スキルが芽生えたので復讐したいと思います~スライムにされてしまいました。意外と快適です~

北きつね

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第三章 スライム今度こそ街へ

第十六話 念話と結界

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 円香さんは、念話の魔石を触って、何かを考えている。

「千明。この魔石を持って、キャンピングカーの外に出てくれ」

 いきなり、円香さんが、千明にキャンピングカーの外に出ろと伝える。実験をしたいのは解るけど、最初に実験の説明をしなければ、千明が戸惑うだろう。実際に、千明はいきなり言われて動揺している。

「はい?」

「円香さん。実験をしなくて大丈夫ですか?」

「そうだな。使い方が解らないな。千明も念話ができるか触ってみるか?」

 円香さんは、一つを千明に渡して、一つを自分で持つ。

『千明』

「え?頭の中に、円香さんの声が聞こえた」

 千明が驚いている。
 私も、驚いた。

 円香さんの声が聞こえたからだ。
 これで、ライと円香さんの間で・・・。話ができる可能性が高まった。私が通訳をしないで・・・。

 ライは、何も反応していないけど、私に聞こえたのなら、ライにも伝わっているのだろう?

「そうか?茜は?」

「聞こえました」

 正直に答える。
 何か、検証をしている可能性がある。嘘を伝えてもしょうがない。

 円香さんは魔石を握って、目を瞑る。

「そうか?これならどうだ?」

 私には何も聞こえない。

「また!円香さん?」

 千明にだけ聞こえたようだ。
 でも、千明は、魔石の使い方が解らないはずだ。

 ライは、”トランシーバー”だと言っているけど、もしかしたら違うのか?

「そうか、これなら千明にだけ通じるのだな。なんとなく理解した。千明。魔石を持って、頭の中で話してみろ」

「え?」

『きこえますか?』

 千明の声が聞こえた。円香さんも、指でOKのサインを出すので聞こえたのだろう。

「最低でも、魔石を持っていることが条件か?」

「え?」

「千明は、念話のスキルを使っていなかった。しかし、声が聞こえたと言った。あぁ茜は、面倒だから”茜”だからで澄まそうと思っている」

「思っているじゃないですよ。でも、確かに・・・」

「千明。魔石を手放してくれ」

「はい」

 円香さんと千明は、いくつかのパターンで実験を行った。
 結果、念話の魔石を持っていないと、通じないことが解った。通常の魔石では、意味がないようだ。ただ、円香さんのスキルを使っても、念話の魔石は”魔石”としか情報が出せないらしい。

『ライ。何か、解る?』

『円香殿のスキルレベルが低い。基礎レベルが低い。またはその両方で、マスターの偽装を見破れない』

『え?偽装?』

『はい。スキルを付与した場合には、偽装するのが様式美だとマスターが言っています』

 円香さんと千明が、念話の魔石を持っている状態だ。

「円香さん」

「なんだ?」

「私とライの会話は、聞こえましたか?」

「聞こえなかった。正確に言えば、茜とライ殿が会話しているのは解ったが、会話がジャミングされているようで、理解ができなかった」

『ライ。理由はわかる?』

『わかりません。千明殿が伝えてきた情報は、伝わっております』

「円香さん。ライには、円香さんの念話は通じていないようです。でも、千明の念話は通じるようです」

「そちらの検証は後だ。千明。外に出てくれ」

「わかりました」

 やっと実験を終えて、千明が念話の魔石を持って、キャンピングカーから出る。

 外では、蒼さんと孔明さんが、元女王蟻を探している。
 念話で出てきて大丈夫だと伝えたら出てきてくれないのかな?

 まずは、距離の確認を始める。
 念話の距離は、長くはなさそうだ。

『茜殿。念話の距離は、魔石の大きさに依存します』

「円香さん。念話の距離は、魔石の大きさに依存するそうです」

「え?それは?」

「ライからの情報です」

 円香さんの視線が怖い。
 知っていたのなら教えろと訴えているのは解るけど、私もライから聞かされなかったら知らない情報だ。ライとしても、円香さんや私たちがどんな情報を求めているのか解らない。解らないから、話の流れを聞いて判断しているのだろう。情報の出し惜しみはしていない。知っていれば、答えてくれる。知らなければ、知らないと伝えて来る。ダメな事は、ダメという意味を込めて”禁則事項”だと伝えて来る。

「わかった。茜。ライ殿に、結界の魔石に関して質問をして欲しい」

「解りました。円香さんは、ライに話しかけるように、質問してください。私が、ライの答えを円香さんに伝えます」

「わかった」

 円香さんが、結界に関しての質問をする。
 ライは、知らないことも多かったが、円香さんとしては十分な成果が得られたのだろう。

 私たちが知らなかった情報として・・・。
・魔石は力を使い切っても補充ができる
・魔石同士をくっ付けておけば自然に補充される
・自然回復はしない
・人は、実験していないから解らない。スキルを持っている者なら充填ができる可能性がある。魔核を持つ者なら可能。動物では不可能。スキルを持った動物なら可能

 結界の魔石は、私たちが考える結界で合っていた。範囲や強度によって、継続時間が決定される。
 範囲は、任意で指定ができる。発動者が、意識して範囲が設定される。遮音は、結界に付与した物らしい。ライのマスターが作った物らしく、ライにも詳細は解らない、ただ、念話は通す。実験として、私を含めない範囲での結界と私を含めた結界で、それぞれ念話を使って会話を試してみた。同じく、外に居る千明との会話もできた。
 結界の強度は、後日に検証を行うことになった。
 私を含めての結界の時に、結界から外に出ることはできたが、外から中には無理だった。
 透明な壁があるように感じた。

 この結界の実験から、私と円香さんは、とある場所でのことを思い出した。

 結界と念話の魔石は、ギルドが保有していて良いと言われたが、円香さんは、3つの魔石で交渉をしたいと言い出した。

『マスターが必要だと考えて、与えた物が必要ないと?』

 ライが、先ほどまでと違った面を見せる。
 正直にいうと、”怖い”と感じてしまった。

 私は、通訳というか・・・。ライの言葉をそのまま伝える。感情は伝わってくるが、感情を排して伝える。軋轢を産んでもしょうがない。

「失礼。勘違いをさせてしまった。ギルドが、適正な値段で魔石を買い取りたい。念話も結界も素晴らしい物だ」

『”買い取り”ですか?マスターからは、”渡す”と言われました』

「ライ殿。ギルドとしては、提供を受けたいのですが、無償では、規約違反になってしまいます」

『マスターに確認します』

 ライが、マスターに確認すると言っている。
 円香さんの話で、規約違反と言っているが、そんな規約は存在しない。確かに、競合する企業から施しを受けるのは、ダメだ。あと、マスコミやギルド員ハンターからの施しは癒着に繋がるので、認められない。しかし、ライは、魔物だ。ライのマスターが、ハンターや供応が禁止されている企業の人間でもない限りは、問題にならない。

『マスターは、ギルドに属していない。また、企業体のどこにも属していない。なので、問題にはならないだろうと言っています。しかし、ギルドからの意見も解るので、最初の3つは、ギルドの”言い値”で譲るそうです』

「ありがとう。査定するので、2日ほど時間が欲しいが、連絡はどうしたらいい?」

『マスターは、ギルドとの対話を望んでいる』

 最初の話も戻る?
 ん?あっ円香さんに、簡単に話をしただけで、詳細は説明さえもしていなかった。そもそも、私も意味が解らないまま状況が流れた。

「場所の指定は?」

『ギルドの近くがいいのか?』

「大丈夫だ。東京とか言われると、日数が欲しいが、静岡市内なら、二日後でも大丈夫だ」

『マスターから、3日後の15時。浅間神社の麓山はやま神社近くのベンチで待っている』

「わかった。ありがとう。何か目印が必要か?」

 ライが、また一つの魔石を吐き出す。

「これは?」

『マスターは、”割符”と呼んでいる。合致する魔石を持つ物が近づけば、魔石が光る。距離は2-3メートルだ。麓山神社の前なら、端と端でも3メートルは離れていないから反応する。と、マスターが言っている』

「こちらは、私と茜の二人で伺う」

『了解した。今、探しているスライムも一緒に連れてきてほしい。3日後なら、存在は維持できると思われる。ライは、この会談が終わったら、解放して欲しい』

「解放?」

『ライの魔核を使いすぎている。半日もたたないで消滅してしまう。その前に、本体に合流させたい』
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