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第10話 少しの亀裂
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いろいろとやらかした日の夜、俺とスクレナはギルド本部内の食堂で夕食をとっていた。
相も変わらず周りの食欲までそそるくらいにパクパクとよく食べるスクレナ。
普段の言動は高級志向を思わせるのに、意外となんでも美味そうに食べるのがこいつの数少ないいいところだ。
そんなことを考えながら俺は手に持っている新聞へと目を移す。
自分で買ったのではなく、前に座っていた誰かが置き忘れていったものだけど。
読んでいるのは「剣聖イグレッド、軍を率いてロブスト山脈の中腹で竜族を撃退」という記事だ。
剣聖だけじゃない。
他にも聖騎士、聖魔道士、そして聖女のことも書かれている。
内容は至って単純。
要約すると帝国万歳! 聖者たち万歳! さすがは我らの希望! ってところだ。
それにしても、これを読む限りだとセリアも戦闘に加わってるってことか。
なんだか幼馴染が魔物らと対峙する姿が想像できないな。
しっかり者だけどおっとりしてて、包容力があって、虫も殺せないようなあの優しいセリアが――
俺は首を横に振った。
それは自分の記憶の中に残っている村娘のセリアだ。
今の聖女様とは別人なんだ。
優しいだって? 鼻で笑ってしまう。
俺にした仕打ちを……俺に向けた冷ややかな目を思い出せ。
2年前にめでたく結ばれた剣聖様やその仲間と共に嘲笑っていたあの日のことを。
「何か面白いことでも書かれておるのか?」
声と同時に突然目の前の新聞が消えた。
向かい側に座っていたスクレナに奪い取られたようだ。
「食べながら読むな。行儀が悪いぞ」
俺が咎めても一切聞く耳持たずに視線を左右に往復させている。
しばらくして溜息なのか苦笑なのか分からないが、息を1つ吐くと手にしていた新聞をテーブルの上に放り投げた。
「くだらん。ロブスト山脈の竜族は聖竜だぞ。それも中腹にいるのは主に若い者だ。こんな侵略行為のようなことをして英雄気取りとはな」
そういえばあの山脈は竜族が住むからと、どこの国の領土にもなっていなかったな。
あそこがちょうど国境となっているし、制圧することが出来たら戦時下では大きな優位性になる。
「これ以上は各地にいる古竜たちの怒りを買うだけだ。奴らが報復するようなことがあれば戦争になるぞ。それに漁夫の利を狙う形で邪竜まで攻め込んできたらそれこそ帝都は火の海になるだろう」
「なんだって帝国はそんなリスクを冒そうとするんだ? 対価に見合わないじゃないか」
「さぁな。作戦を指揮する者がよほどのアホなのか、何か必勝の策があるのかどちらかだろう」
竜族の総攻撃なんて想像しただけでゾッとする。
帝都が壊滅するというのも決して大袈裟ではないのかもしれない。
そうなれば……
――また! この期に及んで俺は!
「さっきからあの女のことを考えているな?」
目を伏せて考え込んでいる俺の顔をスクレナは覗き込んでくる。
「ならばいっそのこと誘拐でもすればよいではないか。光の聖女を我の前に膝まづかせるのも面白い」
そんなこと無理に決まっている。
聖女の元に辿り着くのにどれだけの障害を突破しなきゃいけないと思ってるんだ。
途中で魔力が尽きてぶっ倒れるのがオチだろう。
そもそも愛する人と一緒になって、情勢が落ち着けばようやく幸せな家庭を築けるってのに。
あいつらに怒りがあるのは本当のことだが、そんな形で阻害するのはまた違う気がする。
「だったらいい加減に綺麗さっぱり忘れろ。ウジウジと女々しい奴だな。いつまで自分を捨てた女の尻を追いかけるつもりだ。あぁ、食事が不味くなる! さっさと我の前から消えぬか!」
「そりゃ悪かったな! そういうことならクエストボードでも見てくるよ!」
スクレナが手を払ってこの場から立ち退かせようとするので、俺はその要求に応えることにした。
貶されて悔しかったというよりは、痛いところをつかれて居た堪れなくなったのかもしれない。
「もうお前は我のものだと言っておるのに……」
一瞬スクレナが何かを呟いたような気がして振り返ってみる。
気のせいだったか?
