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三十 ♡
しおりを挟む西園寺家で騒ぎがあったその夜、大掃除も済まし、沙弥は先に風呂を使わせて貰った。
「ふぅ…………さっぱり……」
やはり、風呂は良いもので、十四年間手拭いだけで身体の汚れを落としていたのとは訳が違った。
肌や髪の質も良くなり、貴族の娘らしく、少しずつだが、所作も上手くなっている。
髪の水気を拭き取りながら、寝室へと向かう沙弥と、大掃除を終えた直之が風呂へと向かう為すれ違う。
「沙弥」
「直之様………」
「今夜、結ばれたいんだが、いいか?」
「結ばれ………?」
「結婚初夜だろ、今夜は………沙弥を抱きたい」
「っ!」
「最後迄出来るか如何かは沙弥の反応次第だ………無理強いはしないが試させてくれ」
「は、はい………」
直之に言われ、沙弥はもう少し入念に身体を洗っておけば良かった、と後悔するが、直之は風呂へ入ってしまい、沙弥が行けば、一緒に入ってしまう事になる。
---き、生娘じゃないんだもの………我慢しなくちゃ………直之様なんだから………夫からの申し出を拒否なんて………
途端に緊張し始めた沙弥だが、試しを匂わせてくれた直之の為に、何とか応えたかった。
「寝台で待つもの?………長椅子?………正しい待ち方が分からないわ……」
何分経ったのか分からなかったが、沙弥は考え込んでしまった。
「何してるんだ?」
「っひゃっ!」
沙弥の背後で、耳元に息が掛かり、驚いて変な悲鳴を挙げてしまった。
その声は直之だったが、寝室に来たのも気付かない沙弥の集中力は其処で途切れる。
「何で、こんな所で突っ立ってる」
「ど、何処で待っているのが正しいのか分からなかったので………」
「何処でもいいさ………其処の椅子でも、長椅子でも…………寝台でも………な……」
「っ!」
直之が沙弥の項を指でなぞる。昨夜吸われたうっ血痕を突付いて、擦り、今からする事を予感させた。
「結果的に寝台に行く………何処で待とうが、正解だし、正解じゃない!」
「っきゃっ!」
まさか抱き上げられるとは思わなかった沙弥はまたも、変な悲鳴を挙げた。
「暴れるなよ、落としたら抱けないからな」
「っ………は、はい……」
「……………っ!」
落ちたくなくて、直之にしがみつく素直な沙弥は、直之の胸や肩に自分の胸を押し付けているのも気にしない。
大きな寝台の中央に下ろされ、直之も寝台に上がると、何故か沙弥の背後に回った。
「沙弥、男が怖くないか?」
「直之様は直之様です………房事の相手が藤原様だと怖いですけど………」
「そうか…………沙弥………」
「っ!」
背後から抱き締められ、耳元で優しい声が沙弥を包む。そんな直之の声は、沙弥は恐らく初めて聞く甘い声だ。耳朶を舐め上げられ、軽く噛まれては舐められる沙弥は、擽ったいのか肩を竦ませてビクビクしていた。
「沙弥………」
「っ………は、はい………んっ!」
顎を持ち上げられると、顔が近くになっていた直之の唇の感触が頬や額、そして沙弥の唇に触れる。すっぽり身体は直之の中に収まる様に、腕毎抱き締められて、沙弥は直之の腕に手を触れた。退かそうという力ではない。縋りたいと思わせてくれるその腕に、しがみつきたかった。
「口………開けて………」
「っ!」
「そう…………俺の真似して………」
「んっ!」
口付けは初めてだった。舌が吸われ、息もしにくく、直之に翻弄されて、苦しいのに気持ち良くて、沙弥は直之の腕に縋り付いている手に力が入ってしまった。
「…………嫌?」
「…………ち、違………嫌じゃなくて……気持ち良くて………つい………」
直之の腕を引っ掻いてしまったので、嫌がっていると勘違いさせてしまった様だ。
「続けていいか?」
「は、はい…………」
何度も、口付けを落とされ、次第に沙弥は力が抜けて行くと、直之も沙弥が着る浴衣の帯紐を解いていた。
まだ触られてはいないが、沙弥が何処まで直之を許すのかを見ている様だった。
「っん…………っは……ぁ……直之……様………」
浴衣の上から、沙弥の胸の蕾の場所を探られて、先程抱き締められた腕で大方、予想は付いていたかの様に、指で弾かれて遊ばれる。
「可愛い声、もっと聞かせて………いい?」
「は…………いっ………」
「蕩けるのはまだ早いんじゃないか?絶頂は程遠いんだぞ?」
口が繋がる銀糸が途切れ、また唇が重なりながら胸の蕾を可愛がられていくと、沙弥は足を擦り合わせていた。
「……………」
沙弥が目を閉じて直之を受け入れている口付けだが、直之は目を開けて、沙弥の疼きを見逃さない様にしている。
浴衣の中に手を擦り込ませ、直に触ろうとする直之に沙弥は口端から、喘ぎ声を漏らした。
「んはぁ、ぁっ………」
「……………やらしくて、可愛い声だ………胸を直に触られて気持ち良くなったみたいだな………では此方は?」
「っ!」
沙弥は浴衣が透けない様に、長襦袢を腰下に巻いていて、長襦袢の紐を直之に解かれた。
「可愛い場所見ていいか?」
「っ!」
幾ら生娘でなくなっても、何度か男に見られて受け入れてしまった場所は、散々義妹の麗華に卑猥だの、やらしいだの、言われてきた。直之に何て言われるか分からない。同じ様に蔑まされるのではないか、と沙弥は顔を手で覆い、泣く準備をし、涙を堪えようとしていた。
「こら、何故顔を隠すんだ?」
「……………幻滅、しないで下さい!私の其処は、卑猥でやらしいと………言われてきたのです!」
「……………そうか……では確かめよう………」
「きゃっ!」
背後から、沙弥は直之の足で、足を広げられた。
「閉じられては確認出来ない…………先ずは陰核…………」
「っぁぁぁっ、あっ……あ……」
「あぁ…………可愛い………可愛いじゃないか、沙弥…………卑猥ややらしいは、男は悦ぶものだ…………好きな女を自分の手で卑猥でやらしくなっていく姿は、大歓迎だ…………だだし、沙弥は俺だけにそれを見せればいい………」
「…………ほ………当………に?」
「あぁ、本当だ…………幾ら前に言われた言葉だとて、信じなくていい…………沙弥は俺だけに反応する為に今、俺の腕の中で可愛くなっていく」
「っぁぁ、ぁぁっん、あ………あぁぁぁっ……」
秘蕾をずっと扱かれながら、耳元で囁かれ、気が付けば沙弥の秘蕾と直之の指が触れていた間に、粘膜が付着し、滑り良くされた事で気持ち良さが倍増していた。
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