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第二章
大切な想い出(4)
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食堂につくと、テーブルの中央には、大皿に盛られたサンドイッチと、たくさんのカットフルーツがあった。
「さぁさ、お座りください。お茶をお淹れいたします」
さっそくふたりでサンドイッチを頬張る。ケルビムが注いでくれたお茶からは、ハーブのよい香りが辺りに漂った。
お腹も膨れ、心地がおちつく。フルーツをつまむアケルをみながら、思わず私はつぶやいた。
「あぁ……。ずっとここで暮らしたいなぁ」
「わたしも! おねえちゃんとずっと一緒にいたい!」
それを聞いてケルビムが笑いながら言った。
「ホッホッ……。ずっとここで、ですか? でも人は前に進んでいかなくてはなりませんしねぇ」
「でもなぁ……。私、だんだんここが好きになってるんだよね」
夢中でフルーツにかぶりついているアケルの、ベトベトの口周りをふきながら、ケルビムに言った。
「ところで次の西館に行くためのキーワードってなにかしらね?」
「実はわたくしも昨日から考えているのですが、この北館は記憶の図書館……。だとするとやはり記憶に関係するなにかではないでしょうか?」
私とケルビムが話し合っている隣ではアケルがフルーツを食べ切り、サラダボウルに顔を突っ込み舐めていた。
「ほらほらアケル! そんな猫みたいなことしないの」
そう言った瞬間、ふと楓とのことを思い出して急に寂しい気持ちになった。
ケルビムがアケルのフルーツの汁でベトベトになった顔をタオルで拭いている。
私は席を立ち上がり、階段踊り場に向かって歩き出す。
「おや? どちらへ?」
「少しひとりで横になりたいわ」
そう言うとアケルが「わたしも行く!」と言い出した。
ケルビムは私の気持ちを察してくれたのだろう。
「アケル様! わたくしとかくれんぼをいたしませんか? もし、わたくしを見つけることができましたら、ご褒美にちくわを進呈いたします」
アケルは嬉しそうに、
「やる! 十数えるからケルビム早く隠れて!」
と答えた。
ありがとう、ケルビム。
「さぁさ、お座りください。お茶をお淹れいたします」
さっそくふたりでサンドイッチを頬張る。ケルビムが注いでくれたお茶からは、ハーブのよい香りが辺りに漂った。
お腹も膨れ、心地がおちつく。フルーツをつまむアケルをみながら、思わず私はつぶやいた。
「あぁ……。ずっとここで暮らしたいなぁ」
「わたしも! おねえちゃんとずっと一緒にいたい!」
それを聞いてケルビムが笑いながら言った。
「ホッホッ……。ずっとここで、ですか? でも人は前に進んでいかなくてはなりませんしねぇ」
「でもなぁ……。私、だんだんここが好きになってるんだよね」
夢中でフルーツにかぶりついているアケルの、ベトベトの口周りをふきながら、ケルビムに言った。
「ところで次の西館に行くためのキーワードってなにかしらね?」
「実はわたくしも昨日から考えているのですが、この北館は記憶の図書館……。だとするとやはり記憶に関係するなにかではないでしょうか?」
私とケルビムが話し合っている隣ではアケルがフルーツを食べ切り、サラダボウルに顔を突っ込み舐めていた。
「ほらほらアケル! そんな猫みたいなことしないの」
そう言った瞬間、ふと楓とのことを思い出して急に寂しい気持ちになった。
ケルビムがアケルのフルーツの汁でベトベトになった顔をタオルで拭いている。
私は席を立ち上がり、階段踊り場に向かって歩き出す。
「おや? どちらへ?」
「少しひとりで横になりたいわ」
そう言うとアケルが「わたしも行く!」と言い出した。
ケルビムは私の気持ちを察してくれたのだろう。
「アケル様! わたくしとかくれんぼをいたしませんか? もし、わたくしを見つけることができましたら、ご褒美にちくわを進呈いたします」
アケルは嬉しそうに、
「やる! 十数えるからケルビム早く隠れて!」
と答えた。
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