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豪華な廊下

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「カイル様、どうしたのですかこの傷は!?」
医師が包帯をほどいた手を見て驚きカイル王子に声を上げていた
「…棘がある花だと知らずに握り潰してしまった」
「握り潰して?…とは、何故そのような事を…」
医師は苦痛のような顔でカイル王子の手を治療していた。
「マリユス殿!」
「は、はい!?」
「貴方がついていながら何故この様な怪我をしなくてはいけないのですか?」
「そ…それは…」
医師に言われ戸惑うマリユスさんを初めて見た時カイル王子の隣に座るクレア嬢が声を出していた。
「医師様、マリユス様を責めないで下さい!わたくしの我が儘で起きました事なのです」
「クレア様…」
「貴女は…アリーヌ様では無いようですが…」
「わたくしは、カイル王子の婚約者候補の一人クレア・ローランと申します」
「!カイル様の婚約者候補!?」
医師は驚き治療の手を止め、ソファーの上を一緒に座るカイル王子とクレア嬢を見上げていた。
「おい、手が止まっているぞ…」
「あっ、申し訳御座いません…アリーヌ様の他に婚約者候補の方がいますとは思いませんでした…」
「候補者は全部で三人いる」
「三人!?では、もう一人のご令嬢は…」
「オレリア様ですわ」
「!」
ニコッと笑顔を医師に向けたクレア嬢に医師は頬を染めていた。
「…コホン、失礼致しました。私は医師のマービンと申しますカイル様の婚約者の方にお会い出来まして光栄で御座います」
「ふふっ、候補ですわ」
「あっ、これは失礼致しました」
「マービン医師もクレア様がカイル様の婚約者だと思われましたようですね」
「ご一緒におります姿を見ましたら誰でもカイル様の婚約者だと思うでしょう」
「まぁ、光栄ですわ」
三人の笑い声と会話が弾む姿とため息を吐くカイル王子の姿を離れで見ていた僕は扉の取っ手を掴み静かに部屋を出た。
(医師がいれば大丈夫だよね…)
僕はカイル王子に挨拶をしないまま部屋を出てしまったけれど僕がいると邪魔だと思った。
城内の豪華な廊下を歩きまだ騎士達が闘技場から戻っていないと思い、僕は闘技場へこのまま行く勇気が無かった…
「…カイル王子には闘技場へ行きますと言っていたのに、いざ行くと思うと足が前に進まない…兄達が闘技場に居ると分かっているから…」
僕は歩く足の重みを感じ、闘技場へこのまま向かうかそれとも寮へ戻るか悩んでいた。
「……あれ?出口は何処だろう?…カイル王子と一緒に通った廊下だと思ったけど…」
僕は廊下を戻る事にして少し歩き足を止めた
「……迷子…?」





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