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金の使い方って性格出るよね

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 ぬるま湯飲み放題でソーサーと干し肉を齧って朝食終了。鳥のチップにまだ星が付いてないので少し千切るか。

スキル : 飛躍☆☆ 飛躍

飛躍 : 飛ぶ為のスキル。飛ぶ為の能力が少し増し、更に少し増し、無駄な動きを少し抑え、更に少し抑える。

 少し飛べるって、どれだけなのか。本当に数値で出して欲しい。まだ200枚程残ってるけど、これも後で良いや。星3にするには9000枚だろ?心無くしちゃうよ…。

「ゲーイーン」「ヒーヒーン」

 馬と熊がハモってる?馬の知能、高いなぁ。鎧戸を開けるとタララが待ってた。換金に行くのは昼からなんだがまあ良いか。街の子セットに着替えて居るとドアをガチャガチャ。

「開けてよー」

「今着替えてんだよ」

 ズボンを履いて開けてやるとタララが居た。声がして居なかったら逆に怖いけどな。

「何で上裸なの?」

「だから着替えてたんだってば」

 着替えたら火を消して買い物にでも行こうか。ヤカンとお玉、敷物に板の脚が欲しいんだ。

「あ、ゲイン。ズボン乾いたから返すね」

 洗った訳では無いのか?まあ良いか。

「それと、これ。置物にして」

 マジックバッグから取り出したのは胴回りもありそうな翡翠の塊だった。売ったら良かったのに。

「あたいだと思って抱いて寝ても良いよ?」

「お前はもっと柔らかくて温かいだろ。暑くなるまで置物だな」

「あたいを抱いて寝ても、良いよ?」

「この賃貸は1人用だ」

 ベッドに置かれて軋む音に危機感を感じ、すぐさま回収。部屋の隅に安置された。

「なら2人用のを借りようよ。あたいも金出すから」

「残念だったな、2人用の賃貸は無い」

「何でよ!」

「男女だとすぐ3人になっちゃうからだよ」

「あ……」

 赤くなるなよ。さあ買い物に行くぞ!火の元確認鍵かけて、馬を撫でたら出発だ。露店のヤカンは怪しいので、高くても雑貨屋で買う方が無難だ。逆に敷物やお玉などはそこまで良いのは要らないので露店で充分だ。
 雑貨屋にてヤカンを探す。家庭用の大きなのしか無くて諦めた。お玉は片方を尖らせて注ぎやすくしてあるが金属製でややお高め。露店を見てから考えよう。
 雑貨屋を離れ、今度は露店街。昨夜の静けさとは打って変わって騒々しい。何か良い物無いかと2人で冷やかしながら見て回ると蓋が壊れて取れた宝箱が100ヤンで投げ売りされてたので即購入。これで板がテーブルとして使えるぞ。
 敷物はあったけど古めかしいと言うより汚い。古い屋敷に敷かれていた物を拾ってきたそうだ。拾い物なのに3000も付けてたので、洗い代を引いて2500にまけさせた。それでも元手0ヤンなので売ってくれたよ。

「ゲイーン、お玉あったよー?」

 タララが見つけてくれたお玉はだいぶデカい木のお玉だった。

「デカいな」

うちじゃこのくらいの大きさだったよ?」

 とは言え一般家庭じゃ大き過ぎると言うのでなかなか売れないらしい。500ヤンなので1つ買ったよ。

「俺の買い物は終わったな。タララの買い物がなければギルドに行こうか」

「串焼き食べたい!」

 それは俺に奢れと言うのか?仕方ないので3本買ったよ。後で食べるので仕舞っとく。

 昼前のギルドは夜より閑散としているかも知れない。冒険者は仕事に出ていて居ないし、依頼人がそんなに居る訳じゃないからな。目を閉じたマーローネと目が合った気がしたが、気のせいだろう。他の受付けに行こうとすると呼び止められた。くそう。

