12 / 40
ストリートピアノ。
しおりを挟む
それから何日か経ち私の足は完全に治った。
体力も回復して前と変わらない生活を送ってる。
でも少し生活を変えたほうがいいと考えて、『食事』に関してはちゃんとしようと思っていた。
思ってたんだけど・・・
かざね「・・・やっぱり買ってきたご飯じゃダメなのかな。」
ちーちゃんに言われてから、ちゃんとしたご飯を食べてるつもりな私。
・・・どれも買ってきたご飯ばかりだ。
かざね「・・・梅さんのお粥、美味しかったなー。」
また食べたくなるけど、ちーちゃんの家に行くわけにもいかないし。
かざね「私が作る・・・?」
家にあるミニキッチンを眺める。
かざね「・・・火事にしてしまう自信がある。」
『私が作る』という案は却下だ。
腕を組みながら色々考える。
うなりながら頭を捻っていると私のケータイが鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
かざね「あ、電話だ。」
ケータイの画面を見ると『ユウトさん』の文字。
かざね「?・・・今度の演奏会のことかな?」
私は電話に出た。
ピッ・・・
かざね「もしもし?」
ユウト「あ、かざねちゃん?」
かざね「はい。どうかされました?」
ユウト「ちょっと演奏会のことで相談があるんだけどさ・・・出て来れない?」
かざね「あー・・今ですか?」
家に置いてある時計を見た。
今の時間はお昼の2時だ。
ユウト「うん。予定があれば今度でもいいんだけど・・・。」
特に何も予定のない私。
返事は決まっていた。
かざね「行きます。どこに行きますか?」
ユウト「じゃあいつものコンサートホールの前で。」
かざね「わかりました。じゃあ。」ピッ・・・
私はコートを羽織り、鞄を持った。
かざね「この前、鍵をかけずに倒れてて、ちーちゃんに助けてもらったんだよね。・・・でもちゃんと鍵はするっ。」
鍵がかかってることを確認して、私はコンサートホールに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンサートホールに着くと、入り口のところでユウトさんがもう待っていた。
少し小走りに、ユウトさんの元に向かう。
かざね「すみませんっ、お待たせしてしまって・・・。」
ユウト「ううん、今来たとこだし。」
かざね「ありがとうございます。・・・で、相談って・・・。」
そう聞くと、ユウトさんは少し困ったように話を始めた。
ユウト「えっと・・・その前に謝ってもいいかな。」
かざね「?・・・何をですか?」
ユウト「・・・相談じゃないんだよ。」
かざね「・・・え?」
ユウト「俺さ、かざねちゃんと・・・行きたいとこがあって・・・。」
かざね「?・・・どこですか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウトさんに連れられやって来た場所は大きな公園だった。
かざね「・・・公園?」
ユウト「そうなんだけど・・・・あ、あっちだ。行こう。」
かざね「?・・・・はい。」
歩き出すユウトさんを追いかけ、隣に並ぶ。
かざね(ユウトさんって・・・ちーちゃんくらい背が高いんだ。)
『隣に立つ』なんてことはそんなにない。
いつもピアノの向こうにいるユウトさん。
大きくタクトを振りながら指揮をする姿はファンもいるほどの人気だ。
かざね(背が高いから手足も長くて大きい指揮が
できるんだなー・・羨ましい。)
背が低い私はどう頑張っても手は大きくならなかった。
小さな手は、目一杯広げても鍵盤を1オクターブしか押せない。
だからできるだけスケールの大きい曲は弾かない。
小回りのきく曲が・・・私の武器だ。
ユウト「あ、あれなんだけど・・・。」
考えごとをしながら歩いてた道。
ユウトさんは指をさしながら私に言った。
かざね「・・・・グランドピアノ?」
公園のカフェの一角に置いてある一台のグランドピアノ。
真っ白のデザインは、周りにある緑の芝生によく映えていた。
ユウト「期間限定のストリートだってさ。」
かざね「ストリート・・・?」
ユウト「『ストリートピアノ』。・・・誰でも自由にどんな曲でも弾いていいピアノだよ。最近増えてるってネットにあがってた。」
かざね「へぇー・・・。」
ユウト「誰も弾いてないし・・・どう?」
かざね「!!」
ユウトさんはこのピアノを私に見せるためにここに連れてきた。
そのことは瞬時に理解できた。
でも・・・
かざね「・・・楽譜を持ってないんですけど。」
一曲丸まる弾くなら楽譜が欲しい。
ちゃんと弾ける自信がないから。
ユウト「言っただろ?『誰でも』『自由に』『どんな曲でも』弾いていいって。」
かざね「うーん・・・・。」
悩みながらも私はピアノに近づいていった。
鍵盤を一つ、指で押してみる。
♪~・・・
かざね「・・・怒りません?」
ユウト「怒らないよ?」
かざね「呆れません?」
ユウト「何を弾く気?」
かざね「・・・・ナイショ。」
私は椅子に座った。
まだまだ寒いこの季節。
『外』ということもあって指は冷たい。
自分の息を手に吹きかけ温めた。
かざね「はぁー・・。」
鍵盤に両手を置き、思い付くままに・・・曲を重ねていく。
