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47.王女の縁組1

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 サリーがリリアナの婚約者を本格的に探し始めた。
 王女の婿探しという事で直ぐに見つかると信じて疑わないサリーが羨ましい。現実を知らない。高位貴族の子女は一桁代で婚約が決まるのが普通だ。リリアナの年代で婚約者がいない子息となると、家の事情による者か、何かしら問題のある者かになる。現実は厳しい。思った通り、リリアナの婚約者探しは難航した。


「どうして!どうして見つからないの!?」

 今日も色よい返事はなかったようだ。
 無理もない。

「王女と結婚できるのよ?涙を流して喜ぶべきでしょう!」

 喜ぶ男はいないだろう。
 それ以前に家が許さない。
 リリアナというを抱える事に。

「折角、美しい顔に戻ったというのに!」

 地団太を踏むサリーを宥める侍女はいない。
 こうなった場合、好きなようにさせなければ被害が出る事を知っているのだろう。情報源は侍女頭だろうか?彼女が一番サリーの行動を読んでいたからな。


「マックス!何とかして!」

「何とか?」

「そうよ!このままだとリリアナが下位貴族と結婚しないといけなくなるわ!」

「……いや、それはない」

「どうして?リリアナと同年代で婚約者がいないのは下位貴族の子息ばかりなのよ!」

「王女は下位貴族に降嫁できない」

「そうなの?」

「ああ……」

 本気で知らなかったようだ。王女は侯爵家以上でなければ降嫁できない。その前に下位貴族に嫁いだ例などないだろう。どんな罰ゲームだ。相手の男性側にしても他の貴族にしても迷惑以外の何物でもない。仮に、リリアナが下位貴族の子息と恋に落ちたとしても「男妾」として飼う位だ。

 
「大臣達に相談しよう」

「大臣に?」

「知恵を貸してもらうんだ」

「そう……そうね。大臣なら位あるわよね」


 情けない話だが娘の結婚相手が見つからないのは国としても問題だろう。外務大臣なら諸外国の貴族とも交流がある。我が国と違って遅くに婚約をする国もある。大臣なら良いように取り計らってくれるだろう。

 この時、娘の結婚問題で頭が一杯だった。
 だから自分の妻がどんな表情をしていたのか知らなかった。
 そして、娘を思う母親の行動力を甘くみていた。
 


 

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