「こんにちは、ゲインさん!タララさんもこんにちは」

「他の受付けに行こうとするのを邪魔してくれるなよ」

「マスターから話は聞いてますので部屋へどうぞ」

 席を立って、ササッと尋問室に着いたマーローネが鍵を開ける。中ではメロロアが死んでる…かのように寝こけてた。

「メロロア、起きなさい。仕事ですよ」

「うっ!誰を殺る…じゃなかった。おはようございます」

 やはり此奴は暗殺者だな。

「お金を受け取りに来たよ」

「あ、お二人共、おはようございます。ゲインさんはこちら、タララさんはこちらになります。ご確認ください」

水晶 品質並 137個×200ヤン 27400ヤン
水晶 品質中 33個×400ヤン 13200ヤン
水晶 品質高 15個×700ヤン 10500ヤン
紅水晶 品質高 28個×1000ヤン 28000ヤン
翡翠 品質高 56個×4000ヤン 224000ヤン
砂金 品質高 3255粒5.54ナリ×1000000ヤン      5540000ヤン
総額 5843100ヤン

 物凄い金額…これは国が動くわな。タララは魂抜けてるぞ。

「さ、3100ヤン以外は振込みで…」

「多分ですが、今すぐ全額払えと言われても払えません。特にタララさんの方は20ナリを超えてますからね」

 2000万ヤン超えか。そりゃあ魂も抜けるわ。無駄遣いしなけりゃ4~5年は遊んで暮らせるな。

「ゲイン、あたいをお嫁に貰って?」

「ソーサーでも焼いてくれるのか?」

「もうお礼を返しきれないよぅ」

「置物1つで1/4は返してると思うぞ?」

 デカい金額を見たせいで心が弱ってるな。頭を撫でて落ち着かせよう。よーしよしよし。

「ゆっくり深呼吸だ。すーーーはーーー。もう1回、すーーーはーーー」

 深呼吸して落ち着いたみたいだ。

「デカい額だが10年は持たん額だ。まだまだ稼がないと家も建てられんし子供を育てる事も出来ん。分かるな?」

「分かったけど、家かー」

「ゲインさん?お嫁にはするんですか?」

「未来の事は分からないよ。冒険者だし。それでも先を見据えて生きないと、引退した時貧乏暮らしになっちまう」

「ゲインさんならそうはならないかと…」

「うん」

「ですね。手足が捥げてもお金稼ぎ出来そうです」

 それはさすがに無理だろう?背負子に背負われて仕事するのかな?ポーター雇えばまあ、できるか。2人共にお金を振り込まれ、おろおろするタララの手を引いてギルドを出た。

「どうしよう…、周りが敵に見えるよぅ」

「よし、ならば皆殺しだ」

「やめてよー」

「冗談だよ。けどこれで装備が整うな。もう少し良い宿…賃貸でも良いが住み替えるのも良いぞ?」

「急にそんな散財出来ないもん」

「そうだな。まずは装備を買いに行こう。中古武器屋にな」

「そ、そうだね!中古が良いよね!」

 幾分か、心を取り戻したタララを連れて中古武器屋にやって来た。いつも寝てる髭もじゃ店主は今日も寝ていた。

「こんにちはー、お客ですよー」「お客だよー」

 返事が無いので適当にうろうろ。鈍器と言ってもいろいろあるな。重過ぎるのは除外、長過ぎるのも除外して、片手で振り抜きやすいのをタララに振らせて確かめさせる。

「こんな感じかなー?」

「親父さん、どうかなー?」

「軽いわい」

 むっくり起き出し顔だけ出して、また消えた。

「起きてたんだな」

「また寝ちゃった」

「起きとるわ」

 左手で持ち上げたソレをカウンターにゴトリと置いた。振ってみろって事だろう。タララが持って、振っている。

「さっきのより重いけど、振れない事はないかな」

「叩いて押し込む。あれじゃ軽くて弾かれちまう。ソイツの武器を揃えるってこたぁ、ダンジョンに潜るんだろ」

「そう言えば穴だらけにされてた」

「買い替え時期にちょうど良かったって事だな」

「じゃあこれにする!おじさんいくらー?」

 おじさんだったのか。髭もじゃなので若くはないとは思っていたが、おじいさんではなかったようだ。

「3万」

「まけてよ!」

 お前金持ちだろが!

「自分の命を安く買えるか?」

「うぇ~ん、ゲーイーンー」

「買えよ金持ち」

「なんじゃ小娘、金稼げたのか。てっきりゲインに貢がせるモンだと思ってたわい」

「ゲインに稼がせてもらったんだもん」

「プレゼントが武器だと色気無いからねー。俺だと思ってぶっ叩かれるのもなんかヤだし」

「どっちでもええから買え。物は物じゃ!」

 渋々ギルド証を出すタララだが、お前今すぐ家買えるくらい持ってるんだからな?

