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兄?妹?
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翌日の朝。
すっかり元気になった私にちーちゃんが言った。
千秋「平熱になってたら帰っていい。ほら・・・。」
そう言って渡してきた体温計。
かざね「平熱だと思うよ?もう熱くないし。」
体力は戻ってないけど体はしんどくない。
おでこに手をあてても熱くないし。
千秋「数字が全てだ。さっさと計れ。」
かざね「はい・・・。」
服の下から入れた体温計。
熱がないからか、すぐに鳴った。
ピピッ・・・
取り出して表示窓を見る。
かざね「・・・ほら、無いよ。」
千秋「見せてみろ。」
私はちーちゃんに体温計を渡した。
千秋「・・・お前、計れてないじゃん。」
かざね「え?計れてるよ?」
千秋「35度って計れてないよ。もう一回やり直し。」
かざね「?・・・平熱なのに?」
私の言葉にちーちゃんの目が大きくなっていった。
千秋「まさか・・・平熱が35度!?」
かざね「?・・・そうだよ?」
ちーちゃんはため息をつきながら私のほうに近づいてくる。
千秋「はぁ・・・。」
かざね「?」
私の前まで来たちーちゃんは、私の両頬を手で包み込み、真上を向かせた。
至近距離でちーちゃんの目が見える。
その目は・・・怒ってそうだ。
千秋「ちゃんと食わない上に、平熱が低いから風邪引くんだよ、このバカ!」
かざね「!?」
千秋「生活費がピンチなら俺んとこに来い。食わせてやるから。」
かざね「・・・・・・。」
そんなこと言われて行けるほどの心臓は持ち合わせてない。
ましてや言ってくれてる相手は『好きな人』。
そんな情けないことはできない。
千秋「かざね、返事は?」
かざね「・・・・無理。」
千秋「・・・は?」
かざね「ちゃんと生活する。もう風邪引かないようにする。」
仕事のこともあるからできるだけ風邪は引きたくない。
ちゃんとして・・・ちーちゃんに迷惑をかけない。
千秋「・・・かざね、料理できんの?」
かざね「うっ・・・。」
千秋「できないんだろ?」
かざね「・・・前に料理したことあるんだけど・・手を切っちゃって・・・・。」
大したケガじゃなかったけど、ピアノを弾く手だからケガは避けたい。
一度包丁で手を切ってからは料理をしなくなった。
千秋「・・・まぁ、『ピアノを弾く手』だから仕方ないか。ならなおさらうちに来い。梅さんがご飯作ってくれるし。」
かざね「・・・ありがとう。でもちーちゃんに迷惑かけるわけにはいかない。私ももう『大人』だから。」
千秋「・・・自分のことを『大人』だというなら、しっかりしろ。倒れるまで無理はするな。わかったな?」
かざね「はい。」
ちーちゃんの手から解放された私の顔。
千秋「帰るのか?」
かざね「うん。お世話になりました。」
千秋「はぁ・・・心配だな。」
かざね「がんばります・・・。」
倒れてる間にちーちゃんに連れてこられた私は荷物がない。
鍵だけ、ちーちゃんがかけてくれたらしくて手渡された。
千秋「ほら、かざねの家の鍵。」
かざね「・・・かけてくれたの?」
千秋「あぁ。帰ったらちゃんと鍵しろよ?」
かざね「うん。ありがとう。」
私は鍵を持って、ちーちゃんの車に乗せてもらった。
アパートに帰りつき、車から降りる。
かざね「ありがとう。」
千秋「いつでも連絡して来いよ?」
かざね「ふふっ。またね。」
千秋「またな。」
ちーちゃんの車が見えなくなるまで見送ってから自分の部屋に入った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千秋side・・・
千秋「平熱が35度って・・・。」
かざねをアパートまで送った後に考えながら運転をしていた。
低すぎる平熱がどうも気になる。
千秋「収入が少ないって言ってたし・・・毎日の生活、無理してそうだな。」
昨日の熱は、蓄積された疲労から体が限界だと悲鳴を上げた熱だったのかもしれない。
千秋「平熱をあげさせないと・・・。」
それには規則正しい生活。
適度な運動。
栄養のある食事が一番手っ取り早い。
千秋「今度会ったら『生姜』を積極的に摂るように言わないとな・・・。」
頭の中が『かざね』でいっぱいになっていく。
ずっと俺の側にいさせて、面倒を見るのが安心できるけど・・
そうするにはかざねに俺の気持ちを伝える必要がある。
千秋「フラれるのわかってて伝えるのは・・・厳しいな。」
かざねに両輪がいない今、頼りどころを失くさせるのは怖い。
俺はかざねの近くに・・・いたいから。
千秋「はー・・くっそ・・・なんでかざねは俺のことを『兄』みたいに思ってんだよ・・・。」
熱があるとはいえ、安心しきって俺のベッドで眠ったかざね。
嬉しいような・・情けないような・・・そんな気持ちも少しあった。
千秋「俺が納得するような男じゃないと結婚は許さないからな、かざね。」
なんの拘束力もない発言を車の中でこぼし、俺は帰路についた。
すっかり元気になった私にちーちゃんが言った。
千秋「平熱になってたら帰っていい。ほら・・・。」
そう言って渡してきた体温計。
かざね「平熱だと思うよ?もう熱くないし。」
体力は戻ってないけど体はしんどくない。
おでこに手をあてても熱くないし。
千秋「数字が全てだ。さっさと計れ。」
かざね「はい・・・。」
服の下から入れた体温計。
熱がないからか、すぐに鳴った。
ピピッ・・・
取り出して表示窓を見る。
かざね「・・・ほら、無いよ。」
千秋「見せてみろ。」
私はちーちゃんに体温計を渡した。
千秋「・・・お前、計れてないじゃん。」
かざね「え?計れてるよ?」
千秋「35度って計れてないよ。もう一回やり直し。」
かざね「?・・・平熱なのに?」
私の言葉にちーちゃんの目が大きくなっていった。
千秋「まさか・・・平熱が35度!?」
かざね「?・・・そうだよ?」
ちーちゃんはため息をつきながら私のほうに近づいてくる。
千秋「はぁ・・・。」
かざね「?」
私の前まで来たちーちゃんは、私の両頬を手で包み込み、真上を向かせた。
至近距離でちーちゃんの目が見える。
その目は・・・怒ってそうだ。
千秋「ちゃんと食わない上に、平熱が低いから風邪引くんだよ、このバカ!」
かざね「!?」
千秋「生活費がピンチなら俺んとこに来い。食わせてやるから。」
かざね「・・・・・・。」
そんなこと言われて行けるほどの心臓は持ち合わせてない。
ましてや言ってくれてる相手は『好きな人』。
そんな情けないことはできない。
千秋「かざね、返事は?」
かざね「・・・・無理。」
千秋「・・・は?」
かざね「ちゃんと生活する。もう風邪引かないようにする。」
仕事のこともあるからできるだけ風邪は引きたくない。
ちゃんとして・・・ちーちゃんに迷惑をかけない。
千秋「・・・かざね、料理できんの?」
かざね「うっ・・・。」
千秋「できないんだろ?」
かざね「・・・前に料理したことあるんだけど・・手を切っちゃって・・・・。」
大したケガじゃなかったけど、ピアノを弾く手だからケガは避けたい。
一度包丁で手を切ってからは料理をしなくなった。
千秋「・・・まぁ、『ピアノを弾く手』だから仕方ないか。ならなおさらうちに来い。梅さんがご飯作ってくれるし。」
かざね「・・・ありがとう。でもちーちゃんに迷惑かけるわけにはいかない。私ももう『大人』だから。」
千秋「・・・自分のことを『大人』だというなら、しっかりしろ。倒れるまで無理はするな。わかったな?」
かざね「はい。」
ちーちゃんの手から解放された私の顔。
千秋「帰るのか?」
かざね「うん。お世話になりました。」
千秋「はぁ・・・心配だな。」
かざね「がんばります・・・。」
倒れてる間にちーちゃんに連れてこられた私は荷物がない。
鍵だけ、ちーちゃんがかけてくれたらしくて手渡された。
千秋「ほら、かざねの家の鍵。」
かざね「・・・かけてくれたの?」
千秋「あぁ。帰ったらちゃんと鍵しろよ?」
かざね「うん。ありがとう。」
私は鍵を持って、ちーちゃんの車に乗せてもらった。
アパートに帰りつき、車から降りる。
かざね「ありがとう。」
千秋「いつでも連絡して来いよ?」
かざね「ふふっ。またね。」
千秋「またな。」
ちーちゃんの車が見えなくなるまで見送ってから自分の部屋に入った。
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千秋side・・・
千秋「平熱が35度って・・・。」
かざねをアパートまで送った後に考えながら運転をしていた。
低すぎる平熱がどうも気になる。
千秋「収入が少ないって言ってたし・・・毎日の生活、無理してそうだな。」
昨日の熱は、蓄積された疲労から体が限界だと悲鳴を上げた熱だったのかもしれない。
千秋「平熱をあげさせないと・・・。」
それには規則正しい生活。
適度な運動。
栄養のある食事が一番手っ取り早い。
千秋「今度会ったら『生姜』を積極的に摂るように言わないとな・・・。」
頭の中が『かざね』でいっぱいになっていく。
ずっと俺の側にいさせて、面倒を見るのが安心できるけど・・
そうするにはかざねに俺の気持ちを伝える必要がある。
千秋「フラれるのわかってて伝えるのは・・・厳しいな。」
かざねに両輪がいない今、頼りどころを失くさせるのは怖い。
俺はかざねの近くに・・・いたいから。
千秋「はー・・くっそ・・・なんでかざねは俺のことを『兄』みたいに思ってんだよ・・・。」
熱があるとはいえ、安心しきって俺のベッドで眠ったかざね。
嬉しいような・・情けないような・・・そんな気持ちも少しあった。
千秋「俺が納得するような男じゃないと結婚は許さないからな、かざね。」
なんの拘束力もない発言を車の中でこぼし、俺は帰路についた。
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