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五章 元の世界
89.ヘレナの復讐-2
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魔術騎士団と魔術士団との合同訓練を終えたアレクサンドラは、時を告げる鐘の音を聞いて少し眉をひそめた。
訓練が長引いたせいで、どうやら終わりの時間を越えてしまったようだ。
このままでは迎えに来てくれる真子を待たせてしまう、とアレクサンドラは急いで身支度をする。
「いそいそしちゃって。団長は今日も月の宮に通い妻かしら?」
激しい訓練のせいで座りこんだまま汗を拭っていたジェーンが、アレクサンドラをからかった。
他の面々も座りながらアレクサンドラを見上げている。
「そうだけど?」
「あら。開き直っているわ、この人」
ツンと澄まして答えるアレクサンドラを見て、ジェーンが片眉を上げながら隣のマリーベルを肘でつついた。
「二人が仲良くしてるなら良いじゃないですか」
懲りずにアレクサンドラをからかうジェーンに、マリーベルが苦笑しつつ呆れたような声を出した。
シルヴィオもマリーベルの言葉に微笑みを浮かべながらうなずいている。
すると訓練場にフェリシアの伝令である虹色の鳥が勢いよく飛んできて、アレクサンドラの肩に留まった。
『マコのバングルが壊れた。西棟、掃除用具入れの小部屋』
伝令の鳥はアレクサンドラの耳元でそれだけ告げて消えた。
要件だけを手短に伝える伝令に不穏なものを感じ、アレクサンドラが顔を険しくする。
空気の変わったアレクサンドラの様子に、皆が一気に緊張感を高めた。
「西棟の掃除用具入れよ」
アレクサンドラは皆に行き先を告げると、置いてあった剣を掴んで一気に走り出した。
西棟までの最短距離を突っ切るように手すりを越えて庭に飛び降りると、着地したところから飛ぶように走っていく。
皆も急いでアレクサンドラの後に続いた。
アレクサンドラが西棟の小部屋に着くと、ちょうど到着したばかりのフェリシアが小部屋のドアをガン! と叩いていた。
「マコ! 無事か!」
フェリシアの拳には魔力が込められているのがわかったが、ドアはビクともしない。
ドアには何かしらの魔術の気配がかけられているようだ。
「フェリシア様下がって! ドアを壊します!」
ドアの前にいるフェリシアをどかせて剣をふりかぶる。
アレクサンドラは両手に魔力を込めて剣にまとわせ、それを躊躇なくドアに叩きつけた。
ガン!
普通なら粉々に弾け飛んでもおかしくないはずなのに、ドアはミシと音を立てて剣の攻撃に耐える。
もう一度、剣が耐えられるギリギリまで魔力をまとわせて思いきりふりかぶる。
アレクサンドラが全力で剣をふり下ろすと、バキリ、と音を立ててようやくドアが割れ落ちた。
訓練が長引いたせいで、どうやら終わりの時間を越えてしまったようだ。
このままでは迎えに来てくれる真子を待たせてしまう、とアレクサンドラは急いで身支度をする。
「いそいそしちゃって。団長は今日も月の宮に通い妻かしら?」
激しい訓練のせいで座りこんだまま汗を拭っていたジェーンが、アレクサンドラをからかった。
他の面々も座りながらアレクサンドラを見上げている。
「そうだけど?」
「あら。開き直っているわ、この人」
ツンと澄まして答えるアレクサンドラを見て、ジェーンが片眉を上げながら隣のマリーベルを肘でつついた。
「二人が仲良くしてるなら良いじゃないですか」
懲りずにアレクサンドラをからかうジェーンに、マリーベルが苦笑しつつ呆れたような声を出した。
シルヴィオもマリーベルの言葉に微笑みを浮かべながらうなずいている。
すると訓練場にフェリシアの伝令である虹色の鳥が勢いよく飛んできて、アレクサンドラの肩に留まった。
『マコのバングルが壊れた。西棟、掃除用具入れの小部屋』
伝令の鳥はアレクサンドラの耳元でそれだけ告げて消えた。
要件だけを手短に伝える伝令に不穏なものを感じ、アレクサンドラが顔を険しくする。
空気の変わったアレクサンドラの様子に、皆が一気に緊張感を高めた。
「西棟の掃除用具入れよ」
アレクサンドラは皆に行き先を告げると、置いてあった剣を掴んで一気に走り出した。
西棟までの最短距離を突っ切るように手すりを越えて庭に飛び降りると、着地したところから飛ぶように走っていく。
皆も急いでアレクサンドラの後に続いた。
アレクサンドラが西棟の小部屋に着くと、ちょうど到着したばかりのフェリシアが小部屋のドアをガン! と叩いていた。
「マコ! 無事か!」
フェリシアの拳には魔力が込められているのがわかったが、ドアはビクともしない。
ドアには何かしらの魔術の気配がかけられているようだ。
「フェリシア様下がって! ドアを壊します!」
ドアの前にいるフェリシアをどかせて剣をふりかぶる。
アレクサンドラは両手に魔力を込めて剣にまとわせ、それを躊躇なくドアに叩きつけた。
ガン!
普通なら粉々に弾け飛んでもおかしくないはずなのに、ドアはミシと音を立てて剣の攻撃に耐える。
もう一度、剣が耐えられるギリギリまで魔力をまとわせて思いきりふりかぶる。
アレクサンドラが全力で剣をふり下ろすと、バキリ、と音を立ててようやくドアが割れ落ちた。
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