特に変わりもなく黙々と飯を食っているし、構わず依頼表を確認しに向かうとしよう。
◇
明日の仕事を決める為、今ある中でめぼしいものがないかとボードに貼られた依頼表を一枚ずつ吟味していく。
とか偉そうに言ってみても、青銅が受けられる依頼はランクG~Eと限られているのだけど。
等級が上がるごとに幅が広がり、銅はDまで、鉄はCまで、銀はBまで、金以上ならSまで全ての依頼を受注できるようになる。
さて、貼り出されている中で目を引くのは……
Gランクの薬草採集かな。
キャモン草にするか、メント草にするか迷うところだ。
「ねぇ、君。もしかして依頼を探してる?」
どっちにするか決めあぐねていると、横から声をかけられた。
顔を向けてみればすぐ脇には明るいブラウンでくせっ毛の男が立っていた。
童顔で女性受けがよさそうな容姿をしている。
「もしよかったら僕たちのパーティーに入らない?」
男から一歩引いたところに仲間らしい3人が佇んでいた。
いずれも女性か。
性別はともかく職業のバランスはよさそうだ。
「僕は剣士のヒーズ、よろしくね。彼女たちは右から順番に魔術師のアイ、僧侶のマイ、スカウトのミィだよ」
後ろの女性たちはお辞儀をしたり手を振ったりと挨拶は様々だった。
「どうも、エルトです」
「固いなぁ。気軽にタメ口でいいのに。それで、一緒にやりたい依頼ってのはこれなんだけど」
内容はEランク「スピラ遺跡の調査」か。
割と最近になって入口が発見された遺跡だ。
だがここで俺はこの申し出に違和感を覚えた。
まだ未知のことが多いとはいえ、中の魔物を討伐して来いとか、宝を取って来いという依頼ではない。
あくまで調査なのだ。
危険なことがあって逃げたとしても、それを報告すれば仕事は成功となる。
もちろん報酬だって貰える。
パーティーのバランスもよくて、しかも全員の等級が鉄だ。
四人だけでも十分なのに、ただ分け前を減らすだけで俺を入れるメリットが何もない。
「お誘いはありがたいけど、俺の実力には見合わないから……」
「遠慮……というより、もしかして疑ってる?」
ヒーズに考えを見透かされると、まるで取り巻きのような女たちからは非難の声が上がる。
「ひっどーい!」、「ヒーズの厚意を無下にしないで!」なんて。
「気持ちは分かるけどね。それでも僕は君の力になりたいんだ。初めて見る顔だし、青銅だし、エルトはまだ駆け出しなんだろ? 知識がないばかりに命を落とすなんてことがないように色々と教えてあげようと思って」
本当は3年やってるんだけど。
やっぱり青銅のままそれだけ経ってるなんて思わないか。
今度は女たちが一斉に「やさしー!!」って合いの手を入れるし。
まぁ、理由の方は至極真っ当な感じだけど。
でもなぁ……このヒーズって男からはどことなくあいつと同じ臭いがするんだよな。
「よいではないか。せっかくだから同行させてもらうとしよう」
振り返ると食事を終えたスクレナが合流してきた。
しかし珍しいな。こいつがパーティーの誘いを受けるなんて。
普段なら「失せろ海藻頭。誰の目も届かぬ深海で陰気に漂っておれ」とか言いそうなのに。
「仲間の子かい? じゃあ君は決まりだね。エルトはどうするの?」
どうもこうも、こいつが行くって言うなら必然的に俺も行かなきゃいけないということになるしな。
そうでなくても監視する者がいないと何をしでかすか分かったもんじゃない。
「よし! だったら明日の朝7時にここの食堂に集合だ。遅れたらダメだよ」
それだけ言い残して、ヒーズも3バカ娘も去っていった。
思えばスクレナ以外の冒険者と仕事をするのは初めてだったっけ。
何やら簡単に終わってくれそうもない予感がして、だんだんと不安になってきたな。
相も変わらず周りの食欲までそそるくらいにパクパクとよく食べるスクレナ。
