元婚約者に泣きつかれて、仕方なく追い返すことにしましたが

彼はしぶとく帰ってくれません。
「あなたはわたくしに何の恨みがあるのですか?」
「もちろん、君が僕から奪った全てに決まっているだろう」
わたくしは困惑していました。
元婚約者がここまで聞き分けがない人だったとは思いもしなかったのです。
そんなわたくしをあざ笑うように元婚約者は言いました。
「君から全てを奪ったら、次は君の大切な物を奪うとしよう」
(え? 大切なものってどういうことかしら?)
わたくしは、元婚約者の言葉が理解できませんでした。
そして、わたくしは大切な物を奪われることになりました。
家族です。
「お爺様! お婆様! お父様とお母様!」
元婚約者が連れてきたのは、彼女を冷遇した家族でした。
彼らは泣き叫ぶ娘を冷たい視線で見下ろしました。
「見苦しいぞ」
「あなたなんて娘ではないわ」
「お前みたいな孫を持った覚えはない」
(何を言っているの? みんな)
わたくしは呆然とするばかりです。
家族がそんなことを言うなんて、今まで一度も思ったことがなかったからです。
「じゃあな。僕は君と違って忙しいんだ」
元婚約者はそれだけ言うと帰ってしまいました。
わたくしは泣き叫び、暴れました。
ですが、屈強な男が二人がかりでわたくしを押さえつけるのです。
そのまま連れて行かれてしまいました。
(こんなひどいことをされるほど悪いことをしたかしら?)
わたくしはただ、普通の生活がしたかっただけです。
でも、もうどこにもそんなことはできませんでした。
わたくしは泣くことしかできませんでした。

それからわたくしは家族に冷遇されながら過ごしました。
何も言わず、ただ毎日を泣いて過ごしました。
そんな生活が何年も続きました。
もう心はボロボロです。
(誰か助けて)

わたくしは心の底から救いを求めましたが、誰も助けてくれません。
そして、ある日のことわたくしはとある人と出会います。
その人はわたくしに言います。
「よく頑張りましたね」
それはわたくしの幼なじみでした。
彼はずっと、わたくしを支えてくれていたのです。
「どうしてここに?」
「君が追放されたと聞いて、いてもたってもいられなかったんだ」
「でも、私はみんなに嫌われているわ」
「そんなことはないさ。僕はずっと君を愛していたよ」
(ああ!)
わたくしは嬉しくて涙を流しました。
しかし、それでもふ安でした。
そんなわたくしを幼なじみは優しく抱きしめます。
「もう何も心配いらないさ。安心してくれ」
「本当に?」
「ああ、本当だとも。だから、ずっと僕の傍にいてくれるかい?」
「もちろんよ!」
こうしてわたくしは救われました。
(こんな幸せがあるなんて)
わたくしはそれからずっと幸せに暮らしました。
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