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スピンオフ ステファニー

ローニャ ケーキ大会

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もうすぐケーキの大会がある為に、ドリュアスさんの所に勤めているパティシエも領内の予選に参加するらしい。

ケーキ大会?

そんな大会、始めて聞いた。

「女はケーキに詳しいだろ?予選までは店に顔出さなくて良いからパティシエに協力してくれ」

朝突然ドリュアスさんから指令が下された。
領内で代表を決め、王都が本選となり優勝すると期間限定で王都に無料で店を出すことが出来るらしい。

私からすると初めて聞く大会だ。

私が記憶を失っている間に出来て今回が五回目らしく、今迄での結果は一度領地代表となり本選に進むも優勝争いには参加できなかったらしい。
新作ケーキという決まりなので前回のケーキをもう一度、というのは許されない。なので私にも新しいケーキの案が欲しいとか…

ケーキなんて分かんない。

私が知っていて教えることが出来るケーキなんてショートケーキしかない。
だけど、この国でショートケーキを見たことがない事を思い出した。
貴族だった頃沢山のケーキを見てきたが、ショートケーキは…
そう言えばショートケーキは日本発祥とか言っていたような…なら、ショートケーキで戦えるかもしれない。
私は恐る恐るパティシエにショートケーキを伝えた。

ケーキ大会が始まってから見た目が派手で豪華なものが主流になりつつある中、私が提案したのは純白に真っ赤な苺のみを使ったシンプルなもの。
今の流行から考えると、選ばれるかどうかはかなりの冒険した作品。
パティシエも斬新さに驚いていたが、これが優勝できるとはハッキリ言って不安だが、他に案がなかった。

スポンジと生クリームと苺しか使っていないシンプル過ぎるケーキ。
今まで優勝に選ばれたケーキは果物を沢山使用しカラフルなものばかり。
シンプルすぎるショートケーキは、初めて見た全員が「これで良いのか」と口には出さなかったが悩むものだった。
味は美味しい…ただ、見た目がシンプル過ぎるというだけ。果たしてこれで戦えるのか。

半信半疑の中、領内の代表を決める日となった。
領内も五回目で中々良い結果に恵まれず皆がスランプに陥っている。
そんな時にシンプルな見た目のショートケーキは、誰もが「疲れきったんだな」と判断した。
だが、カラフルな果物を使用したケーキ達の中だと一つだけが目立っていた。

結果は満場一致でショートケーキに決まった。
負けの押し付けあいのような光景にも思えたが、一応ドリュアスさんの所のパティシエが本選に行くことになる。
その際、私もと誘われたが断ってしまった…
本選は王都で行われる。人混みや王都中心地に行くのは私としては避けたかった。

私を知る人に会いたくない…
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