「あは~ん!買っちゃったよお!」

 泣くな喚くな。うるさいから出て行け、だって。次は鎧なんだけど、金属鎧の店は知らないんだよな。

「坊や、女泣かせはダメよ?」

 泣き喚きを聞いて出てきた中古防具屋の店主さんに濡れ衣を着せられてしまった。

「武器買っちゃった~」

「次は鎧なのね、よしよし」

 何がよしよしなのか分からないが店の中に連れられて行ってしまった。革鎧で良いなら良いけど。俺も入って行くと椅子に座らされて慰められてた。壁に飾られてる肩当て付きの胴鎧なんて良さそうだな。メットはどれが良いだろう…?

「坊や、良い目利きだけど、この子の装備はウチのじゃダメよ?坊やのもね」

「お勧めの防具屋さんを紹介してくれると嬉しいです」

「そうね、私の友達を紹介してあげる。良い物の店よ?」

 高いって事か。金属鎧だし覚悟も準備も出来てるよ。返事代わりに苦笑いで返す。

「ゲイン!あたい、鎧買うよ!」

 意を決したようだ。店主さんに店の場所を教えてもらい、小さな紙のメモ書きを預かった。店主に見せろ、だって。

「マントはどうする?」

「あはぁはぁ~ん!」「こら、心を折らないのっ」

 マントは鎧じゃないらしい。

「悪かったよ、これ食べて落ち着け」

 串焼き食べたら静かになった。俺だと思ってゆっくりお食べ。

「すっかり餌付けされちゃって…」

「お昼用に買っただけですって」

 落ち着いたのでお礼と共に店を出た。しおしおになったタララは見るに堪えない。

「今日はもうやめとくか?」

「けど…」

「まだ昼飯残ってるから俺の部屋で食べて、それから考えても良いだろう」

「そだね」

 手を引いて帰路に着く。厩に居た馬達も何だか心配そうな目で見ていたよ。板の下に買ってきた箱を置いて、低いテーブルにした。敷物は洗わなきゃいけないのでとりあえず仕舞ったままだ。ベッドに2人、並んで座り、串焼きとソーサーと水で腹を満たす。

