隣の国の脱走皇子と食堂の息子

帝国でみつけた幸せ②

「ジョルジュ兄さん、この方は…グレイ皇子の側近の方ですよね！？」
「ああ、良く分かったね」
「それは、三人の皇子の中で目立ちます皇子様ですから分かりますよ」
「はは、そうだねグレイ皇子は存在感が凄いから黙って立っていても声をかけて来るからね…一年前が嘘みたいな人だよ」
「……」
「ジョルジュ兄さんから聞いた一年前のグレイ皇子の話しが信じられないですよ。誘拐盗賊を皆殺ししたとか、元冒険者だったとか…今のグレイ皇子を見ると本当かな？と疑ってしまったです」
「ハハハ、サンは城内に入ったばかりだったから知らないのは無理もないよ。でも、グレイ皇子の話しは他の人には言ってはダメだからね」
「分かってます。グレイ皇子の結婚に響きますからね」
「結婚！？」

俺はジョルジュさん達の話しにグレイ皇子の結婚に驚き声を上げた。

「……今、グレイ皇子の結婚と聞いたけど…」
「レン君…もしかして知らなかったとか？」
「……はい、初めて聞きました…皇子から何も聞かされていませんでしたから……」
（…今朝…俺に『国へ帰りたいのか』と聞いたのは俺に国へ帰る意思がまだあるのか確認する為だったのか？は…そうだよな夜をともにしていたのがバレたら……）
「……あの…ジョルジュさん今日の来客というのは……」
「ああ、グレイ皇子の結婚相手に成るかも知れないと話しが出ている姫君だと聞いている…」
「……そうですか…有り難う御座いますジョルジュさん」
「レン君…グレイ皇子も訳があってレン君に話せなかったと思う」
「……」

俺はジョルジュさんに頭を下げると行くあても無い道を歩いていた。

暫く歩くと綺麗な花が咲き並ぶ道に入り、何度か来た事がある庭園の場所へと俺は歩いていた。

「……いつの間に…皇子に誘われて何度かお茶を一緒にしていた……」

俺は綺麗な花を見渡し離れに人の姿に気が付いた。

「おーい、終わったか？ヘンリー」
「もうすぐ終わります！」

俺は花の手入れをするヘンリーさんに会った。