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第36話:今度こそ負けません
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「ジャンティーヌ殿、何を言っているのだ?頼む、私の事はいいから、もう逃げてくれ!」
ジルド殿下が私に向かって、必死に叫んでいる。
でも私は、絶対に逃げるつもりはない。
「いいえ、逃げません!魔女、さあ、戦いの続きをしましょう。お兄様、そんなところで突っ立っていないで、すぐにジルド殿下を安全な場所に」
「あ…ああ、分かった。さあ、ジルド殿下…」
近くで突っ立っていたお兄様が、急いでジルド殿下を安全な場所に連れて行く。再びジルド殿下たちに、バリア魔法を掛けた。
「本当に懲りない娘だね。いいだろう、それなら今度こそ、あんたを殺してあの子をもらうよ!あの子はもう、私の物だ」
「ジルド殿下は、物なんかではありませんわ!あなたなんかに、絶対にジルド殿下は渡さない!」
「この減らず口が!!本当に生意気な小娘だね。あんたを見ていると、元王妃を見ている様で、腹が立って仕方がない!今度こそ、さっさと地獄に落ちな!!」
一気に魔女が魔力をぶつけて来た。そっと胸にぶら下がっているリマから貰った石を握る。
“ジャンティーヌ殿、眠る魔力を引き出すには、とにかく魔力に集中するのです。全ての邪念を取り払う事。そして自分の力を信じるのです。あなた様の魔力は、世界一ですよ”
魔術師たちの言葉が、脳裏に浮かぶ。
全ての邪念を取り払う…
お願い、私の中に眠る魔力たち、今こそ私に力を貸して!
一気に魔力を集中させ、放出させる。魔女の魔力と私の魔力が、再びぶつかり合う。
「少しは本気を出してきた様だね。でも、これじゃあ私には勝てないよ。これならどうだい?」
魔女が再び膨大な魔力を放出したのだ!
「うっ!!」
あまりの魔力の衝撃に、地面はひび割れを起こし、岩たちは浮き上がっている。でも、この程度の魔力で、負ける訳にはいかない!
「あら、持ちこたえたのね。中々やるわね。それじゃあ、私もそろそろ本気を出そうかしら?」
ニヤリと笑った魔女。今度こそ本気でぶつかって来る!
「ジャンティーヌ殿、頼む。もう止めてくれ。本当に君が死んでしまう!」
必死にジルド殿下がこちらに向かって叫んでいる。そんなジルド殿下の方を見て、にっこり微笑んだ。
「ジルド殿下、私は負けません。だって、誰よりもあなたを愛しているから…」
もちろんジルド殿下に聞こえる訳がない。それでもどうしても伝えたかったのだ。
再び魔女の方を向き直す。
「魔女、私はあなたには絶対に負けない。なぜなら私は、あなたなんかよりもずっとこの国の人たちを、ジルド殿下を愛しているから!」
“お願い、私の中に眠る魔力たち、今こそ目覚めて!”
その瞬間、今までに感じた事のない魔力が溢れ出す。これが私の持つ、魔力の力なの?
「本当に目障りな女だね!今度こそ、本当に死ね!!」
魔女が一気に魔力を放出した。私も負けじと魔力を一気に放出する。その瞬間、激しい爆撃音が響き渡った。
そして…
「どうして…私が…こんな小娘に…」
丸焦げになった魔女が、ばたりとその場に倒れ込んだ。
その瞬間、雲は晴れ、太陽が顔を出す。
私、勝ったんだわ…
「ジャンティーヌ殿」
「ジャンティーヌ」
私のバリア魔法が解けた様で、向こうからジルド殿下やお兄様たちがこちらに向かって走って来る姿が目に入った。
よかった、これで全てが終わったのね…
そう思った瞬間、私は意識を飛ばしたのだった。
※次回、ジルド視点です。
ジルド殿下が私に向かって、必死に叫んでいる。
でも私は、絶対に逃げるつもりはない。
「いいえ、逃げません!魔女、さあ、戦いの続きをしましょう。お兄様、そんなところで突っ立っていないで、すぐにジルド殿下を安全な場所に」
「あ…ああ、分かった。さあ、ジルド殿下…」
近くで突っ立っていたお兄様が、急いでジルド殿下を安全な場所に連れて行く。再びジルド殿下たちに、バリア魔法を掛けた。
「本当に懲りない娘だね。いいだろう、それなら今度こそ、あんたを殺してあの子をもらうよ!あの子はもう、私の物だ」
「ジルド殿下は、物なんかではありませんわ!あなたなんかに、絶対にジルド殿下は渡さない!」
「この減らず口が!!本当に生意気な小娘だね。あんたを見ていると、元王妃を見ている様で、腹が立って仕方がない!今度こそ、さっさと地獄に落ちな!!」
一気に魔女が魔力をぶつけて来た。そっと胸にぶら下がっているリマから貰った石を握る。
“ジャンティーヌ殿、眠る魔力を引き出すには、とにかく魔力に集中するのです。全ての邪念を取り払う事。そして自分の力を信じるのです。あなた様の魔力は、世界一ですよ”
魔術師たちの言葉が、脳裏に浮かぶ。
全ての邪念を取り払う…
お願い、私の中に眠る魔力たち、今こそ私に力を貸して!
一気に魔力を集中させ、放出させる。魔女の魔力と私の魔力が、再びぶつかり合う。
「少しは本気を出してきた様だね。でも、これじゃあ私には勝てないよ。これならどうだい?」
魔女が再び膨大な魔力を放出したのだ!
「うっ!!」
あまりの魔力の衝撃に、地面はひび割れを起こし、岩たちは浮き上がっている。でも、この程度の魔力で、負ける訳にはいかない!
「あら、持ちこたえたのね。中々やるわね。それじゃあ、私もそろそろ本気を出そうかしら?」
ニヤリと笑った魔女。今度こそ本気でぶつかって来る!
「ジャンティーヌ殿、頼む。もう止めてくれ。本当に君が死んでしまう!」
必死にジルド殿下がこちらに向かって叫んでいる。そんなジルド殿下の方を見て、にっこり微笑んだ。
「ジルド殿下、私は負けません。だって、誰よりもあなたを愛しているから…」
もちろんジルド殿下に聞こえる訳がない。それでもどうしても伝えたかったのだ。
再び魔女の方を向き直す。
「魔女、私はあなたには絶対に負けない。なぜなら私は、あなたなんかよりもずっとこの国の人たちを、ジルド殿下を愛しているから!」
“お願い、私の中に眠る魔力たち、今こそ目覚めて!”
その瞬間、今までに感じた事のない魔力が溢れ出す。これが私の持つ、魔力の力なの?
「本当に目障りな女だね!今度こそ、本当に死ね!!」
魔女が一気に魔力を放出した。私も負けじと魔力を一気に放出する。その瞬間、激しい爆撃音が響き渡った。
そして…
「どうして…私が…こんな小娘に…」
丸焦げになった魔女が、ばたりとその場に倒れ込んだ。
その瞬間、雲は晴れ、太陽が顔を出す。
私、勝ったんだわ…
「ジャンティーヌ殿」
「ジャンティーヌ」
私のバリア魔法が解けた様で、向こうからジルド殿下やお兄様たちがこちらに向かって走って来る姿が目に入った。
よかった、これで全てが終わったのね…
そう思った瞬間、私は意識を飛ばしたのだった。
※次回、ジルド視点です。
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