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看病3。
しおりを挟む千秋「?・・・彼女はいないけど?」
かざね「・・・え!?」
千秋「・・・そんなこと気にしてたのか。大丈夫だからさっさと寝ろ。」
かざね「え・・・・ひゃぅっ!?」
ひょいと私を抱え上げたちーちゃん。
千秋「ほら、また体重が減ったぞ?」
かざね「うぁ・・・・。」
千秋「・・・まだ体がふわふわしてるだろ。俺が抱えたから一気に世界が回ったな。」
ちーちゃんの言う通りだった。
急に抱え上げられ、景色がぐわん・・と歪んだ。
抱えられてることは理解できるけど、今、どっちを向いてるのかがわからない。
かざね「う・・・・。」
千秋「ほら、寝室だ。体温計るからな。」
ベッドに転ばされ、ちーちゃんは手際よく私の服の下に体温計を滑り込ませてきた。
千秋「ちょっと挟んどけ。聴診器取ってくる。」
ぐるぐる回る景色の中、私はちーちゃんに聞いた。
かざね「ちーちゃん・・・整形外科・・じゃ・・ないの・・?」
千秋「あぁ、海外で救命にいたんだよ。ほぼすべての症状が診れる。」
かざね「そ・・なんだ・・。」
千秋「じきに落ち着く。待ってろ。」
ちーちゃんは私の頭を撫でてから寝室を出ていった。
私はぐるぐる回る景色を落ち着かせようと、目を閉じた。
かざね(彼女・・・いないって言ってた・・・。)
だるい身体とは裏腹に、心が軽くなっていく。
相手は『ちーちゃん』。
私の事を『妹』としてしか見てない相手だ。
かざね(どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。)
『彼女はいない』
ちーちゃんのその一言がうれしく、自分の恋心を自覚してしまった。
どうしたらいいのか分からず、パニックになっていく頭を抱えながら私は眠りに落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千秋side・・・
聴診器を持って寝室に戻ってきた俺。
ベッドで横になってるかざねを見ると、眠ってしまっていた。
千秋「あーあー・・体温計がずり落ちてる。」
両手を頭に乗せて寝てるかざね。
見事なまでに体温計が落ちていた。
千秋「計り直しだな。」
俺はかざねの手を下ろして、体温計を挟みなおした。
ほどなくして鳴る体温計。
ピピッ・・・
千秋「お、37度。もうちょっとだな。」
ついでに服の下から聴診器を入れて胸の音を聞く。
クリアに聞こえた胸の音。
問題は無さそうだ。
千秋「明日には平熱に戻るかな?」
布団を首元までかけ、俺はリビングに戻った。
メモを書いて仕事に向かう。
千秋「これでよし。」
かざねが起きたら少しでもご飯を食べてくれることを願いながら俺は病院に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間後・・・
かざねside・・・
何時間か眠ってしまった私は、目が覚め、リビングに来ていた。
テーブルに置かれたメモを手に取り、読む。
『起きたら冷蔵庫に入ってるお粥食べろ。間違ってもアパートに帰るなよ?帰ったら連れ戻しに行くからな。千秋』
かざね「・・・怖いよ、ちーちゃん。」
私は冷蔵庫の扉を開けた。
がちゃ・・・。
中にはいくつかのタッパーが入ってて、マジックで中身が書かれていた。
かざね「かぼちゃの煮物、ハンバーグ、ごはん、サラダ・・・・・お粥。」
いろいろ書かれてた中に見つけた『お粥』。
私はそのタッパーを取り、蓋を開けた。
かざね「すごい・・梅干しのお粥だ。」
キッチンでスプーンを探し、ダイニングの椅子に座る。
本当は温めたほうがいいのかもしれないけど、体が熱い私は冷たいくらいがちょうどよかった。
スプーンですくって、口にいれる。
ぱく・・・・。
かざね「!!・・・・・おいしい。」
味のない真っ白のお粥だけど、梅干しの塩気がちょうどよかった。
数口食べた後、おなかがいっぱいになってしまい、タッパーの蓋をして冷蔵庫になおした。
スプーンはきれいに洗って、もとの場所に戻す。
かざね「今・・・体温は何度なんだろう・・・。」
そのまま寝室に戻り、ベッドに座った。
ベッド脇に置いてあった体温計を手に取り服の下から滑り込ませる。
かざね「36度くらいになってたらいいんだけど・・・。」
そう思いながらぼーっとしてると、体温計が鳴った。
取り出して表示窓を見ると・・・
かざね「36度7分。もうちょっとかな。」
平熱にはまだ届かないけど、だいぶ楽になった身体。
かざね「平熱に戻ったら帰れる。もうちょっと・・・寝よ・・。」
私はまた横になり、うとうとと眠り始めた。
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