「タララは高い買い物に慣れてないんだな」

「初めてだもん」

「ドキドキするよな」

「うん」

「俺もかなり悩むよ。カバンだって自作で済ませるくらいだしな。けどタララが怪我したら俺が悲しい」

「そだね。あたいもゲインが怪我したらやだよ。それに死んじゃったら、せっかく稼いだのが無駄になっちゃうもんね」

「だな」

「明日、装備を揃えるよ。付き合ってくれる?」

「分かったよ。敷物洗濯するから昼頃で良いか?」

「うん!」

 午後はまったりチップを千切る。タララにもウサギ、ハシリトカゲ、カメ、石、スライム、腕、脚、体、棒、水滴をくれてやって千切らせた。俺はカメに噛み付いた。

「なんか強くなった気がする」

「足は僅かに速くなってると思うぞ。それと、洗濯する時はMPに気を付けろよ?白チップは100枚使って使えるレベルになる感じだからな」

 試しにウォーターを2人同時に使ってみる。寸胴鍋に注がれる水の量の差を見られるのは正直ありがたい。

「洗濯に500ヤン払わなくて良いのは魅力だね、100枚千切るのは嫌だけど」

「基礎魔法の銀チップは見た事ないから100枚使うしか無いんだよなー。同種のチップも見た事ないし」

「100枚とか1000枚使ってどれくらい変わるの?」

「うーん、水の基礎魔法だと、100枚でウォーターの量が倍になる。洗濯や脱水のMPが2%減る」

「ふんふん」

「投擲だと、1000枚で銀チップの投擲と同じ効果になる。銀チップの投擲は重複するので、正味6000ヤンで銀チップの投擲1枚買った扱いになる」

「ん?」

「6000ヤンで1000ヤンの効果が得られる」

「損してるね」

「まだ良いよ。銀チップ1000枚で金チップと同じ効果だが、金チップを1枚10万として、銀1000枚は底値で100万はするからな」

「うわぁ~」

「なので安い金チップは買った方が得なんだ」

「それを、明日買わせるつもりなのね」

「タララに心の余裕があればな」

「がんばる!」

 ランタンに油を補充したら夕飯に行こうか。お風呂セットは持ってきてないと言うのでご飯を食べたら解散だ。明日には元気になると良いな。

「またねゲイン」

「明日なー」

 タララと別れてゆっくり湯に浸かり、ランタンに火を付けて帰って来た。馬達を撫でて部屋に入る。さて、千切るか…。

スキル : 硬化☆☆ 硬化

硬化 : 攻撃を受ける為のスキル。装備と肉体の防御力が少し増し、更に少し増し、痛みを少し抑え、更に少し抑える。

 キリよく2000枚残してカメの星が2つになったよ。痛いのは嫌なので試したくはないが、装備の防御力が上がるのはいずれ役に立つだろう。明日は洗濯しなきゃだし、もう寝よう…。


 目覚めるとすっかり明るくなってた。馬達の嘶きが聞こえない程熟睡してたのかな?厩に降りてお休みの馬達に挨拶し、挨拶を返されベチョベチョになった顔を洗い、朝食にしよう。敷物を洗わなきゃいけないし、天気も良いので外で食べる。
 ソーサーと干し肉を齧っていると、馬がブヒンと小さく鳴いた。誰か来たみたい。

「お前御者か?仕事を頼みたいんだが」

「俺は2階を間借りしてるただの冒険者だよ。今は休みの人しか居ないけど、聞いてくるから待ってて」

 商人風の太った男だが、何だか目付きが怪しいな。それにすごく警戒してる。2階に上がり、休みの人に声をかけて降りて行く。太った男と話をしているが、どうやらこの街の厩は定期便しかやっておらず、個別の注文は受けないそうな。行商人が商隊みたいに自分で馬を持ってる人以外は歩きなのはこれが理由か。
 ちなみに家の馬は村全体で増やして管理してる、貴重な外貨の内の1頭だよ。馬を山に放ってでも税金にはしないんだって。

「ちっ!使えん奴らめ」

「俺は親切心で声をかけに行っただけでお前に使えんと言われる筋合いは無い。さてはお前、商人じゃないな?」

「どう言う事だゲイン?」

「行商ってさ、人のいる場所に行くよね」

「そりゃそうだな」

「だったら定期便で良くね?」

「そりゃそうだな」

「料金の踏み倒しと言うより、御者を殺して馬車を奪うつもりかも?」

「個人を受けない理由はそれだな。あんた、ちょっと詰所まで来てもらうよ?」

「はっ!誰が行くか!お前らみたいなクズになんぞ付き合ってられるか!」

「捕まえる?」

 太った男は何か言おうとしたが、それは直ぐに奇声に変わった。俺の放った石が両膝を砕いたのだ。動きは封じたがまだ攻撃できるので両手も潰してやる。

「捕まる気、ある?無いなら次で殺すけど?」

「あぎゃあああああだ!だずげれ!」

 汚い音を聞きつけた衛兵さんが2人、何事かと厩にやってきた。御者さんが説明して、引きずられる太った男と一緒に詰所に同行してった。俺は来なくても良いみたい。朝飯の続きをしたら洗濯しないといけなかったので助かるよ。
 厩には色んな物が置いてある。今日はロープをお借りする。厩の柱にロープを結び、マジックバッグから取り出した汚い敷物をかける。馬達も注目してるな。
 濡れると重くなるので切れない事を祈り、ウォッシュ。ジャバジャバと敷物を包み込んだ水が暴れ、汚水となって消える。