体力も回復して前と変わらない生活を送ってる。
でも少し生活を変えたほうがいいと考えて、『食事』に関してはちゃんとしようと思っていた。
思ってたんだけど・・・
かざね「・・・やっぱり買ってきたご飯じゃダメなのかな。」
ちーちゃんに言われてから、ちゃんとしたご飯を食べてるつもりな私。
・・・どれも買ってきたご飯ばかりだ。
かざね「・・・梅さんのお粥、美味しかったなー。」
また食べたくなるけど、ちーちゃんの家に行くわけにもいかないし。
かざね「私が作る・・・?」
家にあるミニキッチンを眺める。
かざね「・・・火事にしてしまう自信がある。」
『私が作る』という案は却下だ。
腕を組みながら色々考える。
うなりながら頭を捻っていると私のケータイが鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
かざね「あ、電話だ。」
ケータイの画面を見ると『ユウトさん』の文字。
かざね「?・・・今度の演奏会のことかな?」
私は電話に出た。
ピッ・・・
かざね「もしもし?」
ユウト「あ、かざねちゃん?」
かざね「はい。どうかされました?」
ユウト「ちょっと演奏会のことで相談があるんだけどさ・・・出て来れない?」
かざね「あー・・今ですか?」
家に置いてある時計を見た。
今の時間はお昼の2時だ。
ユウト「うん。予定があれば今度でもいいんだけど・・・。」
特に何も予定のない私。
返事は決まっていた。
かざね「行きます。どこに行きますか?」
ユウト「じゃあいつものコンサートホールの前で。」
かざね「わかりました。じゃあ。」ピッ・・・
私はコートを羽織り、鞄を持った。
かざね「この前、鍵をかけずに倒れてて、ちーちゃんに助けてもらったんだよね。・・・でもちゃんと鍵はするっ。」
鍵がかかってることを確認して、私はコンサートホールに向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンサートホールに着くと、入り口のところでユウトさんがもう待っていた。
少し小走りに、ユウトさんの元に向かう。
かざね「すみませんっ、お待たせしてしまって・・・。」
ユウト「ううん、今来たとこだし。」
かざね「ありがとうございます。・・・で、相談って・・・。」
そう聞くと、ユウトさんは少し困ったように話を始めた。
ユウト「えっと・・・その前に謝ってもいいかな。」
かざね「?・・・何をですか?」
ユウト「・・・相談じゃないんだよ。」
かざね「・・・え?」
ユウト「俺さ、かざねちゃんと・・・行きたいとこがあって・・・。」
かざね「?・・・どこですか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウトさんに連れられやって来た場所は大きな公園だった。
かざね「・・・公園?」
ユウト「そうなんだけど・・・・あ、あっちだ。行こう。」
かざね「?・・・・はい。」
歩き出すユウトさんを追いかけ、隣に並ぶ。
かざね(ユウトさんって・・・ちーちゃんくらい背が高いんだ。)
『隣に立つ』なんてことはそんなにない。
いつもピアノの向こうにいるユウトさん。
大きくタクトを振りながら指揮をする姿はファンもいるほどの人気だ。
かざね(背が高いから手足も長くて大きい指揮が
できるんだなー・・羨ましい。)
背が低い私はどう頑張っても手は大きくならなかった。
小さな手は、目一杯広げても鍵盤を1オクターブしか押せない。
だからできるだけスケールの大きい曲は弾かない。
小回りのきく曲が・・・私の武器だ。
ユウト「あ、あれなんだけど・・・。」
考えごとをしながら歩いてた道。
ユウトさんは指をさしながら私に言った。
かざね「・・・・グランドピアノ?」
公園のカフェの一角に置いてある一台のグランドピアノ。
真っ白のデザインは、周りにある緑の芝生によく映えていた。
ユウト「期間限定のストリートだってさ。」
かざね「ストリート・・・?」
ユウト「『ストリートピアノ』。・・・誰でも自由にどんな曲でも弾いていいピアノだよ。最近増えてるってネットにあがってた。」
かざね「へぇー・・・。」
ユウト「誰も弾いてないし・・・どう?」
かざね「!!」
ユウトさんはこのピアノを私に見せるためにここに連れてきた。
そのことは瞬時に理解できた。
でも・・・
かざね「・・・楽譜を持ってないんですけど。」
一曲丸まる弾くなら楽譜が欲しい。
ちゃんと弾ける自信がないから。
ユウト「言っただろ?『誰でも』『自由に』『どんな曲でも』弾いていいって。」
かざね「うーん・・・・。」
悩みながらも私はピアノに近づいていった。
鍵盤を一つ、指で押してみる。
♪~・・・
かざね「・・・怒りません?」
ユウト「怒らないよ?」
かざね「呆れません?」
ユウト「何を弾く気?」
かざね「・・・・ナイショ。」
私は椅子に座った。
まだまだ寒いこの季節。
『外』ということもあって指は冷たい。
自分の息を手に吹きかけ温めた。
かざね「はぁー・・。」
鍵盤に両手を置き、思い付くままに・・・曲を重ねていく。
36
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる