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第三章 スライム今度こそ街へ
第十七話 賭け
しおりを挟む家で、天使湖で得た物を整理していた。
こればかりは、私かライにしかできない。判断した物を、まとめるのは、家族にもできるのだけど、まずは必要な物なのか判断しなければならない。
そして、”必要な物”を判断するのが難しい。
殆どの物が、ギルドの買い取りリストに載っていない。
買い取りができないのか?それとも、知られていない物なのか判断が私にはできない。情報がない。
そして、魔石の買い取りは出ているが、ゴブリンの魔石程度の大きさしか買い取っていない。魔物の名前ではなく、大きさでの買い取りが書かれている。
「ライ?”誰かが欲しい”と、言っている?」
『いえ、マスター』
そうだよね。
必要になれば、狩りに行けばいい。
天使湖から帰ってきてから、皆が力を求めている。
オーガの色違いに対応できたのが、私とライとカーディナルとアドニスだけだという現実に、皆が力を求めた。
特に、キングとクイーン。テネシーとクーラー。ピコンとグレナデン。他にも、皆がレベルアップを希望した。
しかし、近くには魔物が存在する場所はない。
街中にも、魔物が存在する場所は有ったのだが、皆のおかげで魔物の駆逐ができた。別に、正義を名乗るつもりはないが、私をスライムに変えた者が、まだ魔物を産み出しているのか調べる為にも、自然発生する場所を徹底的に無くしておきたい。
本当は、ギルドに協力を求めたいが、私からギルドに接触することはできない。私は、スライムで魔物だ。駆除対象になってしまったら、本当に私は魔王になってしまう。スライムの魔王だ。二つ名を”新星”と付けられてしまう。仲間にオーガは居ないが、皆が進化をしている。
レベルアップには、樹海で行ってもらうことになった。あの場所は、中層くらいまでは自衛隊の隊員が居るが、奥に行けば隊員も居ない。動物も少なくなってしまっている。洞穴に隠れている動物を見つけることもあるが、その程度だ。
オクトやカラントやキャロルやノッグは、海でのレベルアップが可能だ。
海にも魔物は多く存在している。地上と違って、海に居る魔物は強くはない。
順番に、樹海に作った私たちの拠点に行ってレベルアップを行っている。
天使湖の様に、魔物がまとまっている場所は存在しない。裏山と同じレベルで散らばっている。予測ができる範囲なので、索敵からの討伐は、効率よくできる。間引きしていれば、天使湖のようにはならないと思っている。
現地でスカウトした者たちは、家族には迎えていない。
本人たちも望んでいない。拠点に住むことはだけを認めて欲しいと言われた。共存関係を結んだ。安全な拠点と食料の提供を行い。彼等からは、樹海にある洞窟や洞穴の場所を教えてもらうことになった。現地勢の中には、魔物化した者も居た。しかし、私の家族の方がレベルも経験も上だった。
家族のレベルアップ問題も解決して、私とライは本格的にドロップ品の整理を始めた。
整理を初めて、3日目。
完全に飽きて、パロットと遊んでいた。ドロップ品を猫じゃらしに加工した。
『マスター』
「ん?あっゴメン。サボっていないよ。ちょっとした息抜き!息抜き」
『マスター。市内にスライムが発生しました。瞬間を抑えることができませんでした』
偵察に出ていたライが、スライムの発生を見つけた。
場所は、聞いた限りでは解らないが、静鉄の沿線らしい。
「ライ。スライムたちとの合流は可能?」
『一部は、合流が不可能な状態になってしまっています』
「理由は?」
『スライムが討伐されてしまっています』
「止められる?」
『討伐している者の中に、魔物が居ます。指示を飛ばしてみます』
「お願い」
ライが、魔物との話を中継し始めた。
どうやら、魔物は猫で誰かに飼われているようだ。
それから、話が進んで、猫からの要請で、ライが猫たちの飼い主と会話を始めた。
中継されてくる話から、相手はギルドのメンバーだと推測ができた。
確証が得られてから、会話は会議に変わった。
カーディナルたちだけではなく、ギブソンやノックやラスカルも部屋に集合した。
もしかしたら、いろいろな問題が解決するかもしれない。
期待を込めて話を進めた。
上司らしき人が話に加わった。
ライから聞こえてくる内容では、最初に話をしていた人が上司に説明が出来なくて困っているように感じる。
私は、ライに二つのスキルを付与した魔石を渡すように指示を出した。
”賭け”だ。もし、この魔石が既に存在していて、当たり前になっているのなら、ギルドは私たちを評価しないだろう。魔石にスキルを付与する技術が確立していないのなら、私たちに価値を感じてくれて、話を聞いてくれる可能性が出て来る。
ライの分体だけなので、ギルドが私に辿り着くのは難しい。
トランシーバの役割を持たせた魔石と、結界の魔石をギルドに渡した。
結論・・・。
やりすぎた?不信感というよりも、驚愕されてしまった。
でも、攻撃系のスキルを付与した魔石でなくてよかった。
上司だと思っていた人は、ギルド日本支部の責任者の用だ。
いきなり上層部と交渉が出来てしまった。
やりすぎてしまったのは、もう取り戻せない。
それなら、こちらに都合がいい事だけを、交渉しよう。
魔石やドロップ品の換金を求めてみよう。私たちに必要がない物でも、ギルドでは必要だと判断する可能性がある。
結界やスキルの付与だけでも情報としては出しすぎてしまった。眷属化の話は、ギルドは知らなかったようだ。どれだけ、知られていないのか解らない。
ギルド側から、魔石を買い取ると言ってくれた時には、嬉しかった。
今は、お金には困っていないが、状況次第ではお金が必要になる。
ギルドと話が出来れば、私をスライムにした奴の情報が集められるかもしれない。
復讐で殺してしまおうとは思っていない。もちろん、対象が”人間のまま”なら・・・。という条件だ。既に、魔物になってしまっているのなら殺してしまおうと思っている。そして、人の法律で裁けないと判断された時には、私たちなりの方法で復讐しようと決めている。
自分が犯した愚かな行為の”ツケ”は払ってもらう。
『マスター』
ライとギルドの話がまとまりそうだ。
ギルドとしては、静岡市内で待ち合わせをしたいようだ。
渡した魔石の値付けに”二日ほど欲しい”と言っている。それなら、三日後にどこかで待ち合わせをしよう。
人は少ないが、まったく居ない場所ではなく、市内からそれほど遠く離れていない場所で、既に安全が確保されている場所。
ギルドに近い場所の方がいいだろう。
三日後なら、平日だ。
浅間神社の麓山神社
確か、階段を上がり切った場所にベンチがある。
ギルドのメンバーには、悪いけど階段を上がってきてもらおう。浅間神社なら最初から魔物が発生していない。
時間は、15時くらいがいい。
早いと、人とミアミスしてしまう可能性がある。私たちは、移動は空を使う。カーディナルたちに乗っていけばいい。上空で待機するか、浅間神社の木々で羽休めをしていればいい。
ライは、ギルドのメンバーを見ているので、大丈夫だけど、ギルドのメンバーはライしか知らない。
そして、ライが人の姿になれることも知らない。もちろん、私のことも知られていない。
待ち合わせで、しっかりと会えるように、割符を渡しておこう。
一つの魔石に光のスキルを付与した。
ただ光るだけのスキルだ。
付与した魔石を二つに割る。これも、最近になって覚えたスキルだ。魔石の加工ができるようになった。
割った魔石の切断面を合わせれば、元に戻ってスキルが発動する仕組みだ。
同じスキルを付与した物でも、同じ魔石で無いとスキルは発動しない。
目印としては、十分な機能だ。
ライ経由で、ギルドに割った片方を渡す。
もう一つを私が持っていけば、割符としての役割になる。
ギルドの交渉までに、いろいろ整理をしておこう。
ドロップ品と・・・。あっ!ライと私の服も買いに行こう。お金が入ってくるから、少しだけいい物を買いに行こう。
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