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第一部

一日の終わり

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「ねぇ、ミシェル。ギルドでスカートから銃を出してたけど、あれはなに?」

「お嬢様。何をお怒りになられているかはわかりませんが、あれはメイドの必須スキルです。懸念されるようなことは何も」

「そのようなスキル知りません。第一、あれを他のメイドがやっていると思っているのですか?」

「そうですね。お屋敷では私だけでしたが」

「当たり前です! はしたないのでおやめなさい」

「そんな!? お嬢様は私の夢を否定なさるのですか!」

「そんな夢は断固として否定します。もっと他にやりようはあるでしょう。以後やらないように。いいですね?」

「………………善処します」

 そのようにむくれたってダメなものはダメなのです。
 淑女が人前でスカートに手を入れるなど、あってはならないのです。

「疲れたしお風呂に入りたいわ。用意してくれる?」

「もちろんです。私もご一緒しますね~」

『なら、あたしも一緒に入るわ~』

 それならカイも一緒に入りましょう。って、カイ? どこに行ったのかしら。
 ミシェルが準備をしてくれている間に私はカイを探します。
 いました。聖樹の下で寝ていたようですね。

「カイ。これからみんなでお風呂に入るのですが、一緒に入りませんか?」

『……ぼ、僕はいい』

「あ、カイ」

 どこかに逃げてしまいました。
 神獣といえど、やはりネコ科の動物のようですね。お風呂は苦手なのだそうです。
 次は逃がさないことを心に決め、家に戻ります。

 ここのお風呂は特別製で、ミシェルが土の大精霊と契約したことで温泉を掘り当てることができるようになりました。
 なので天然の温泉を直接お風呂まで引っ張ってきているのです。
 いつでも温泉に入ることができるなんて最高ですね。

「お嬢様、準備が整いました」

「わかったわ。ティア、行きましょう」

『はーい』

 それから二時間かけてお風呂で疲れを癒します。
 私はいつものようにミシェルに髪や体を洗っていただきます。
 お屋敷にいたころからミシェルの仕事となっていました。もうしなくてもいいと言っているのですが、頑なに洗おうとするので、最近は好きにさせています。

 しかし、お風呂に入るとやはり気になってしまうのですが、身体的な一部の特徴ですね。
 ティアとミシェルのスタイルはとてもきれいです。
 まあティアは精霊王です。神に近い存在ということで納得できますが。
 問題はミシェルですね。あれはおかしいです。意味が分かりません。
 私が拾ってから同じ食事をとっているのに、この差は何ですか。
 歳の差? しかしそんなに離れていませんよね。
 だとしたら何が。いえ、これからです。私の成長はこれからなのです。

「お嬢様」

「ミシェル、近いわ。それにそんなに真剣な顔をしてどうしたの?」

「お嬢様が気にされていることは分かっています。だからこそ私は一つだけ言いたいことがあるのです」

「な、何かしら」

 なんだかいつにない迫力を感じます。
 ギルドの時のような怖い感じはしませんが、一体何を。

「たとえお嬢様のおっ〇いが大きくても小さくても、お嬢様の体というだけで尊いのです。だから気にすることはありません。どんなお嬢様でも! 私は! 愛してみせます! むしろ愛させてください!!」

「………………」

『相変わらずミシェルって面白いわねぇ~』

「……ミシェル」

「……お、お嬢様。怒っていらっしゃるのでしょうか? 励ましたのですがどうして。あ、でも、お嬢様にそんな目で見られたらなんだかゾクゾクするというか……ああん、どうしましょう。新しい扉が開きそうで―――」

「ミシェル。そこに正座」

「……ハイ」

 それからミシェルへのお説教は、カイがお腹を空かせて戻ってくるまで続きました。
 ミシェルとは一度しっかりとお話をするべきだということを理解しました。




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