普段の言動は高級志向を思わせるのに、意外となんでも美味そうに食べるのがこいつの数少ないいいところだ。
そんなことを考えながら俺は手に持っている新聞へと目を移す。
自分で買ったのではなく、前に座っていた誰かが置き忘れていったものだけど。
読んでいるのは「剣聖イグレッド、軍を率いてロブスト山脈の中腹で竜族を撃退」という記事だ。
剣聖だけじゃない。
他にも聖騎士、聖魔道士、そして聖女のことも書かれている。
内容は至って単純。
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それにしても、これを読む限りだとセリアも戦闘に加わってるってことか。
なんだか幼馴染が魔物らと対峙する姿が想像できないな。
しっかり者だけどおっとりしてて、包容力があって、虫も殺せないようなあの優しいセリアが――
俺は首を横に振った。
それは自分の記憶の中に残っている村娘のセリアだ。
今の聖女様とは別人なんだ。
優しいだって? 鼻で笑ってしまう。
俺にした仕打ちを……俺に向けた冷ややかな目を思い出せ。
2年前にめでたく結ばれた剣聖様やその仲間と共に嘲笑っていたあの日のことを。
「何か面白いことでも書かれておるのか?」
声と同時に突然目の前の新聞が消えた。
向かい側に座っていたスクレナに奪い取られたようだ。
「食べながら読むな。行儀が悪いぞ」
俺が咎めても一切聞く耳持たずに視線を左右に往復させている。
しばらくして溜息なのか苦笑なのか分からないが、息を1つ吐くと手にしていた新聞をテーブルの上に放り投げた。
「くだらん。ロブスト山脈の竜族は聖竜だぞ。それも中腹にいるのは主に若い者だ。こんな侵略行為のようなことをして英雄気取りとはな」
そういえばあの山脈は竜族が住むからと、どこの国の領土にもなっていなかったな。
あそこがちょうど国境となっているし、制圧することが出来たら戦時下では大きな優位性になる。
「これ以上は各地にいる古竜たちの怒りを買うだけだ。奴らが報復するようなことがあれば戦争になるぞ。それに漁夫の利を狙う形で邪竜まで攻め込んできたらそれこそ帝都は火の海になるだろう」
「なんだって帝国はそんなリスクを冒そうとするんだ? 対価に見合わないじゃないか」
「さぁな。作戦を指揮する者がよほどのアホなのか、何か必勝の策があるのかどちらかだろう」
竜族の総攻撃なんて想像しただけでゾッとする。
帝都が壊滅するというのも決して大袈裟ではないのかもしれない。
そうなれば……
――また! この期に及んで俺は!
「さっきからあの女のことを考えているな?」
目を伏せて考え込んでいる俺の顔をスクレナは覗き込んでくる。
「ならばいっそのこと誘拐でもすればよいではないか。光の聖女を我の前に膝まづかせるのも面白い」
そんなこと無理に決まっている。
聖女の元に辿り着くのにどれだけの障害を突破しなきゃいけないと思ってるんだ。
途中で魔力が尽きてぶっ倒れるのがオチだろう。
そもそも愛する人と一緒になって、情勢が落ち着けばようやく幸せな家庭を築けるってのに。
あいつらに怒りがあるのは本当のことだが、そんな形で阻害するのはまた違う気がする。
「だったらいい加減に綺麗さっぱり忘れろ。ウジウジと女々しい奴だな。いつまで自分を捨てた女の尻を追いかけるつもりだ。あぁ、食事が不味くなる! さっさと我の前から消えぬか!」
「そりゃ悪かったな! そういうことならクエストボードでも見てくるよ!」
スクレナが手を払ってこの場から立ち退かせようとするので、俺はその要求に応えることにした。
貶されて悔しかったというよりは、痛いところをつかれて居た堪れなくなったのかもしれない。
「もうお前は我のものだと言っておるのに……」
一瞬スクレナが何かを呟いたような気がして振り返ってみる。
気のせいだったか?
