757 / 2,361
新世代
翔編 下準備
しおりを挟む
まあそれはそれとして、とにかく今は新しい集落で水を確保するための井戸掘りだ。
雨は降るので雨水を溜めておく方法ももちろん併用するものの、常に確実に水を得られる方法は必要だ。
密林の中なら水を貯える性質のある蔓植物(森殺し)が非常に頼りになるにせよ、ここにそれはないしな。
今回は地面に振動を与える機械を用意した。コーネリアス号から持ち帰った、電動マッサージ器を巨大化させたような機械だ。
それを地面に下ろし、少し離れたところにエレクシアが横たわって、耳を地面に押し当てた。
「スイッチお願いします」
エレクシアの指示に従って、振動器のスイッチを入れる。
ブーンという音と共に地面が細かく振動してるのが俺にも分かった。
数十秒、エレクシアは地面に耳を押し当て音を聞き、
「はい、結構です」
という彼女の言葉で俺はスイッチを切った。
エレクシアがスッと立ち上がり、俺のところに戻ってくる。そして機械のディスプレイを覗き込みつつ、
「地下の様子はおおむね把握できました。この直下三十メートル付近に地下水脈があります。水量は潤沢と言って差し支えないでしょう」
地面を指差しながら彼女はそう言った。振動で地下の様子を確認していたんだ。
まったく大したもんだよ。
普通はそういう使い方は当然しない。別にメイトギアにやらせなくても専用の機械はあるし、精度もそちらの方が上だ。今回持ってきた機械がまさにそれだった。
しかしその機械を使った上で、彼女自身も自らのセンサーで直接確かめたということだな。
これは、今後、もしその機械が使えなくなった時に、彼女がその代わりをすることも想定して、今のうちにその機械が探知したものと自身のそれとのすり合わせを行ったというわけだ。
いやはや、抜け目ない。
彼女自身、ここでの自分の役割というものを理解して、常に最適化を図ってるんだな。
で、地下の様子を把握した次はいよいよ井戸掘りにかかる。
こちらは、エレクシアに掘ってもらうまでもなく、コーネリアス号に装備されてた掘削マシンをやっぱり持ってきてもらってた。
フレキシブルに動く、直径十センチのチューブ状のドリルを内蔵した機械だった。ホースを巻くようにして収容されたドリルを伸ばしながら地面を掘削していくものだ。ドリルで砕いた地面をチューブで吸い上げ排出する。
今回のこれは井戸掘りの本番じゃない。それに向けた下準備に過ぎない。試掘して実際に水が出るかを確かめる段階だな。
でも、それも結構時間がかかるので、掘削マシンに後は任せて、今日のところは俺達は帰る。
掘削マシンについては、途中に配した母艦ドローンを中継して状態をモニター、必要に応じて遠隔操作もできるようにし、集落候補地を後にしたのだった。
雨は降るので雨水を溜めておく方法ももちろん併用するものの、常に確実に水を得られる方法は必要だ。
密林の中なら水を貯える性質のある蔓植物(森殺し)が非常に頼りになるにせよ、ここにそれはないしな。
今回は地面に振動を与える機械を用意した。コーネリアス号から持ち帰った、電動マッサージ器を巨大化させたような機械だ。
それを地面に下ろし、少し離れたところにエレクシアが横たわって、耳を地面に押し当てた。
「スイッチお願いします」
エレクシアの指示に従って、振動器のスイッチを入れる。
ブーンという音と共に地面が細かく振動してるのが俺にも分かった。
数十秒、エレクシアは地面に耳を押し当て音を聞き、
「はい、結構です」
という彼女の言葉で俺はスイッチを切った。
エレクシアがスッと立ち上がり、俺のところに戻ってくる。そして機械のディスプレイを覗き込みつつ、
「地下の様子はおおむね把握できました。この直下三十メートル付近に地下水脈があります。水量は潤沢と言って差し支えないでしょう」
地面を指差しながら彼女はそう言った。振動で地下の様子を確認していたんだ。
まったく大したもんだよ。
普通はそういう使い方は当然しない。別にメイトギアにやらせなくても専用の機械はあるし、精度もそちらの方が上だ。今回持ってきた機械がまさにそれだった。
しかしその機械を使った上で、彼女自身も自らのセンサーで直接確かめたということだな。
これは、今後、もしその機械が使えなくなった時に、彼女がその代わりをすることも想定して、今のうちにその機械が探知したものと自身のそれとのすり合わせを行ったというわけだ。
いやはや、抜け目ない。
彼女自身、ここでの自分の役割というものを理解して、常に最適化を図ってるんだな。
で、地下の様子を把握した次はいよいよ井戸掘りにかかる。
こちらは、エレクシアに掘ってもらうまでもなく、コーネリアス号に装備されてた掘削マシンをやっぱり持ってきてもらってた。
フレキシブルに動く、直径十センチのチューブ状のドリルを内蔵した機械だった。ホースを巻くようにして収容されたドリルを伸ばしながら地面を掘削していくものだ。ドリルで砕いた地面をチューブで吸い上げ排出する。
今回のこれは井戸掘りの本番じゃない。それに向けた下準備に過ぎない。試掘して実際に水が出るかを確かめる段階だな。
でも、それも結構時間がかかるので、掘削マシンに後は任せて、今日のところは俺達は帰る。
掘削マシンについては、途中に配した母艦ドローンを中継して状態をモニター、必要に応じて遠隔操作もできるようにし、集落候補地を後にしたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる