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帝国でみつけた幸せ

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「……国へ帰らないって…何故ですか?」
「……」

側にある材木が重なっている場所に座るジョルジュさんは、周りの木々を眺め話してくれた。

「……この一年、私にも大切な人が出来たんだ」
「えっ、大切な人…ですか!?」
「ああ…まだ見習いの料理人だけどね、彼を見ていると初めて料理を作る私に似ているんだ」
「……」
「包丁さばきが下手で、側に付いていても危ない所が私に似ていて目が離せなくてね…毎日のように私に教えて欲しいと頑張る姿を見て、この青年が料理人として一人前になる姿を見届けたいと思ってしまったんだ。」
「……」
「私と五つ違わないけどね、弟が出来たみたいで…あ!弟と言うと怒るから言わないようにしているけどね…私の両親にもルシード帝国に残る事を手紙に書いて出したよ」
「……ジョルジュさんの両親は寂しく無いのですか?…ジョルジュさんに会えなくて……」
「一生会えない訳ではないよ、彼を連れて私の故郷を知って貰いたいし、両親にも会って貰いたいと思っているんだ。今はまだその時期では無いと思っているんだ」
「……そうですか…」

笑顔を見せるジョルジュさんは、俺達の国ユーロス国に帰えらない事を俺に話してくれた。

「あ!此処に居ました。ジョルジュ兄さん」

小走りで俺とジョルジュさんの側に来た青年が、ジョルジュさんの事を『兄さん』と呼ぶのを見て俺は「え?兄さん?!」と声に出してしまった。

「ハハハ、さっき話していた料理人だよ」
「あ……」
「え!?僕の事を話していたのですか?ジョルジュ兄さん」
「ああっ、危なっかしい料理人だと言っておいたよ」
「えーっ!?それ酷くないですか~?せっかく賄い持って来たのに、ジョルジュ兄さんの分も食べます」
「ごめん、ごめん。私の分は食べないでくれ」
「ウソですよ。はい、ジョルジュ兄さん」
「ありがとう」

二人の和む姿を見て本当にジョルジュさんは此処に残るのだと思った。




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