上 下
98 / 117

98話

しおりを挟む
 どうやらガシムがここに来た理由は、リアークにあるようだ。

 エルフの森に向かうことは決まったけど、レーリアが話す。

「エルフの森には侵入者を弾く結界があり、族長が許可をした人しか入れないことになっています」

 どうやら私とウォルに説明しているようで、それなら、どうやって攻めてきたのか解らない。

 私達が住んでいるリドラの街のように、リアークは魔道具を使ったのだろうか?

 そう考えていると、ガシムが私達を眺めてから。

「リアークの奴は結界の外に出たエルフを洗脳し、悪事を働かせている。破壊衝動のままに動けという単純な命令で、それは魔道具によるものだ」

 そこまで説明を聞いて……リアークが行っている理由は何一つ説明されていないけど、レーリアが納得しているから何か確証あるのでしょう。

 顔に出ていたのか、レーリアが私とウォルを眺めて。

「エルフの森……私の故郷には族長と呼ばれる方が居まして、様々な力を持っております」

「そして、族長はレーリアを戻さなければ森が亡ぶとお告げをなさった……そこまでの理由がなければ、一度出禁となったお前は森に戻れない」

 どうやらレーリアは、故郷に帰ることができるらしい。

 そうなると――私と一緒に行動する理由がなくならないかしら?

 レーリアが故郷に帰れるなら喜ぶべきなのに、それが不安になってしまうと。
 
「私はリアークと同じ、エルフの住まう森に入ることはできず、解除することは一生できないことになっていたはずですが……解除することができるのですか?」

 どうやらレーリアとしては、その部分がかなり気になっているようね。

 一生出禁は解除されないと聞いていたのに、普通に解除されようとしているから質問したのでしょう。

 族長と呼ばれている人なのかと考えていると、ガシムがなぜか私を眺めて。

「1つだけ方法がある……このままだとレーリアは魔界に入れないから、レーリアと契約しているアカネは、僕と契約しなければならない」

「……えっ?」

 私が、ガシムと契約する?

 いきなりそんなことを言われて、私は驚くしかなかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私が消えたその後で(完結)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21,371pt お気に入り:2,392

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:302

竜殺しの料理人~最強のおっさんは、少女と共にスローライフを送る~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:1,971

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,248pt お気に入り:91

野草から始まる異世界スローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:184pt お気に入り:915

処理中です...