「んー、1回じゃキレイになってない気がする」

「ぶるる…」

 馬の言葉は分からないが、俺の考えと一緒なら洗えって意味だと思う。もう1度ウォッシュだ。
 結果、4回ウォッシュした。黄ばんでた白地が白く見えるのでこれくらいにしておこう。これ以上はMPが惜しい。デリートウォーターで乾燥させると2つ折りの状態で乾いてしまうので一旦マジックバッグに仕舞い、外に出る。
 石を回転させて射出するように、敷物も回転させれば広げきった状態にできるのでは、と考え実行に移す。ソーサーを回す感覚で回転をイメージし、手を掲げて取り出すと、しっぱねを飛ばしながらぐるぐる回る敷物が現れた。すかさずデリートウォーターだ。
 乾いた敷物は1度洗いよりふわっとしてる気がするが、若干トゲトゲしいな。厩に戻ってロープにかけて、今度は根ブラシをお借りします。馬達が羨ましそうな目でこちらを見ている。3頭なら…、けど帰ってきた子達が嫉妬するかも知れん。少しだけにしておこう。
 根ブラシでトゲトゲをブラッシングするととてもふわふわになった。待ちわびてた馬達も擦られてご機嫌だ。敷物を仕舞い、ロープなどをそっと返して部屋に帰る。敷物、箱、板の順に置き直し、座り心地のいいテーブルセットが完成した。
 ふわふわで横になりたい欲を我慢して竈に向かう。大き過ぎるお玉を削って小さくするのだ。石炭を足して、まずは竈に火を付ける。剣鉈とナイフで径を小さくし、水が溜まる窪みに焼けた石炭を乗せて焦がして行く。深さを見ながら焼いて削ってを繰り返し、最後にナイフで縁を整え、使いやすいお玉が完成した。
 水汲みとお玉を洗いに井戸に移動し、使い心地をチェックした。お椀が深いのでいっぱい入るのが嬉しい。

「ゲイーン、何してんのー?」

 鍋の水を掬って流してしているとタララがやって来た。

「昼からだったよな?」

「串焼き買ってきたから一緒に食べよ?」

 なんと、タララが串焼き奢ってくれた。2本!ふわふわが敷かれた部屋で寛ぎながらお湯を沸かして昼食にした。人の金で食べる肉の、なんと美味い事か。

「なんか、嬉しそうだね?敷物が当たりだったから?」

「それもある。お湯を汲むのに危なくなくなったし、タララの肉が美味い」

「あたいのお肉じゃないからね?」

 食休みも敷物の上。タララが負けを認めた犬みたいな状態でゴロゴロし始めた。腹をさすってやろう。

「いや~ん」

「寝たら買い物行けなくなるだろ?」

「ちょっとだけだもん」

 俺はベッドを背もたれに、タララは俺を枕にしてまったり過ごした。タララのお腹はあれでなかなか柔らかい。

「ゲイン、起きれゲイン」

「ん…、お腹の触り心地が良くて寝ちゃったか」

「そこ、おっぱい」

 お腹だと思って揉み擦りしてたのは途中からおっぱいに変わっていたらしい。

「柔らかいな」

「買い物、行くんでしょ?それとも、もっとする?」

 俺も男だ。したいけど、買い物に行こう。 おっぱいにお礼を告げてそっと手を離した。

「それあたいに言う言葉だよね?」

「タララもありがとう」

 不満顔のタララを撫でて機嫌をとったらカバンを提げて出かけよう。馬達に行ってきますのなでなでをして厩から出ると、タララが腕に絡みついてきた。

「腕を引っこ抜くつもりか?」

「当ててんの!」

「冗談だよ。柔らかいけど手の方が良いなー」

「ゲインのエッチ」

「男だもん」

 周りからの刺すような視線が飛んできてる気がするので足早に移動して、中古防具屋さんオススメの店にやってきた。大通りのお高い店だ。とても敷居が高いが勇気を振り絞ってタララを押して入る。

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ。防具の新調ですね?」

 輝く頭に真っ黒でピチピチな皮の服を着たムキムキのこの人が店主さんみたい。他に従業員らしい人は居ないからきっとそうなのだろう。

「はい、先にこの子の装備をお願いします。それと、中古防具屋さんから店主さんにこれを…」

「ゲインさんにタララさんですね。お話は昨日浴場にてニアさんに伺いました。こちらへどうぞ」

 メモ書きを渡すが既に話は通ってたみたい。マッチョだらけのお風呂屋さんに行ったのだろうなぁ。
 こちらへと通されたカウンターの脇には既にいくつかの金属鎧が用意されていて、着けてみて、良いのがなければ奥から持ってくるとの事。タララが着けるのを手伝ってやるが、胴鎧だけでも結構重いな。

「全部着けたらかなり重そうだな」

「動きやすさ重視で選びましたが、これより軽くなりますと防御が劣ります」

 試しに軽いのを1つ見せてもらったが、胸鎧に手足とメットと、確かに腹がガラ空きで心許ないと感じた。結果、タララの装備は兜、胸当に肩当に腰当、手甲、脛当に鉄靴と、多少軽くする編成となった。腕や太腿は皮で何とかしたいらしい。

