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第1章 肋骨
第2話 痛む肋骨と可愛い女子
しおりを挟む肋骨らへんが痛い気がする。
「ハッ!筋肉痛がひどくなってしまったのか!?」
確か肋骨らへんの筋肉をほぐすには…
深呼吸!!8秒7秒!歩きながら!
「すぅーずぞぞぞぞ」
8秒ほど空気を吸う
「はくーぶばばばばば」
7秒ほどはきながら歩く。
周りからあの子大丈夫かしら的な視線が刺さるきもするが今は痛みを抑えることに必死である。
少し和らいだとき、
「華真くんおはよう!何変なことしてるの?」
とクラスメイトの西条乃々愛が話しかけてきた。
西条乃々愛とはクラスで1番可愛い女子である。
サラサラで腰まである黒髪に、大きな目、口は桜色でいつもふふっと言うような可愛らしい笑い方で皆を和ませている。
クラスの天使だ。俺は正直乃々愛ちゃんが好きだ。
そんな相手に話しかけられて、痛みなどどこかへ飛んでいった。
『ズキズキズキ』
「いっててててて!?」
「どうしたの?大丈夫?」
「実は最近、肋骨が痛くて…」
「え?大丈夫?」
急に今までにないくらい痛みだした。
まるで『私がいるのにどこ見てんのよ』と言わんばかりに
「も~何なんだよっ!」
ドン!
「きゃっ!びっくりした」
あまりの痛さに殴ってしまった。
もちろん自分の体なのでダブルで痛いが、乃々愛ちゃんを怖がらせてしまったのせいで心も痛い。
「うっ、いってぇ!折れるってか折れた!」
「だ、大丈夫!?あまり無理しないで」
と、上目遣いで心配そうに聞いてくる。
さわるとしっかりくっついていた。
「くっついてるから大丈夫だよ」
彼女を、あんしんさせようと笑う。
ないしん痛すぎて泣きたいぐらいだ。
「そっか、でも自分の体粗末にしちゃめっ!だよ。
…だって私に尽くせなくなるじゃない」
最後の方小さくて聞こえなかったが、表情がとにかく可愛すぎるのでたいしたことじゃないかと思ってしまった。
乃々愛ちゃんに心配してもらえるなんて肋骨が痛いことさえ神からの贈り物に思えた。
肋骨はさらにズキズキズキズキと痛んだし、痛さでそろそろ若干涙がでてきたけど目の前の天使が拝めるなら悪いことばかりでもない。
「じゃ教室いこ」
と、乃々愛ちゃんに手を引かれて教室に入る。
俺は知らなかった。
世の中には虫の知らせなるものがあると、そしてこの肋骨の痛みは肋骨からのこの女はやばいぞのSOSであるということを。
そしてここから肋骨痛と俺の一ヶ月がはじまる。
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