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二章 ハーレムルート

帰り際は…

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今日はギノフォード家を去る日。

離れるのは淋しい。
今日のアレックスは僕の腕の中で眠ってる。

可愛いっ。

「んっん」

アレックスは目覚めたみたいで、僕は寝たふりをした。
ベッドの沈みからアレックスが起き上がり僕から離れてしまったのを感じた。
耳を触られ確かめられると今の僕の耳は人間だった。

「貴方には驚かされっぱなしですね。」

ん?なんの事だろう?

「…愛してますよ。」

突然の告白に顔がニヤけてしまうのを必死に堪えた。

「…起きてますね?」

バレた。

「ルゥ?」

「んん~んふふふ」

堪えられなかった。

観念して瞼を開けようとすると唇が塞がれた。
アレックスとお風呂場に移動し柑橘の香りを身に纏いアレックスの服を着て食堂へ向かった。
当然のように僕の隣にはアデルバード様のが用意されていた。

今日で最後なのが名残惜しい。

皆で食事をしている時に僕が帰ることを知ったアデルバード様。

「やだぁ…行かないで…フィンコックしゃま…僕の事しゅきじゃないの?」

「あっ…好きだよ、勿論。」

手を伸ばせばアデルバード様も手を伸ばし僕の腕の中に舞い降りた。
僕の背を力一杯握るのが伝わると胸を締め付けられる。

僕だって一緒にいたい。

「アデルバード」

アレックスが僕からアデルバード様を抱き上げ、歩きだしお義兄様の元へ向かった。

「兄さん、アデルバードを抱きしめてあげてください。」

「ん?」

「アデルバードは淋しがってます。」

「…そうなのか?」

お義兄様がアデルバード様を覗き込むも、目を合わせられずアレックスの服を掴んだまま何も喋れずにいる。

「………。」

「アデルバード」

お義兄様のアデルバード様を心配している表情から教育で厳しくしているのではなく、抱きしめて不安が安らぐということを知らなかったように見えた。

きっとお義兄様もお義母様が亡くなってから一人で耐えてきたんだ。

アレックスからアデルバード様を抱き上げた時にお義兄様は戸惑い、アデルバード様も身体を硬直させたのが分かった。

「淋しかったのか?」

「………」

小さく頷く姿に引き込まれた。

「そうか…」

「…っく…ひっく……ひっく…」

先程とは違いアデルバード様を優しく包むように抱きしめ、アデルバード様もお義兄様の服をしっかりと掴んでいた。

二人の姿に涙が溢れてしまった。

アレックスに促され僕達は食堂を離れ談話室へ移動した。
もうそろそろ僕の帰る時間だ。
最後にアデルバード様に会いたかったけど、今は家族と一緒にいてほしかった。
アレックスと手を繋ぎながらソファに座って寛いでいる。
本来であればお義兄様や夫人に挨拶をしてから帰りたかったが仕方がなく玄関へ向かった。
馬車は既に準備されており僕達が乗るのを待っていた。

「…待ってくれ。」

呼び止められ振り向くと、お義兄様とルパート様にお義兄様に抱き上げられているアデルバード様がいた。

「あっ先に帰ろうとしてしまい申し訳ありません。」

「いやっいいんだ。フィンコック様、今回の訪問感謝する。」

「いえっ僕の方こそ三日間お世話になりました。」

「また、いつでも来てくれ。」

「はいっありがとうございます。」

良かった最後に皆に会えて。

「本当に待ってるから。」

ルパート様にも歓迎された?嫌われてないなら良かった。
アデルバード様を抱くお義兄様の腕に手を添えているルパート様の姿は幸せそうな家族だ。

「ありがとうございます。」

「フィンコックしゃま?」

「アデルバード様、また来ても良いですか?」

「はい、沢しゃん僕に会いに来てくだしゃいね。」

「はいっアデルバード様も僕に会いに来てくれますか?」

「ふふ、勿論でしゅ。フィンコックしゃまはしゃみしがり屋しゃんだもんね。」

「ふふ、そうなんです。」

「フィンコックしゃま?」

「はい」

「僕の事ぎゅってしていいでしゅよ。」

「やったぁ」

お義兄様に抱きしめられたアデルバード様を抱きしめた。

「フィンコックしゃまぁ。」

ちゅっ

あっ。
キスされちゃった。

「んふふ、嬉しいでしゅか?」

「…うれしいっ」

しか言えない。

「フィンコックしゃまは僕と結婚しましゅか?」

「へっ」

ヤバい。
これは、はいって言っちゃいけない…けど…出来ないとも言いづらい…。
どうしたら良いの?

「アデルバードはやらない。」

「へっ」

「アデルバードは私の息子だ、当分の間結婚も婚約もさせない。」

「お父しゃま?」

「もう少し私の腕の中にいなさい。」

「はいっんふふ。フィンコックしゃま、待っててくだしゃいねっ。」

お義兄様との距離が一気に縮まりアデルバード様はとっても幸せそうな笑顔だった。

「うん」
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