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ヒューゴとマリアのIFストーリー

やれる事は何でもやりたい

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マリアとの夢の様な時間はあっという間だ。夜会から帰るマリアを見送る。

「マリア、今日はありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました。ヒューゴ様」

僕がわざわざマリアを見送ったものだから、レィークス侯爵も夫人もかなり驚いていた。でも、これで侯爵や夫人にも、僕の気持ちを分かってもらえただろう。

マリアを見送ると、王宮へと戻った。今日は最高の一日だった。そんな僕の気持ちに水を差したのが、父上と母上だ。

「ヒューゴ、今日の態度は何なの?あなたは色々な令嬢と交流を持って、正室や側室を持たないといけないのよ。それなのに、レィークス侯爵令嬢とばかり一緒にいるなんて。それに、今の時点で既に1人の令嬢と一緒にいるのは良くないわ。そんな事をしたら、あなたとの結婚を諦めてしまう子も出てきてしまうわよ」

「そうだぞ、ヒューゴ。今は色々な令嬢を見ておくことが大切だ。とにかく、王家を繁栄させるためにも、たくさんの妻を持つ必要があるんだ。それが王太子でもあるお前の義務だ」

そう僕に説教をして来たのだ。何が王家の繫栄だ。何がたくさんの妻を持てだ。結局異母兄上が王位を継いだ時に、一夫多妻制を廃止したくせに!第一、たくさんの子供を持つメリットって一体何なんだよ。両親に対し、言いようのない怒りがこみ上げてきた。

「父上も母上も、勝手な事を言わないで下さい。僕はマリアを心から愛しているのです。マリア以外の令嬢を、妻にするつもりはありませんから」

そう吐き捨てて、すぐに自室に戻った。とはいえ、このまま自分の意見を突っぱね続ける訳にもいかない。そういえば異母兄上は、一夫多妻制こそが悪の根源。側室の子供たちは、冷遇されていたと言っていたな。

とにかく明日から、一夫多妻制について色々と調べてみよう。

翌日
早速マリアの家から、お妃候補になりたいとの連絡が来たとの事。正直本当にマリアが僕を選んでくれるか不安だった。でも、マリアがお妃候補に名乗りを上げてくれた以上、何が何でも僕はマリアと幸せになりたい。

早速一夫多妻制に関する資料を読むため、王宮図書館へと向かう。ここには王族しか入れない場所が存在していて、王族に関する色々な資料がある。

早速一夫多妻制に関する資料を読んでいく。きっとずっと読まれていなかったのだろう。埃をかぶっている。たとえあまり読まれない資料であっても、ある程度手入れくらいはしておけよ!て、今はそんな事どうでもいいな。

何々、昔は一夫多妻制ではなかったらしい。そんな中、1000年前女好きな国王が“私は1人の女性だけを愛するなんて出来ない。たくさんの女性を平等に愛したい”と宣言したため、一夫多妻制が出来たとの事。

何だこれは…
ふざけているのか?こんなバカな国王のせいで、一夫多妻制が始まっただなんて…

さらに読み進めていくと、自分の子供を国王にしたいと考えた側室が、王太子を暗殺しようとした事件が頻発したらしい。そのため、側室とその子供は離宮で暮らし、王妃やその子供たちとの接触を極力禁止したとの事。

また近年では、王族が増えすぎたため、王族にかかる費用が膨大になり、かなり圧迫しているらしい。他にも側室たちが産んだ子供たちの扱いにも困っており、裕福な貴族にこっそりと養子に出すという事態にまで発展しているとの事。

なるほど、既に一夫多妻制は、かなりの弊害が産まれているという事か。一旦図書館から出ると、すぐに執事を呼び出した。

「悪いが、今の王家の財政について至急調べて欲しい。それから、父上の側室たちが産んだ子供たちが、どのような扱いを受けているのか、彼らは今後どういう未来が準備されているのかも、合わせて頼む」

僕の指示に、一瞬目を大きく見開いた執事だったが、すぐに冷静さを取り戻し

「かしこまりました。至急調査いたします」

そう言って去って行った。僕がちょっと調べただけで、一夫多妻制はこれほどまで問題が多い制度だ。きっと一夫多妻制に、不満を抱いている貴族も多くいるだろう。

必ず一夫多妻制は廃止できるはずだ。僕はそう確信した。

そんな僕を呼び出したのは母上だ。

「ヒューゴ、近いうちにお茶会を開こうと思っているの。もちろん、お妃候補に名乗りを上げている子たちを集めてね。レィークス侯爵家のマリア嬢も招待するつもりだから、安心しなさい」

お茶会か…
またあの醜いマウント合戦が行われるのか。正直僕は、マリアにはあんな戦いに参加して欲しくない。そもそも彼女は、本当は心の優しい子なんだ。1度目の生の時は、僕のせいであんなにも醜い戦いをさせてしまった。でも、今度は…

「母上、悪いがお茶会はやめてください。僕はマリアだけを愛しておりますので」

そう伝え、その場を後にした。後ろで母上が叫んでいたが、無視しておくことにした。

でもそれがいけなかったのかもしれない。数日後、事件が起こってしまったのだ。
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