「盾と金棒持って走れそうか?」

「歩くのとどっちが早いかねー」

 金はギルド証で払ってしまったのでいくらなのか分からないが、聞いたらタララが泣いてしまうかも知れないので聞かないでおいた。
 で、次は俺の番。話が通ってる通り、シンプルなのが並んでる。鉄靴に脛当だけで充分なんだけど、中途半端な部分を狙われると言うので胸当と肩当と腰当も着させられた。これ、着たら買えって事だよな?上腕当が着けられた。もうお腹一杯!やめて!最後に兜を着けられて、これ買うのか~…。

鉄兜 20000ヤン。
肩当 35000ヤン。
胸当 55000ヤン。
腰当 20000ヤン。
上腕当 15000ヤン。
脛当 18000ヤン。
鉄靴 30000ヤン。
総額 193000ヤン。

 なかなかのお値段をギルド証で支払って、装備を着込んだ俺達2人は重い体を引きずるように街の外に向かう。しっかり動いて様子を見ないといざと言う時困るからな。

「せめて使い潰すくらいには使いこなさないとな」

「キレイな状態で下取りに出したいよぅ」

「キレイな体で引退したいなら頑張らないとな」

「うう~、やるしか~」

「んじゃ、走るぞ」

 門を出て、フル装備で走り出す。のしのしと。タララは盾もあるのでいつも通りだが、俺もだいぶ遅い。スキルの効果は出てると思うが街に来たばかりの頃と変わらない状態になってしまった。
 盾を仕舞って少し早くなったタララを連れて、走って早足で500ハーン程移動する。

「走りやすさは問題無いけど、とにかく遅いな」

「走るなら、装備、仕舞って、走ろ」

「鉄靴と手甲以外外すか」

「そだね」

 行きより素早く帰った。鉄靴は重いけどこれと手甲だけなら余裕あるな。それでも走るスキルは星2にしておくべきだろう。タララのスキルも揃えたいのでブラウンさんのスキル屋に向かった。

「こんにちはー」

「おお友よ。チップが切れましたかな?」

「まだ売る程残ってますよ。今日はこの子用だよ。安売りの金チップなんて、無いよね?」

「ありますぞ?いずれゲイン殿に買わせようと処分せずに残してあるのです」

「さすがに金100枚は…」

「ははは、さすがにこちらも100枚は揃えられませんな。使い勝手の良さそうな物を用意してあるだけです」

カメS(美品)
カメG
ヨロイトカゲS
ウサギS
ハシリトカゲS
腕S
腕G
脚S
脚G
体S
体G
棒S
石S
鎧S
盾S
盾G(美品)

 タララ用にチョイスしたチップはこうなった。キラッキラしてるよ、特に金盾。値段を聞かずギルド証で買うタララは剛気に見えてとても臆病な生き物である。

「こーゆーの買うのが1番怖い~」

「よしよし。がんばったねー、後は使うだけだよー」

「ゲインがやさしい~なんかたくらんでる~」

 心外である。放っといて俺の買い物もしよう。

ウサギS 1000ヤン。
ハシリトカゲS 1000ヤン。
カメS 1000ヤン。
腕S 1000ヤン。
腕G 80000ヤン。
脚S 100枚 100000ヤン。
脚G 80000ヤン。
体S 1000ヤン。
体G 80000ヤン。
1000枚セット 5000ヤン。
総額 350000ヤン。

 しれっと紛れ込ませられた1000枚セットの存在感よ。脚S100枚買ったんだから許して欲しいものである。本当は99枚で良いんだぞ!?
 ウサギSも100枚あると言われたが使い切れないので今回はパス。濡れた子犬みたいな顔をしてもダメだ。お礼を告げて逃げ帰ったよ。

 部屋に戻り、タララにチップを使わせる。部屋に入ってからそわそわうろうろしてると思ったら、

「お昼の続きするのかと思ってた」

 だと。チップ千切るのが先だろ?俺も買ってきたチップを千切る。

スキル : 走る☆ 走る☆ 走る 走る 走る

走る : 早く移動する為のスキル。速度が僅かに増し、更に僅かに増し、更に大幅に増し、更に少し増し、更に少し増し、体力の消耗を僅かに抑え、更に僅かに抑え、更に大幅に抑え、更に少し抑え、更に少し抑える。

