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私にもカリンさんのお仕事手伝わせてください!
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『彼との結婚も、通過点に過ぎない』
だから当然、結婚したからって何かがすごく変わる訳じゃない。私は私のままで、今日も彼をこき使う。
「先週、説明に行った農民から、再度詳しく説明してほしいという要望が入ってます」
詰所で今日の仕事の準備をしてる時、ブルイファリドがそんな風に言ってきた。
「そうなんだ? じゃあ、ルイスベントを連れてそっちに行ってもらえる?」
私が指示すると、
「はい、分かりました」
と彼が返事をした時にはもう、ベントは準備を始めてた。私はティンクフルムを連れていくことにする。
先に出たベントとブルイファリドの後を追うように詰所から出ると、
「カリンさん!」
って声を掛けられて視線を向けたら、そこにいたのは、
「ティンクラウラ…?」
だった。
待ち構えるみたいにして待ってたらしい。しかもなんだか、私に向けられた視線が熱っぽい。
「私にもカリンさんのお仕事手伝わせてください!」
だって。
「え…? うん。それは別にいいけど、なんで?」
思わずそんな風に訊き返したら、彼女は、
「家の仕事もほとんど終わったから、お父さんとお母さんにカリンさんの仕事のお手伝いしたいって言ったら許してもらえたから来ました!」
と、すごく嬉しそうに。さらに続けて、
「私もカリンさんみたいな仕事がしたいんです! 自分で畑を耕すのもいいけど、みんなの力になれる仕事がしたい!」
なんて、両手を握り締めて熱く語ってくる。
実は、以前からちょっとそんなことは言ってたんだ。だけど、役人を目指す為にティンクフルムが家を出て、その上、ティンクラウラまでが家を出るとなると、畑仕事の為の人手が足りなくなる。
地球でならまだまだ義務教育中のハズの彼女も、ここでは立派に労働力の一つだ。
<児童労働>については私も正直、思うところはありつつも、教育制度がそもそもまだまだ充実してないここでは、勉強させるにもものすごくお金がかかるし、普通の農家の娘が学校に通うというのがそもそも現実的じゃない。
女の子が学校に通うのだって、はっきり言って偏見がある。眉を顰められたりってことだってあるんだ。ギリギリ、アルカセリス達のような形で仕事をするのがようやく認められつつある感じかな。
それでも、アルカセリス達の家がそもそも役人の家系だったりっていう背景があればこそだけどね。
そんな訳で、今はまだ積極的に手伝ってもらえる状態じゃなかった。
だけど農閑期で、次の作付けに向けた準備とか冬の間の保存食作りとか諸々の仕事が一段落して手が空いたということなら、
「お父さんとお母さんがいいって言ってるんなら、いいかな。じゃあ、ついてきて」
と応えさせてもらったのだった。
だから当然、結婚したからって何かがすごく変わる訳じゃない。私は私のままで、今日も彼をこき使う。
「先週、説明に行った農民から、再度詳しく説明してほしいという要望が入ってます」
詰所で今日の仕事の準備をしてる時、ブルイファリドがそんな風に言ってきた。
「そうなんだ? じゃあ、ルイスベントを連れてそっちに行ってもらえる?」
私が指示すると、
「はい、分かりました」
と彼が返事をした時にはもう、ベントは準備を始めてた。私はティンクフルムを連れていくことにする。
先に出たベントとブルイファリドの後を追うように詰所から出ると、
「カリンさん!」
って声を掛けられて視線を向けたら、そこにいたのは、
「ティンクラウラ…?」
だった。
待ち構えるみたいにして待ってたらしい。しかもなんだか、私に向けられた視線が熱っぽい。
「私にもカリンさんのお仕事手伝わせてください!」
だって。
「え…? うん。それは別にいいけど、なんで?」
思わずそんな風に訊き返したら、彼女は、
「家の仕事もほとんど終わったから、お父さんとお母さんにカリンさんの仕事のお手伝いしたいって言ったら許してもらえたから来ました!」
と、すごく嬉しそうに。さらに続けて、
「私もカリンさんみたいな仕事がしたいんです! 自分で畑を耕すのもいいけど、みんなの力になれる仕事がしたい!」
なんて、両手を握り締めて熱く語ってくる。
実は、以前からちょっとそんなことは言ってたんだ。だけど、役人を目指す為にティンクフルムが家を出て、その上、ティンクラウラまでが家を出るとなると、畑仕事の為の人手が足りなくなる。
地球でならまだまだ義務教育中のハズの彼女も、ここでは立派に労働力の一つだ。
<児童労働>については私も正直、思うところはありつつも、教育制度がそもそもまだまだ充実してないここでは、勉強させるにもものすごくお金がかかるし、普通の農家の娘が学校に通うというのがそもそも現実的じゃない。
女の子が学校に通うのだって、はっきり言って偏見がある。眉を顰められたりってことだってあるんだ。ギリギリ、アルカセリス達のような形で仕事をするのがようやく認められつつある感じかな。
それでも、アルカセリス達の家がそもそも役人の家系だったりっていう背景があればこそだけどね。
そんな訳で、今はまだ積極的に手伝ってもらえる状態じゃなかった。
だけど農閑期で、次の作付けに向けた準備とか冬の間の保存食作りとか諸々の仕事が一段落して手が空いたということなら、
「お父さんとお母さんがいいって言ってるんなら、いいかな。じゃあ、ついてきて」
と応えさせてもらったのだった。
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