特に変わりもなく黙々と飯を食っているし、構わず依頼表を確認しに向かうとしよう。
◇
明日の仕事を決める為、今ある中でめぼしいものがないかとボードに貼られた依頼表を一枚ずつ吟味していく。
とか偉そうに言ってみても、青銅が受けられる依頼はランクG~Eと限られているのだけど。
等級が上がるごとに幅が広がり、銅はDまで、鉄はCまで、銀はBまで、金以上ならSまで全ての依頼を受注できるようになる。
さて、貼り出されている中で目を引くのは……
Gランクの薬草採集かな。
キャモン草にするか、メント草にするか迷うところだ。
「ねぇ、君。もしかして依頼を探してる?」
どっちにするか決めあぐねていると、横から声をかけられた。
顔を向けてみればすぐ脇には明るいブラウンでくせっ毛の男が立っていた。
童顔で女性受けがよさそうな容姿をしている。
「もしよかったら僕たちのパーティーに入らない?」
男から一歩引いたところに仲間らしい3人が佇んでいた。
いずれも女性か。
性別はともかく職業のバランスはよさそうだ。
「僕は剣士のヒーズ、よろしくね。彼女たちは右から順番に魔術師のアイ、僧侶のマイ、スカウトのミィだよ」
後ろの女性たちはお辞儀をしたり手を振ったりと挨拶は様々だった。
「どうも、エルトです」
「固いなぁ。気軽にタメ口でいいのに。それで、一緒にやりたい依頼ってのはこれなんだけど」
内容はEランク「スピラ遺跡の調査」か。
割と最近になって入口が発見された遺跡だ。
だがここで俺はこの申し出に違和感を覚えた。
まだ未知のことが多いとはいえ、中の魔物を討伐して来いとか、宝を取って来いという依頼ではない。
あくまで調査なのだ。
危険なことがあって逃げたとしても、それを報告すれば仕事は成功となる。
もちろん報酬だって貰える。
パーティーのバランスもよくて、しかも全員の等級が鉄だ。
四人だけでも十分なのに、ただ分け前を減らすだけで俺を入れるメリットが何もない。
「お誘いはありがたいけど、俺の実力には見合わないから……」
「遠慮……というより、もしかして疑ってる?」
ヒーズに考えを見透かされると、まるで取り巻きのような女たちからは非難の声が上がる。
「ひっどーい!」、「ヒーズの厚意を無下にしないで!」なんて。
「気持ちは分かるけどね。それでも僕は君の力になりたいんだ。初めて見る顔だし、青銅だし、エルトはまだ駆け出しなんだろ? 知識がないばかりに命を落とすなんてことがないように色々と教えてあげようと思って」
本当は3年やってるんだけど。
やっぱり青銅のままそれだけ経ってるなんて思わないか。
今度は女たちが一斉に「やさしー!!」って合いの手を入れるし。
まぁ、理由の方は至極真っ当な感じだけど。
でもなぁ……このヒーズって男からはどことなくあいつと同じ臭いがするんだよな。
「よいではないか。せっかくだから同行させてもらうとしよう」
振り返ると食事を終えたスクレナが合流してきた。
しかし珍しいな。こいつがパーティーの誘いを受けるなんて。
普段なら「失せろ海藻頭。誰の目も届かぬ深海で陰気に漂っておれ」とか言いそうなのに。
「仲間の子かい? じゃあ君は決まりだね。エルトはどうするの?」
どうもこうも、こいつが行くって言うなら必然的に俺も行かなきゃいけないということになるしな。
そうでなくても監視する者がいないと何をしでかすか分かったもんじゃない。
「よし! だったら明日の朝7時にここの食堂に集合だ。遅れたらダメだよ」
それだけ言い残して、ヒーズも3バカ娘も去っていった。
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