この恋で、夜を越えて

若手実業家として名を馳せ、美女に囲まれ
享楽的に生きてきた男――榊宏雅。

初めて本気で愛した先妻を失って以来、
宏雅は夜を越えられなくなった。

妻にと望まなければ。
結婚で縛らなければ。
重ねて、幸せな過去に引き戻すような悪夢に、
夜ごと胸を引き裂かれていた。

深い喪失を抱えた男が、孤独な夜を
越えるために見出した方法は――
誰かの肌の温もりに縋ること。

そんな荒れた宏雅の前に現れたのは、
かつて関係を持ち、いつしか愛し、
手放さざるを得なかった女……葵。

料亭での偶然の再会。
また惹かれ合い、交際を始める二人。
けれど、二人の距離はなぜか埋まらない。

葵が、朝まで過ごしてくれない理由も、
彼女が距離を取る本当の意味も、
分からないまま。

誰にも見せられなかった心。
言えなかった弱さ。
すれ違う想い。

それでもこの恋が、
夜を越えさせてくれると信じて――。

これは、不完全な男と、彼を想う女性が紡ぐ、
甘くて切ない大人の恋物語。
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