スキル : 硬化☆☆ 硬化 硬化

硬化 : 攻撃を受ける為のスキル。装備と肉体の防御力が少し増し、更に少し増し、更に少し増し、痛みを少し抑え、更に少し抑え、更に少し抑える。

スキル : 腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化

腕力強化 : 腕力を強化するスキル。腕力が僅かに増し、更に少し増し、更に大幅に増す。

スキル : 脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化

脚力強化 : 脚力を強化するスキル。脚力が僅かに増し、更に中程度増し、更に大幅に増す。

スキル : 体力強化☆ 体力強化 体力強化

体力強化 : 体力を強化するスキル。体力が僅かに増し、更に少し増し、更に大幅に増す。

 1000枚セットは後にして、キラキラしたのから先に終わらせた。走るの説明がとてもごちゃごちゃだ。少しが強化されると中程度になるようだ。

「こっちはもう終わってるよ」

「盾が軽くなってると思うぞ」

「……大幅にアップってどんくらい?」

「盾持てば分かると思うぞ」

 表現が曖昧で、これだけ上がる!とは言いづらい。盾を取り出すタララは軽くなってる事に驚いていた。他のスキルの効果もあって、他の装備も軽くなっているから、なおの事盾が軽く感じられている事だろう。

「軽くなってる!!」

「装備着てみなよ。軽くなってるぞ」

 鎧を出してまた驚いてる。金チップは伊達じゃない。感覚が急に変わると逆に動きづらくなるので夜までフル装備でいる事にした。

「ここまで変わるんだね金色って」

「そうだな、白チップ使うのが馬鹿らしく感じるよ」

 夕方まで敷物の上でぐたーっとしたら、油を入れたランタンとタオルを持って飯風呂に行こう。今日はタララもタオルを持ってきたそうなので、先に飯を食べてそれから風呂屋に行った。



現在のステータス

名前 ゲイン 15歳
ランク C/F
HP 100% MP 50%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆ 走る☆ 走る 走る 走る
刺突☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆

鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ

魅了
威圧

水魔法☆ 水魔法
ウォーター
ウォッシュ
デリートウォーター
ウォーターバレット
ウォーターウォール
ボーグ

土魔法
ソイル
サンド
ストーン

火魔法
エンバー
ディマー
デリートファイヤー

所持品

鉄兜E
肩当E
胸当E
腰当E
上腕当E
脛当E
鉄靴E

革製ヘルメット
革製肩鎧
革製胴鎧
皮手袋
皮の手甲
混合皮のズボン
皮の脚絆
耐水ブーツ
耐水ポンチョ

草編みカバン
草編みカバン2号
布カバンE
革製リュック

木のナイフE
ナイフE
剣鉈E
解体ナイフE 
ダガーE
革製ベルトE

小石中☆500
小石大☆450
石大☆20

冒険者ギルド証 381558→6671558ヤン
財布 銀貨3 銅貨20
首掛け皮袋 鉄貨31
部屋の鍵
 
冊子
寸胴鍋
お玉
コップ

カトラリー

五徳
木ベラ
籠入り石炭60
洗濯籠
ランタン
油瓶
着火セット
多目的板
蓋の無い箱
敷物
翡翠特大

中古タオル
中古タオル
中古パンツE
パンツ(使用済み)
ヨレヨレ村の子服セット(シワシワ)
サンダル
革靴E
街の子服Aセット
街の子服BセットE

スキルチップ
ウサギ 3683/4391
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 3046/3166
ハシリトカゲS 0/1
ハチ 2726/2859
ハチS 0/1
カメ 2000/3459
カメS 0/1
ヨロイトカゲS 0/2
石 404/1853
石S 0/1
スライム 1023/2024
鳥? 213/1360
トンビS 0/4
サル 715/857
オオカミ 0/1025
ワニS 0/1
蝶 0/204
花 0/161
腕 440/541
腕S 0/1
腕G 0/1
脚 423/524
脚S 0/101
脚G 0/1
頭 77/178
体 422/523
体S 0/1
体G 0/1
棒 419/520
ナイフ 403/504
ナイフS 0/1
短剣 0/101
鎧S 0/1
袋S 0/1

水滴 157/394
水滴S 0/1
立方体 0/25
火 0/1

魅了目S 0/1
威圧目S 0/1
頭三本線S 0/1
頭三本線G 0/1

未検品 1000/1000
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